優秀なプレーヤーで終わる人は、会議を軽く考えている。彼らをはじめとして、多くの人が会議に参加したくないと思ってしまうのは、会議自体がうまくいっていないからだ。一番偉い人が一番長く話していたり、会議の目的が不明で、時事放談になっていたりするのが「ダメな会議」の典型例である。
「良い会議」を行なうことができる優秀なマネージャーは、次のような会議術を心得ている。主なものを紹介しよう。
・主要な会議では全員がメモをとるのではなく、意見交換に集中してもらうために、必ず一人議事録をとる人を用意する。議事録は会議が終了後3時間以内に提出してもらい、欠席者から読後の意見を必ずもらう。
・議長とは別に、進行役を務めるファシリテーターという役割をおき、ラップアップ&ゴーをこまめにしてもらう。議論が煮詰まってきたら、ラップアップ、つまり「とりまとめ」をしてもらい、話し合いの目的をはっきりさせて改めてスタートに向かう。
・議論が空中戦になるのを避けるため、白板やプロジェクターの画面などで、議論を可視化する。
とくにラップアップ&ゴーと可視化を行なうだけでも、会議は大きく変わる。
自分を客観視するということは、絶対にマネージャーがやるべきことのひとつだ。
全体が成すべきこと、その中で自分が成すべきことを理解し、関係者から期待されている立ち居振る舞いをするということを意識的にする。「素」の自分でいるのではなく、自分を客観視して「メタ認知」を働かせ、自分で自分を意識的に動かすのだ。
例えば、サッカーの試合にあてはめて考えてみよう。自分が前線で攻めるフォワードであったとする。そのとき、ピッチ全体の動きを見て、どの位置に自分がいれば味方がパスを出しやすいのか、という視点を持つことが、客観的な視点を持つということだ。「全体観」と「貢献心」を持つことで、パスをもらう回数や、ゴールを決める回数が上がり、チームに貢献できる。
仕事のスケジュールを見渡し、自分がどう動けばみんながうまくいくか、望む展開に運んでいけるようにするにはどうしたらいいか、イメージしてみることも効果的である。
「みんなをフォローする」ことが、優秀なマネージャーになる人に必要な行動である。
著者は38歳のとき、外資系コンサルティングファームの社長になった。そこで、とにかくみんなに指示をたくさん出し、「とにかく俺の言ったとおりやれ」という姿勢で社員に接したため、社員はどんどん辞めていき、全社員向けの集会にも人が集まらなくなってしまった。秘書からの厳しい指摘もあり、著者はようやく、自分がやりたいことをやっているだけで、それは社員がやりたいこととはまったく違っていた、ということに気がついたのだという。
3,400冊以上の要約が楽しめる