ミッション

元スターバックスCEOが教える働く理由
未読
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元スターバックスCEOが教える働く理由
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出版社
出版日
2012年10月08日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.5
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おすすめポイント

「私たちは何のために働くのか」。この問いに自信を持って具体的に答えられる人は、どれくらいいるだろうか。

スターバックスとザ・ボディショップは、ミッションが明確で徹底されており、かつそれがブランドとなっている会社である。その両社で経営者を務めた著者の岩田氏は、ミッションの必要性を強く意識するようになったという。本書に一貫して流れているのは、「ミッションは自分で見出し、考えてこそ価値があるものだ。経験を重ね、成長していく過程でミッションを進化させていけばいい」というメッセージである。

読者のミッション構築を促す本書は、有名ブランドの成功例を分析した類書とは一線を画しており、2012年の出版以来、多くの読者を勇気づけている。岩田氏によると、彼の著書の中で読者から「感動した」という声が最も多く寄せられたのが本書だという。岩田氏がミッションに磨きをかけ、それを体現してきた軌跡をたどることで、自分の「内なる炎」に気づき、新たな一歩を踏み出すパワーを得られるからではないだろうか。

「今の仕事に情熱や意義を感じられない」と立ち止まったときや、転職・異動・昇進といったキャリアの節目を迎えたときにこそ、本書は強い味方になってくれるだろう。自分の存在理由を問い直し、自分なりのミッション・ステートメントを具体化してみてはいかがだろうか。

ライター画像
松尾美里

著者

岩田 松雄
前スターバックスコーヒージャパン代表取締役最高経営責任者。リーダーシップコンサルティング代表。1982年に日産自動車入社。製造現場、飛び込みセールスから財務に至るまで幅広く経験し、社内留学先のUCLAビジネススクールにて経営理論を学ぶ。帰国後は、外資系コンサルティング会社、日本コカ・コーラ ビバレッジサービス常務執行役員を経て、2000年(株)アトラスの代表取締役に就任。3期連続赤字企業を見事に再生させる。2005年には「THE BODY SHOP Japan」を運営する(株)イオンフォレストの代表取締役社長に就任。店舗数を107店から175店舗に拡大しながら、売上げを約2倍にして一躍脚光を浴びる。伝説の創業者、アニータ・ロディックからの信頼も厚かった。2009年、スターバックスコーヒージャパン(株)のCEOに就任。「100年後も輝くブランド」に向けて、安定成長へ方向修正。ANAとの提携、新商品VIA(スティックコーヒー)の発売、店舗内wifi化、価格改定の実行など次々に改革を実行し、業績を向上。日本に数少ない「専門経営者」として確固たる実績を上げてきた。2010年、日産時代に留学していたUCLAが設立75周年を記念して、歴代全卒業生3万7000人から卒業後に世界で活躍する100人「Inspirational Alumni 100 Points of Impact」を選出し、受賞(日本人は4名)。2011年にリーダーシップコンサルティング設立。2012年より約1年間(株)産業革新機構に参画。現在、立教大学ビジネスデザイン科特任教授、早稲田大学ビジネススクール非常勤講師。

本書の要点

  • 要点
    1
    「何のために働いているのか」というミッションを意識している人は、本質的な価値が生みだされる「火花の散る瞬間」に向かって力を注ぐことができる。
  • 要点
    2
    経営者やリーダーにとって一番大事なのはミッションである。ミッションがしっかりしていれば、よいビジョンが描け、強いパッションが自然とわき上がってくるからだ。
  • 要点
    3
    自分のミッションを定めるときは、「好きなこと」、「得意なこと」、「人のためになること」という3つの輪が重なる部分を意識することが大切だ。

要約

火花散る瞬間を見出せるのは、ミッションを持つ人だけ

ミッションを構築する重要性

著者は日産自動車に入社したばかりのころ、車体溶接工場を見学しているときに、上司から「火花が散っている瞬間だけが、本質的に付加価値を生み出している」ということを学んだ。ザ・ボディショップにおける火花が散る瞬間は、商品を購入されたお客様を笑顔で気持ちよく送り出す瞬間である。また、スターバックスにおける火花が散る瞬間は、最高のコーヒーを笑顔でお客様にお渡しする瞬間だ。

ブランド力のある一流の会社は、「どうやって儲けるか」ではなく、「企業は何のために利益を出すのか」を大切にする。スターバックスが特別な存在であり感動体験を生み出せているのは、スターバックスと、そこで働く人たちにミッションが深く浸透しているからだ。個人も同様だ。一流の仕事をしている人は「何のために働くのか」という明確なミッションを持っているからこそ、火花の輝きに向かって力を注ぐことができ、新しい価値を生み出せる。

ミッションを強く自覚すると、それを達成するために、自分なりのロードマップを描けるようになる。経験を重ね、成長していく過程で、ミッションを構築し持ち続け、その実現に人生をかけることが、社会を変えることにつながっていく。

ザ・ボディショップの「7つのお願い」
graphicsdunia4you/iStock/Thinkstock

企業のミッション、そして人間としてのミッションの重要性を著者に気づかせてくれたのはザ・ボディショップである。ザ・ボディショップのミッションは「社会と環境の変革を追及し、事業を行うこと」であった。このミッションは、動物実験への反対、コミュニティ・フェアトレードの推進、自分らしさを大切にすること、人権の尊重、そして環境の保護という5つの価値観から成り立っていた。ミッションの背景には、創業者アニータ・ロディックの社会の現状に対する怒りが存在している。ザ・ボディショップは、化粧品の製造販売を通じて社会変革を行っている企業だったのである。

ところが、著者が店舗を見学してみると、実態は違った。

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要約公開日 2015.07.02
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