やっぱりすごいよ、日本人

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やっぱりすごいよ、日本人
出版社
出版日
2014年11月29日
評点
総合
3.3
明瞭性
3.5
革新性
3.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

激変の時代に大切なのは、「変わること」よりも、自分たちのアイデンティティーを再確認し、それを「守り続けること」ではないか――。アメリカで生まれ育ち、日本に25年以上滞在している著者は、日本人は自分たちの持っている価値に気付いていないことがまだまだ多いと主張する。

日本人が気付いていない、もしくは欠点であると思っている行動や意識が、じつは外国人の目線から見ると、長所であり「おもてなし精神の表現」となっているということがある。本書は、33の豊富なエピソードで、そのことを気付かせてくれる。そして、著者の実体験から、日本人の美徳を海外の人へ向けてどのように表現すべきかを丁寧に解説している。

国際化が進む日本で、日本人は自分たちの素晴らしさを意識の隅へ追いやり、変わらなければいけないという気持ちばかりで先走ってはいないか。自分たちの良さを見つめなおして、自分たちらしく、勇気を持って国際化を進めよう。そうしたエールが込められた一冊である。高校、大学、そしてリクルートシーガルズでチアリーダーとして活躍してきた著者は応援のプロでもある。そんなポジティブな応援エネルギーをいっぱいに浴びれば、読者は自分たちのアイデンティティーへの自信をより強く持つことができるだろう。国際会議や海外派遣へも、ひるむことなく立ち向かってゆけるはずだ。

著者

ルース・ジャーマン・白石
米国ノースカロライナ州生まれ、ハワイ州育ち。1988年にボストンのタフツ大学国際関係学部から(株)リクルートに入社し、以来27年間日本に滞在。2011年まで株式会社スペースデザインに在籍し、新規事業として、来日する外国人向けの家具付きサービスアパートメントを東京・横浜・ドバイにて開発・運営業務に携わる。1998年に日本語能力試験(JLPT)1級を獲得し、2006年に、欧米系女性として初の宅地建物取引主任者となり、公益財団法人日本女性学習財団評議員と一般社団法人HRM協会の理事に就任。2012年4月より(株)ジャーマン・インターナショナルを起業。日本のグローバル化のサポートとインターナショナルマーケティング/プロモーションのノウハウを生かし企業の顧客創造と経営戦略に貢献する。
ボランティアとして、高校・大学・リクルートシーガルズ(現オービックシーガルズ)でのチアリーダー経験を生かし、在日米国商工会議所のスペシャルイベント委員会の委員長を務め、多くのイベント企画を実行する。2013年度、リーダー・オブ・ザ・イヤー(女性/東京地区)に選ばれるなど、2児の母としても次世代の幸せを念頭に日本の「日本的」なグローバル化を応援している。テレビ番組や講演など、多方面で活躍中。
著書『日本人が世界に誇れる33のこと』(あさ出版)は5万部のベストセラー。
http://jarman-international.com/jp/

本書の要点

  • 要点
    1
    時と場合に応じた適切な振る舞い、問題が起きたときはまず自分を省みる真摯さなど、日本人には強みがたくさんある。
  • 要点
    2
    ビジネスの場における熟考など、評価されるべきだが誤解を受けることもある日本人の特長は、あえて言葉にして理解してもらうことも必要だ。
  • 要点
    3
    もともとあるチームプレー精神には、飛躍する勇気をプラスする、問題点を発見する力には、可能性を信じる力をプラスする、というように、持っている利点を生かしながら何かを取り入れることで、日本はさらに国際的に発展していくことができるのではないか。

要約

日本人が知らない、日本の本当の強み

日本人はmatureでcivilized
botamochi/iStock/Thinkstock

TPOに合わせて、真面目にならないといけない場面ではそのように振る舞い、騒いでもいいカラオケなどの機会にはハメを外して思いっきり楽しむ。賢明であり、分別があり、成熟していることを英語で「mature」 というが、日本人にはその「mature」を感じると著者は言う。

さらに、日本人は、状況や場に応じて適切なマナーや対応を即座に判断し、スマートに振舞うことが得意だ。たとえばお祝いの席に招かれれば、どんな服装がよいのか、どんなプレゼントが喜ばれるか、ほかの国の人たちより悩み、礼儀正しくありたいと思うのが日本人である。こうした一面が、「civilized」という言葉の「礼儀正しい、教養のある、洗練された、常識的な」という意味をまさしく体現しているように思われる。ときに、「日本人は幼稚だ」などという論調もあるが、適切に振る舞えるこの国の人たちこそ、大人として成熟した国民だと著者は語っている。

問題が起きたとき、まず自分を省みる真摯さ

あるとき、インド料理屋とIT企業の両方を経営しているインド人の友人が、「日本人の特徴」が現れているあるエピソードを語った。

レストランの機材が故障したり、建物の設備に問題が起きたり、インターネットがつながらなかったりして、何らかのトラブルが発生したとき、業者に連絡すると、日本人は真っ先に自分側に落ち度がなかったかを確かめる。そのうえでこちらの状況を調べ、原因究明に動く。日本人は、相手が壊したのではないかと外部要因を探ろうとするのではなく、自分の側に何か問題があったのではないかと自己チェックをする。その真摯な姿勢が素晴らしい、と彼は言ったそうだ。

著者自身もごく当たり前にそうするクセがついていたため、指摘されるまで特別に思うことはなかったが、改めて日本人のやり方が特異であることを実感したという。

まずお客さまを第一に考え、誠実に接する。仕事やサービスに対するプライドと、当事者意識があれば、お客さま側のミスを探すことも、自分たちのミスの言い訳をすることもないのだ。その姿勢は日本人ならではのすばらしい点だ。

世界ともっとコミュニケーションする方法

言葉にしないとわからない、を前提でつきあう
ferlistockphoto/iStock/Thinkstock

アメリカ式ビジネスでは、即断即決、スピーディーな判断が重んじられる。しかし、速さのために予測が甘くなってしまうと、納期を守れなかったり、契約を再交渉しなければならなくなったりして、相手の信用を失うことも起こりうる。

日本人は即答を避けるが、確実に実行できることを時間をかけて模索する。このように深く考える習慣は、なぜそうするのか相手が理解できると、信頼と安心を与えることができる。

熟考するスタイルは双方にとってよい結果につながるので、ぜひ大切にするべきだが、なぜそのような態度をとっているかが相手に伝わらないと、「日本人は決断できない人たちだ」「日本企業とビジネスをすると、時間がかかって仕方がない」などと誤解されてしまう。だから、即答しない意味、自分たちにとって当たり前となっているスタイルの意味を、他国の人にきちんと伝えることが大切だ。

グローバル化が進んだ世界で、日本人もさまざまな価値観や文化を知り、受け入れる「国際人」になろうとしている。その過程で大事なプロセスは、

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要約公開日 2015.05.11
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