自販機業界では、30年以上も自販機の一等地は「左上」だと信じられていた。自販機の前に立ったお客は、最初に「左上」を見て、アルファベットの「Z」の形を描いて右下まで視線を動かすというのだ。しかし、アイトラッキング(眼球追跡)の技術により、その常識が覆された。
実際に自販機の前に立ったときに、人はどこをみているのだろうか。また、ダイドードリンコはその調査結果を受けてどのようなマーケティングを展開したのだろうか。広報・IR部の正本肇氏とマーケティング部の細井裕美氏に著者は話を聞いた。
ダイドードリンコの本社は大阪にあるが、実はシェアが高いのは、東北、北関東といったエリアだ。これは東北、北関東のガソリンスタンドに置いていた置き薬の横にコーヒーを置いた、という事業上の背景がある。また、静岡、山梨もシェアが高く、以前の営業本部が静岡にあったという理由による。一方で、東京、名古屋、大阪といった都市部では苦戦を強いられている。
ダイドーの自販機をどうしたら利用してもらいやすいものに変えられるか、という悩みを解決するため、無意識の行動がデータとして得られる「アイトラッキング」を導入し、分析を行った。その結果、予想に反して自販機の商品陳列の「左下」に視線が集まっていることがわかったのだという。今までは常識にならって「左上」に主力商品を置いていたが、この分析を受けて缶コーヒーを「左下」に置くようにしたところ、売上が数十%アップしたのだ。
今ではセルフ式のコンビニコーヒーが急速に普及したため、缶コーヒー各社は苦戦し、対前年度比で2ケタマイナスとなっている会社も多い。しかし、ダイドーは同じ時期でわずかながらもプラスで推移しており、健闘していると言える。
他にも工夫を重ねていることは多い。自販機という特性上、パッと見たときに、パッと買いたくなるようにしなければいけない。つまり、瞬間で勝負が決まる世界なのだ。
例えば、アイトラッキングの分析結果により、人は飲料の上と下を見る傾向があることがわかったため、自販機の中で露出を上げるPOPはその位置に置いた。
また、缶コーヒー単体のデザインだけを意識するのではなく、商品が並んだときにパッと見たときに特徴が分かりやすくなければならない。ダイドーブレンドでは、ロゴのフラッグを大きくしたり、文字も読みやすく大きく配置するカイゼンを重ねている。さらに一部の文字はパッケージから外し、POPの方に記載する、ということも行っている。流通においては、パッケージも、容器も、ブランドも大切である。そのノウハウを積み重ねながら、訴求力のある商品にして、商品を覚えてもらうことを追及している。
横浜DeNAベイスターズは、誕生してから2015年に4年目となる。チーム成績は1年目に6位、2年目と3年目は5位と低迷しているが、観客動員数は増え続けている。
主催試合の観客動員数は昨対比110%の156万4528人で、1試合平均は2万1730人にもなった。2011年と比較すると実に42%も増加している。全球団中最下位だった総動員数は、その期間で8位に躍進したのだという。
チームの成績はパッとしないのに、なぜファンはスタジアムに足を運び、「横浜DeNAを応援したくなる」のだろうか。
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