一流の投資家はなぜ、メンタルを大切にするのか?

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一流の投資家はなぜ、メンタルを大切にするのか?
出版社
総合法令出版

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出版日
2015年09月05日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

「どの銘柄がいいのか、判断の仕方がわからない」「適切な買い時、売り時がわからない」「マーケットの上下に振り回されてしまう」。投資のプロを呼ばれるファンドマネージャーやディーラー、トレーダー、そして個人投資家の悩みは尽きない。他方で、ウォーレン・バフェットやジョージ・ソロス、ジム・ロジャーズなど「一流の投資家」たちが、長期的・継続的に投資で成功しているのはなぜなのか。その疑問を解くカギは、「マーケット心理を読み取り、自分自身の心理を適切にコントロールするスキル」の有無だという。

投資先進国のアメリカを中心に、投資分野における「メンタルマネジメント」の重要性が認識されるようになっている。トップアスリートにメンタル面の強化方法をアドバイスするように、投資家が安定したパフォーマンスを出せるよう、アドバイスやトレーニングを行う職業も登場しているという。

本書では、心理学の手法を用いて、投資で安定的に結果を出すための様々な知識やノウハウがわかりやすく紹介されている。例えば「人はマイナスの刺激により敏感に反応する」「人の多くが信じたくなるストーリーに沿って動く」といった行動原則から、トレードハイ・トレードうつにつながる「認知の歪み」、そして、メンタルマネジメントを取り入れた相場局面ごとの資産管理法など、扱うトピックも実に多彩である。投資初心者にとってはもちろん、キャリアを積んだ投資家にも示唆に富んだ一冊であるにちがいない。

ライター画像
松尾美里

著者

投資メンタルマネジメント研究会
投資、心理、マネジメントのエッセンスをバランス良く効果的に統合した「投資メンタルマネジメント」のスキルを身につけ、長期的・継続的に投資での成功を探求する研究会。投資で成功している人たちの共通要因・エッセンスを抽出し、運用パフォーマンスの向上に加え、メンタル面やマネジメント力の強化を図り、その成果を社会に発信することを目的に活動している。海外MBAホルダー、ファンドマネージャー、証券アナリスト、テクニカルアナリスト、企業経営者、経営コンサルタント、中小企業診断士、心理大学院在学者、メンタルヘルス・マネジメント資格保有者など投資、経営、心理に関わる経験を有する多彩なメンバーが参加している。

本書の要点

  • 要点
    1
    投資で安定的に結果を出すには、投資家心理・行動を反映したマーケットの変化を理解するための「行動ファイナンス」理論や、自分自身の心理的な動きに対処するための「メンタルコントロール」理論を学び、メンタル面を強化することが重要だ。
  • 要点
    2
    投資の過度なプレッシャーによって生じるトレードハイやトレードうつを防ぐには、ストレス要因を取り除き、認知の歪みを「メタ認知」して修正することや、無意識に自分を守ろうとする「防衛メカニズム」と冷静に向き合うことが求められる。

要約

投資になぜ、メンタルが重要なのか

想定外の状況に対処するために

株式投資の世界では、企業業績・市場動向に関わる分析スキルは非常に重要である。しかし、投資で利益を上げ続けるためには、こうした「フィジカル(物理的)」面だけでなく、メンタル面の強化が求められる。

マーケットは常に上下動し、ときに大きく乱高下する。想定外の状況に対する、投資家の非合理的な行動が、非合理的な価格の動きを助長してしまうのだ。そこで、投資家心理・行動を反映したマーケットの変化を理解するための「行動ファイナンス」理論や、自分自身の心理的な動きに対処するための「メンタルコントロール」理論を学ぶことが、適切かつ柔軟な対応のための必須事項となる。

フィジカルな分析手法にもぐりこむ心理要素

投資の基本2大分析

株式投資の基本となるのは「ファンダメンタル分析」と「テクニカル分析」の2つである。前者は、企業の業績を予測し、そこから今の株価水準の割高・割安を判断し、理論株価や将来の方向性を予測する方法だ。一方、後者は、マーケットの動き自体を分析し、過去のパターンから将来の株価の動きを予想する方法である。

いずれも、企業業績や株価という対象を客観的に分析するものの、ここにも心理的要素が入りこんでいる。例えばファンダメンタル分析では、株価は一株利益の何倍の位置にあるのか、その倍率の高低によって割高か割安かが判断されるが、相場全体が強気になれば高倍率でも割高感は消える。つまり、株価の割高・割安を判断する指標は心理的要素で大きく動くのだ。

マーケット心理を読み取る

市場参加者は「感情」で動く
dolgachov/iStock/Thinkstock

経済学は、合理的かつ私益を追求する「経済人(ホモ・エコノミクス)」の存在を前提に、「効率的市場仮説」という仮説に立っている。この仮説とは、「株価に影響を及ぼす情報は、経済人である市場参加者によって瞬時に、かつ適正に株価に反映される。株価が少しでも割高になれば売られ、割安になれば買われるためすぐに適正価格に落ち着く」という内容である。しかし、実際に取引する人間は、合理的な「勘定」だけでなく、非合理的な「感情」にも左右されるため、理論通りの価格に収れんするとは限らない。

1980年代から、株式市場や投資家心理をテーマに、現実の人間を前提にした意思決定や行動の法則を理論化した「行動ファイナンス」が広まってきたことにより、暴騰・暴落のような、非合理的だが、生身の人間にありがちな行動の傾向が明らかになってきた。

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要約公開日 2016.02.17
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