「会議はバレーボールである」と著者は言う。チームが一丸となってボールを拾い、一緒に勝利を目指して、相手コートにスパイクを打ち込もうとするのが、会議である。チーム内に敵はいない。だから、会議の場で「僕が」「私が」と主張するのはお門違いである。同様に、何もしないで隠れていても全く評価されない。
呼ばれた会議で一生懸命ボールを拾い、打ちやすいトスを上げていれば、別の会議に呼ばれる機会も増える。そうして評価を積み重ね、会議で先取りできるホットな情報を入手していくことで、おのずと仕事ができる人になっていける。
だらだらした会議にうんざりしている人もいるかもしれないが、一人の振る舞いが変化することで、会議全体も変わっていく。また、目指すものがチームの勝利であり、個人の能力の競い合いでないとわかれば、もっと楽しく会議に参加できるのではないだろうか。
ただし、会議の場において、若い参加者が決裁者を差し置いて、「それでいきましょう」などとまとめてしまうことがあるが、そうしたことは絶対にやってはいけない。物事を決める会議において、素晴らしいアイデアをまとめあげるのは偉い人の仕事だ。若い人は、手柄を立てようと思わず、とにかくボールを拾って、偉い人にスパイクを打ってもらえばよい。地味にチームに貢献していくことで、着実な評価を得られるのだ。
理想の会議とは、みんなの力を単に足し合わせた足し算で終わるのでなく、掛け算をして大きな数字を生み出せるようにすることだ。そのために、上司が一度決まったことを覆すということもよくある。そうした急な作戦変更を嫌がるビジネスパーソンは多いが、すべてがスピーディーな時代において、柔軟に作戦変更をする人はむしろ有能な上司なのだといえる。
作戦通りに進む楽な試合に出るよりも、強敵相手に作戦変更を余儀なくされながら苦しんで勝つほうが、選手として成長できるはずだ。しんどい会議ほど、あなたを成長させてくれる。
会議に持ち込んでいいのは、筆記用具と必要な資料だけだ。
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