イノベーションは現場から生まれる

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出版社
総合法令出版

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出版日
2015年07月04日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
3.0
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おすすめポイント

マーケットは常に変化している現在、企業にとって、新しいことにチャレンジし、すべての部署で新しい挑戦にまい進できる人材開発が不可欠になっている。同じように個人も、どのようなリーダーシップが今後必要になるのかと自問自答しながら、新しい時代に対応できる能力を開発していかなければならない。しかしながら、多くの人は目の前の仕事に専念するあまり、新たな自分づくりの方法が分からず、時間だけが過ぎていってしまう。このように、人材開発の悩みは尽きない。グローバル市場の中で勝ち抜き、会社の未来をつくるために、人材構造を「量的」かつ「質的」に最適化させる必要があるが、多くの企業はマーケットの目まぐるしい変化に追いついていないのが実情だ。

経営戦略会議だけでは新時代にもはや対応できない。顧客と直接向き合い、現場で創意工夫しながら変化の先頭に立ってリーダーシップを発揮する人材が必要なのだ。自ら考え、自ら動く「考動力」をもって人と組織を動かす「変革リーダー」の育成が、日本企業全体の活性化にとっても非常に重要なテーマである。そして個人と企業両サイドからこのテーマに取り組む事が不可欠なのだ。

夢や熱い想いをもって新しいことに挑戦できる人なら誰でも変革リーダーになれる可能性をもっている。人材開発に携わる方やマネージャー層にはぜひ本書を手に取ってご一読いただきたい。

ライター画像
山下あすみ

著者

上野 和夫
株式会社ドリームインスティテュート 代表取締役社長
1951年群馬県生まれ。一橋大学社会学部卒業。1974年西武百貨店に入社し、広範囲にわたる人事業務を経験後、新人事制度導入プロジェクトリーダー、人材開発室長を歴任。2001年、同社100%出資の株式会社キャリアオン代表取締役社長に就任し、グループ内外にわたる人材育成事業を展開。2008年株式会社ドリームインスティテュートを設立、代表取締役社長に就任。流通・サービス業、自動車・半導体・服飾メーカーをはじめ、生活協同組合、自治体、省庁等幅広い業界の人材育成と経営改革のコンサルティング事業を行う。特に「マインド・ストレッチ・セッション」は従来型のリーダー育成研修の概念を変える革新的なプログラムとして注目されている。

本書の要点

  • 要点
    1
    日本企業がマーケット創造型の経営に転換していき、グローバル競争で勝つためには、新たな価値づくりに挑戦する「変革リーダー」を育てる必要がある。
  • 要点
    2
    変革リーダーになるためには、次世代のマーケットや新しい価値を見つける「活路を見出す力」、批判を恐れずに大転換に突き進む「大きく舵を切る力」、そして説得力と人を惹きつける魅力によって「人と組織を動かす力」が必要である。
  • 要点
    3
    創意工夫する職場をつくるには、「意見ではなく進行をコントロールする」というファシリテート型のリーダーシップを身につけることが重要だ。

要約

先進企業に学ぶ事業の再定義

ケーススタディから革新の秘訣を学ぶ

企業の人材育成のニーズに応えるために、著者は「マインド・ストレッチ・セッション」を開発した。このセッションの目的は、新たな価値とマーケットの創造に挑戦するために戦略的に発想する力と、人と組織を動かす変革のリーダーシップを身につけた変革リーダーを育てることである。

革新的な先進企業の事例として、セブン&アイグループを見てみよう。彼らが時代を超えて快進撃を続ける秘訣は、会社のブランドメッセージにある。そこには「お客様が望んでいること」にすぐに応えられるグループを目指すという、流通業の真髄をついた考え方が詰まっている。社員全員がこのミッションを実行できれば、マーケットから「なくてはならないお店」として支持されるだろう。

セブン&アイグループでは、各店舗が仮説と検証を繰り返しながら発注を決定しており、全ての仕組みが顧客起点で組み立てられている。商品のクオリティの追求も凄まじく、商品化するには、経営トップの試食という関門を通過しなくてはいけない。セブン&アイグループが生み出す付加価値は、顧客の期待値を超え、他社が簡単には真似できない商品やサービスとなって、顧客を感動させるのである。

変革リーダーは時代のキーファクター
ferlistockphoto/iStock/Thinkstock

日本企業は、グローバル市場で非常に厳しい状況に置かれている。日本より賃金が安い新興国でも、技術力の向上により、日本と遜色ないものを作れるようになった結果、他国の製品がグローバル市場を席巻するようになったのだ。

日本がグローバル競争で勝つためには、会社自体を「人がやっていないことをやる」「本当に社会が困っていることに取り組む」というマーケット創造型の経営に転換する必要がある。そのためには、日本企業は今ある前提を全て疑い、今後のあるべき姿を再定義して、経営構造改革や新たな文化の創造に取り組まなければいけない。企業が生まれ変わるには、組織のメンバーを力強くけん引しつつ、顧客や現場で働く人たちの意見をよく聞いて、良い提案を迅速に取り入れていくリーダーシップを持った「変革リーダー」の育成が重要である。

【必読ポイント!】 「変革リーダー」への道

変革リーダーが育むべき力

企業のミッションを考える際には、ケーススタディで「素晴らしい」「感動した」と思ったことを、「自分たちの世界ではどのように活かせるか?」と自分自身に引き寄せて考えてみることが大切だ。

リーダーシップを発揮するうえでは、権限を持つ職位に就いているかどうかは関係ない。リーダーシップは、先天的な資質ではなく、信頼感を得ることで生まれる自然発生的な影響力であるため、実践によって身につけられるのである。

変革リーダーになるには、次の3つの力を身につけなくてはいけない。人がまだ思いついていない次世代のマーケットや新しい価値を見つける「活路を見出す力」、批判を恐れずに大転換に突き進む「大きく舵を切る力」、そして説得力と人を惹きつける魅力によって「人と組織を動かす力」である。一方、変革リーダーは、前例主義やセクショナリズム(部門主権への固執)、管理統制の発想から脱却することが求められる。

変革リーダーの最初の仕事は、最大の抵抗勢力となる上司を口説くことである。「顧客の声」や「現場の声」を起点とした根拠ある提案ができれば、上司も納得し、周囲を巻き込んでバックアップしてくれるようになるだろう。

変革リーダーの行動特性
LDProd/iStock/Thinkstock

あらゆる仕事で成果を出す際に必要な要素が4つある。

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要約公開日 2015.09.17
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