本書では、失敗脳のパターンを断ち切り、成功脳へ切り替えていく方法を紹介する。
著者によると、人間の脳は、成功と失敗を明確に区別しているという。脳の性質上、喜びの感情を引き起こす報酬物質のドーパミンが放出される回路は、成功したときに強化され、失敗したときに戦略を立て直すようにできている。ここでの成功と失敗の定義は、出世する、裕福になるといった世間一般の成功とは関係なく、脳が設定している。例えば、接待のゴルフで良いスコアを出して取引先に勝つというのは、ゲームでの勝利、つまり一般的な成功といえる。しかし、ビジネスでの交渉をうまく運ばせるためには、上手に負けることが成功ととらえられるかもしれない。脳にとっての「成功」とは、自ら決めた目標に向かって前向きに努力することなのだ。
このように、成功脳とは、自分自身で決めたターゲットに向かってクリエイティブさを発揮し、独自の成功体験を積み重ねるのが得意な脳なのである。
仕事や勉強で伸び悩んでいる人は、自分で成功のターゲットをつくることをないがしろにしていることが多い。成功脳を活性化させる秘訣は、「成功のターゲットの設定→努力→判定」というサイクルを回していくことだ。
多くの人は、親や上司といった「世間」から与えられた成功・失敗の基準に沿って生きている。しかし、誰かに押しつけられた目標設定では、成功脳をつくり出すことはできない。いくら達成した結果が同じでも、自ら設定した目標と、他人が決めた目標とでは、脳の喜びの度合いに歴然とした差があるのだ。
まずは、自分の成功の物差しを持つために、1日に10個または20個、小さな目標を達成するという成功体験を積み重ねることが重要である。ポイントは、失敗を許容する勇気をもつことだ。脳には、成功確率が低いものに成功したときに、最も喜びを感じるという性質がある。つまり、失敗の蓄積があればあるほど、次のチャレンジで成功した場合、脳は「この成功は価値がある」と判断する。その結果、脳の栄養ともいえるドーパミンをより多く出し、成功脳の回路が強化されていくのだ。
また、人間の脳は適度なプレッシャーをかけ続けていれば、自然に能率を上げていく。
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