成功脳と失敗脳

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成功脳と失敗脳
出版社
総合法令出版

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出版日
2015年12月07日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「やるべきことは、頭の中で管理している」。「作業中は楽しく、終了後にその出来に対して不満が生じる」。「自分を追い込むタイプだ」。これらの設問にいくつ○がついただろうか。実は、○の数が多いほど、「成功脳」のパターンが優勢であるという。

ビジネスの世界で一目置かれている人や、結果を出し続けているトップアスリート。彼ら成功者には、成功体験を積み重ねるのが得意な脳、「成功脳」を持っているという共通点がある成功者になれるかどうかは、実は、ちょっとした脳の使い方で決まってしまうものなのだ。彼らは失敗に直面しても、目標に向かってひたむきに努力を続け、小さな成功体験を積み重ねることで、大きな成功を手にしている。一方、失敗に対して言い訳をしたり、開き直ったりしてしまう人は、典型的な「失敗脳」の持ち主といえる。

では「失敗脳」から「成功脳」に転換するためにはどうすればいいのだろうか。本書では、脳科学の第一人者であり、各界の一流人たちの成功習慣をつぶさに観察してきた茂木氏が、脳科学の知見とともに、その方法を本書で解き明かしていく。例えば、自分の中に行為者と批判者という二つの役割を持つ「アクタークリティックモデル」や、リラックスしたまま最高のパフォーマンスを発揮できる「フロー」に入りやすくする方法など、知的好奇心をくすぐるトピックがふんだんに紹介されている。

「楽しみながら、成功者の思考法や行動を学んで実生活に取り入れたい」。そんな願いを持った読者におすすめの一冊だ。

ライター画像
松尾美里

著者

茂木 健一郎(もぎ・けんいちろう)
1962年東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。理学博士。脳科学者。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現職はソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。
専門は脳科学、認知科学であり、「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに、文芸評論、美術評論にも取り組んでいる。
2005年、『脳と仮想』(新潮社)で第四回小林秀雄賞を受賞。2009年、『今、ここからすべての場所へ』(筑摩書房)で第12回桑原武夫学芸賞を受賞。
主な著書に『脳とクオリア』(日経サイエンス社)、『ひらめき脳』(新潮社)、『脳を活かす勉強法』(PHP研究所)、『挑戦する脳』(集英社新書)、『結果を出せる人になる!「するやる脳」のつくり方』(学研パブリッシング)、『金持ち脳と貧乏脳』『男脳と女脳』(総合法令出版)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    人間の脳は、成功と失敗をはっきり区別している。脳にとっての「成功」とは、自ら決めた目標に向かって前向きに努力することである。
  • 要点
    2
    脳には、成功確率が低いものに成功したときに、最も喜びを感じるという性質がある。
  • 要点
    3
    成功者は、脳の安全基地があるからこそ、安心して自分を批判的に見て、新しいことに挑戦できる。
  • 要点
    4
    成功脳を強化するには、リラックスしたまま、目の前の仕事に対して集中し、最高のパフォーマンスを発揮できる「フロー」に入れるかどうかがカギを握る。極度のプレッシャーを乗り越えたときに、フローが待っていることも多い。

要約

成功か失敗かは、脳が決めている

脳にとっての「成功」とは?

本書では、失敗脳のパターンを断ち切り、成功脳へ切り替えていく方法を紹介する。

著者によると、人間の脳は、成功と失敗を明確に区別しているという。脳の性質上、喜びの感情を引き起こす報酬物質のドーパミンが放出される回路は、成功したときに強化され、失敗したときに戦略を立て直すようにできている。ここでの成功と失敗の定義は、出世する、裕福になるといった世間一般の成功とは関係なく、脳が設定している。例えば、接待のゴルフで良いスコアを出して取引先に勝つというのは、ゲームでの勝利、つまり一般的な成功といえる。しかし、ビジネスでの交渉をうまく運ばせるためには、上手に負けることが成功ととらえられるかもしれない。脳にとっての「成功」とは、自ら決めた目標に向かって前向きに努力することなのだ。

このように、成功脳とは、自分自身で決めたターゲットに向かってクリエイティブさを発揮し、独自の成功体験を積み重ねるのが得意な脳なのである。

自ら設定した目標かどうかがカギ
Tomwang112/iStock/Thinkstock

仕事や勉強で伸び悩んでいる人は、自分で成功のターゲットをつくることをないがしろにしていることが多い。成功脳を活性化させる秘訣は、「成功のターゲットの設定→努力→判定」というサイクルを回していくことだ。

多くの人は、親や上司といった「世間」から与えられた成功・失敗の基準に沿って生きている。しかし、誰かに押しつけられた目標設定では、成功脳をつくり出すことはできない。いくら達成した結果が同じでも、自ら設定した目標と、他人が決めた目標とでは、脳の喜びの度合いに歴然とした差があるのだ。

まずは、自分の成功の物差しを持つために、1日に10個または20個、小さな目標を達成するという成功体験を積み重ねることが重要である。ポイントは、失敗を許容する勇気をもつことだ。脳には、成功確率が低いものに成功したときに、最も喜びを感じるという性質がある。つまり、失敗の蓄積があればあるほど、次のチャレンジで成功した場合、脳は「この成功は価値がある」と判断する。その結果、脳の栄養ともいえるドーパミンをより多く出し、成功脳の回路が強化されていくのだ。

また、人間の脳は適度なプレッシャーをかけ続けていれば、自然に能率を上げていく。

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要約公開日 2016.03.07
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