経済学が対象としているのは、貯蓄、消費、投資、労働といった私たちの生活そのものだ。家庭や会社、地方自治体、国など、目的を持ってこのような経済活動をおこなうものは、「経済主体」と呼ばれる。世の中は、それぞれに利害が相反することもある「経済主体」が複雑に絡み合ってできている。
経済学を、著者は、「社会において、限られた資源(お金や時間)を有効に活用することで、人々がしあわせになるにはどうすればよいかを研究する学問」と定義する。個人としても、自分がどういう経済的選択をすればしあわせになれるかを考えることはとても大切なことである。
ただ、個人の「選択」は、経済の基本知識がなかったり、誰もが陥る心理的な罠にはまってしまったりすると、容易に間違えてしまう。以下の例を考えてみてほしい。
何かを選ぶべきときに、必ず考えておきたいのが「機会費用」だ。その行動を選択しなかったら、どれだけの利益が得られたかということが「機会費用」の意味である。
「大学へ行くことの機会費用」とは、大学へ行かずに四年間働いたらどれくらいの収入を得られるのか、ということである。
また、選択の際に絶対に考えてはいけないのが「サンクコスト」だ。「サンクコスト」とは、すでに費やしていてもう戻らない費用のことである。映画を観るときを例に挙げると、入場料がサンクコストにあたる。つい、人は、入場料を払ったのだからといって、つまらない映画を観続けてしまうが、既に払ってしまったお金のことは振り返らず、途中で映画館を出てしまったほうが時間を有効に使えるのである。
世の中の経済の状況、景気を示す指標の一つであるGDPは、「ある年に一国全体で生み出される付加価値の合計」である。
あるケーキ屋が材料を20万円で仕入れ、ケーキを作って100万円の売り上げを得たなら、80万円はケーキ屋が新たに生み出した価値、つまり付加価値となる。この付加価値は、ケーキ屋の粗利益と等しく、粗利益は従業員やオーナーの所得となる。そう考えていくと、GDPは一国の国民全体の所得だとおおざっぱに見ることもできる。GDPの増減は、国民の収入の増減を表しているものとして見られるのだ。
日本のGDPのうち、最も多い
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