世の中の成功者や、自分の人生を肯定できている人は、自分の潜在意識を理解し、他者の潜在意識も理解できているため、良い人間関係を築くことができている。
潜在意識を理解するには、「観点」、「判断基準」、「認識」がキーワードとなる。コミュニケーションが苦手な人は、自分の観点に固執して、自分が持っている判断基準に無自覚であるうえに、自分の思い込みを事実と混同しがちである。一方、人間関係をうまくつくれる人は、自分と相手の認識をすり合わせ、事実を確認する習慣ができている。まずは、潜在意識の構造を理解することが、コミュニケーションのスキルを上げる近道だ。
人間の活動には、意識と無意識がある。無意識には次の3つの深さがある。
(1)経験が蓄積されたことで無意識に移行したもの
(2)生まれてから死ぬまで無意識に続く生命維持活動
(3)すべての生命を成り立たせている集合的無意識
本書では、1つ目の段階、すなわち潜在意識にアプローチしていく。例えば、過去の経験から「期待しても裏切られるから、最初から距離を置こう」と考える人がいるとする。自分が思い込んだ通りに行動して結果が出ると、「やっぱり裏切られた」と解析し、こうした「非道理的な思い込み」がさらに強化され、維持されてしまう。
無意識になったものを意識化させる仕組みを知ることで、思い込みを根本から変えることができる。
人間の意識の99%は潜在意識であり、表情や言葉、行動などの顕在意識はたった1%の氷山の一角である。潜在意識は浅い順に並べると、次の5つの階層を持っている。1、2階層目は表情や言葉、行動を生み出している「考えや感情」である。3階層目は、過去の経験をベースにして考えや感情を生み出している「イメージ」であり、先入観や判断基準などを含んでいる。そして、4階層目は、やる気やモチベーションなどの「エネルギー」である。さらに5階層目は、人種や性別、肩書きなどを通じて自分自身をどう捉えるかという「アイデンティティ」である。
潜在意識を活用するには、4つのステージを経る必要がある。ステージ0では、自分の思い込みを前提に考えが堂々巡りしている状態だ。次にステージ1では、自分の経験に基づいた価値観だけをベースにコミュニケーションをとっている状態である。ステージ2に進むと、相手の背景にある考えを理解し、相手の立場に立って対話できるようになる。つづいて、「マインドフルネス」と呼ばれるステージ3では、目の前の事象に判断を加えず、「いま、ここ」を認識し、多様な価値観を受容できるようになる。
この変化のプロセスを意識してみると、自分の成長段階が手に取るようにわかるはずだ。
マインドームとは、マインド(心)とホーム(家)を合わせた造語で、各人が持つ判断基準のことである。このマインドームが行動や人生の範囲を左右する。
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