通常、学校の国語の授業ではみんなで同じ本を読み、みんなで決まった課題をこなす。それが昔ながらのやり方で、著者も教師になった頃は全く同じことをしようとしていた。
しかし、これでは1年間で読める文章量は微々たるものにしかならない。読書を楽しめるようにもならない。子どもが文章を読み、読み書きの技術を身につけるために必要なことは、座って授業を聞くことではなく、主体的に練習をすることだ。職人の弟子がそれぞれ技術を磨くのと同様に、上から命令されてするのではなく、主体的に各自が練習し技術を磨かねばならないのである。
大人がやるべきことは、教壇に立って知識を垂れ流すことでなく、子どもが自ら学ぶための情報源になり、子どもが学びやすいように適切な導きをすることだ。そうして彼らが自分の力で文章を読んだとき、はじめて読解力は自分のものになる。
著者は、実践を通じて技術を磨く場所にするために、教室を読書のワークショップに変身させた。その方法は、本を読むためのまとまった時間を確保すること。読む本は課題図書を押しつけるのではなく、子どもに選ばせてあげること。本を読んだら、感想を発信すること。読書仲間であるクラスメイトと、本の理解を深めること。スムーズに学習を進められるよう手順をしくみ化することだ。
著者の授業では、年間40冊を読むという目標を決めている。新しいクラスの最初の授業では、まず子供たちに本棚から好きな本を探してもらう。本を選ぶ手がかりとして、ジャンルごとのブックリストを用意し、各ジャンルから決まった冊数を読むという課題を与えている。さらに、読書ノートを渡し、読んだ本の記録をつけてもらっている。読んだ本は、感想文などを書かせるかわりに、みんなの前でおもしろかったポイントを話してもらう。当たり前のように本を自分で選ばせ、読んでもらうと教室中が活気づき、子どもたちがどんどん自分から本に手を伸ばすようになるのだ。
読書とは、「頭」と「心」の冒険である。読書の旅に出るのは、子どもたち自身だ。大人の役目は、冒険の準備を整えてあげること、そして
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