銀行員が顧客には勧めないけど家族に勧める資産運用術

未読
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銀行員が顧客には勧めないけど家族に勧める資産運用術
出版社
日本実業出版社
出版日
2015年11月01日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

本書に興味を持った人は、資産を効率よく殖やしたいと思っている方が多いのではないか。しかし、本書によれば金融機関の営業担当者の言いなりで金融商品を選んでいると、資産を殖やすどころか逆に減らしてしまう恐れがあるという。なぜそうなってしまうのかという実態と、そうならないための対処法について、10年間銀行員として働き、現在はFPとして顧客の資産運用相談などを行っている著者が、今までに培った知識と経験を基に詳しく説明している。

金融商品に関する情報の大半は、売り手の側から出されたものだ。セールスサイドのバイアスがかかっており、本当の意味で顧客の側に立った情報は1割にも満たないと言われている。そして銀行員の大半は顧客に勧めている金融商品を利用しておらず、商品の9割は自分の家族にも勧められるものではない。その理由は、手数料収入などの金融機関の利益は、購入者の利益と相反するため、勧められた商品が購入者にとっていい商品という訳ではないからだ。

日本では既に終身雇用が当然ではなくなり、老後資産の形成についても会社がサポートしてくれていた時代から、社員一人ひとりが自力で資産運用していく時代になってきている。誰もが個人で将来のための資産形成に取り組む必要があり、お金に関する知識を持っているか持っていないかで大きな差が生まれるだろう。そのような時代の要請に対応するためにも、資産運用を始める前にぜひ本書を読んでいただきたい。

ライター画像
山下あすみ

著者

高橋 忠寛
(株)リンクマネーコンサルティング代表取締役。ファイナンシャル・プランナー(CFPⓇ)。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)。1980年生まれ。上智大学経済学部経済学科卒業後、東京三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入社。法人営業や富裕層向け相続ビジネスを経験し、2007年シティバンク銀行に転職。個人顧客に対する資産運用アドバイス業務に従事し2014年9月に独立。金融教育ビジネスや資産コンサルティング事業を展開している。

本書の要点

  • 要点
    1
    銀行や証券会社は営利企業のため、顧客の手数料によって経営が成り立っている。お客様にとってのコストは金融機関にとっての利益であり、利益相反の関係が生じる。
  • 要点
    2
    資産運用は基本さえ理解すればやるべきことは簡単であり、自分で資産配分を考え、ポートフォリオを組めるくらいの基本的な知識があれば、わざわざ高い管理費用を払う必要はない。
  • 要点
    3
    資産運用の王道は、低コストの商品でポートフォリオを組み、時間分散を図りながら長期投資をすることだ。投資とは実はそれほど複雑でむずかしいものではなく、極めてシンプルなものと考えるべきだ。

要約

銀行員のアドバイスどおりではうまくいかない

銀行員は金融商品の売り手である
scanrail/iStock/Thinkstock

金融機関の営業担当者は資産運用のプロでもコンサルタントでもなく、金融商品の売り手であることをまずは理解したい。銀行や証券会社は営利企業のため、顧客の手数料によって経営が成り立っている。「お客様にとってのコストは、金融機関にとっての利益」であり、ここに利益相反の関係が生じる。

加えて、金融機関と顧客の間には資産運用の時間の意識に決定的な違いがある。大半の方が資産を長期的に殖やしたいと考えているが、営業担当者は一定期間ごとにノルマがあり、それは顧客からの手数料収入を増やすことにより達成できるものだ。したがって、自分の営業成績や昇進のために、短期で効率よく手数料を稼げる投資信託に誘導しがちになる。

顧客が投資信託を購入後、運よく値上がりしたら、利益の確保のために別の投資信託に買い替えるようにアドバイスして、次々に商品を乗り換えてもらい、顧客から購入手数料を取る。これではせっかく殖えたお金も手数料によって削り取られ、資産形成など望めない。

女性や年配の顧客がターゲット

銀行には本当に優秀な営業担当者もいるが、それはごく少数で、大半は普通の営業担当者だ。その中でも専門知識やコンサルティング能力ではなく、高いコミュニケーション能力のみで信頼を勝ち得てしまう営業担当者には注意が必要だ。そのターゲットは金融の知識をもち合わせていない女性や年配の顧客である。

最近は「退職金運用プラン」などの商品を販売している銀行も増えているが、この種のプランは手数料を考慮すると割高であることも多い。退職金は老後の生活を支える大事なお金なので、くれぐれも見せかけの利回りにだまされてはいけない。

銀行員の本音とカモネギにならない方法

カネのない若い客には保険を売れ
ashumskiy/iStock/Thinkstock

30代、40代の人たちが定年を迎えるころには年金財政はいま以上に厳しくなっているだろうから、本当の意味で資産運用が必要なのは若い人たちだ。しかし、若者は

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要約公開日 2016.04.14
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