リーダーは将来を見据えた事業戦略を描くことを求められるが、そのためにまずは、自社を取り巻く環境を理解せねばならない。最も基本的でシンプルなフレームワークである、Customer(市場・顧客)/Competitor(競合)/Company(自社)に着目する「3C分析」を「使いこなす」ことで、状況が見えてくる。
「3C分析」においては、主観的、定性的な内容ではなく「数字」に基づきしっかり分析すること、分析から何が言えるのかというストーリーを明確に導き出すこと、過去や未来も意識してダイナミックな分析をしてみることが重要だ。
個々の「C」については、たとえばCustomer分析においては、市場と顧客というマクロとミクロ両面の視点が大切になる。一般に、ミクロ視点の分析がおろそかになりがちなので、あるお客が購入の意思決定をするときに大事にしていることは何か、ということをはっきりと語れるようになるまで、追究するようにしたい。
「会計」分野はなじみがないと敬遠されがちだが、日々の行動が財務諸表にどう表れるのかを大まかにつかめるように、最低限の仕組みは知っておいたほうがよい。
主要項目のうち、いくつかを紹介しよう。まず、「売上高」を評価するには、資産規模に見合っているかがひとつの大切な視点となる。売上高を総資産で割った値は「総資産回転率」と呼ばれ、1回転以上になっていることが望ましい状況であるといえる。
また、「営業利益」を見ることで、本業でどれだけ付加価値を上げているのかを把握することができる。売上高に占める営業利益の割合が「営業利益率」である、「ROA(Return On Asset)=総資産利益率」は、銀行から借りた資金や株主資本をどれだけ効率的に利益につなげられているのかという視点だ。「営業利益」を「総資産」で割った数値がROAとなる。
こうした項目を押さえ、リーダーとして、今後のお金の流れがどうなるのか、財務諸表を予測できるような視点を持つことが望まれる。
せっかく秀逸な戦略ができても、実行できなければ価値の創出にはつながらない。実行力を強化するためにも、組織の文化や空気、クセを理解してうまく活用してくことが重要だ。
組織の文化やクセを理解するための視点は、具体的には、企業の存在意義や価値観を表した「企業理念」、戦略と密接に結びつく「組織形態や組織構造」、人事制度ポリシーや採用・育成・配置・評価・報酬といった「人事制度の意図」、「マネジメント層の与える影響」、社内用語・時間に対する意識や業務・会議のスタイルといった「日常で見られる行動様式」だ。
以上の5つの視点を持ちながら自社の組織の文化やクセを把握することで、
3,400冊以上の要約が楽しめる