強いカラダ・ココロ・アタマをつくる はたらく人のコンディショニング事典

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出版社
クロスメディア・パブリッシング

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出版日
2015年11月24日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

デキるビジネスパーソンとして多くの人が思い描くのは、常に忙しく残業に追われ、食事はコンビニなどで適当に済ませ、睡眠時間は2、3時間、十分に休息をとれないのは当たり前、というような姿だろうか。しかし、そうした生活では、仕事に対する最適なコンディショニングができているとは言い難い。高い能力を持っていても、土台となる身体/出来事を受け止める心/受け止めた出来事に対する対処法を編み出す頭が本調子でなければ、すぐれたパフォーマンスを生むことは不可能だ。本書は、「カラダ」・「ココロ」・「アタマ」がそれぞれに抱える不調を取り除き、ベストパフォーマンスを引き出す方法について、それぞれの分野の研究結果や最新の情報などから紹介するものだ。

眼精疲労に関する項目にはこんな興味深いことが書かれている。現代人はパソコンやスマホなど手元のピント調整にばかり目を酷使しているため周辺の筋肉が疲れてしまう、ということまではよく知られているかもしれない。しかし、眼精疲労が蓄積されてしまうと自律神経のバランスが崩れ、全身の血行不良につながるとまではご存じない方も多いのではないだろうか。些細な不調であれ、放置するとより大きな不調につながってしまうのだ。

ほかにも、負の感情にさいなまれてしまったときに自分を客観的に見つめ、ネガティブな思考のクセを矯正する方法など、さまざまな不調の解決法が紹介されているので、自分にあてはまるものからぜひ試してみていただきたい。

ライター画像
下良果林

著者

岩崎 一郎(いわさき・いちろう)
脳科学者・医学博士。
京都大学卒業後、アメリカに留学し、ノーベル賞受賞教授の下で博士号取得。通産省主任研究官、ノースウェスタン大学医学部脳神経科学研究所の准教授を歴任し、脳細胞の神経伝達機構の研究に従事する。帰国後、国際コミュニケーション・トレーニング(株)を設立。脳科学をビジネスに応用して企業・個人の価値を高める独自の研修や習慣化プログラム、コンサルティング、脳科学ブランディングを提供している。

松村 和夏(まつむら・わか)
OL、海外生活を経たのち、料理・栄養の道へ。女子栄養大学の「臨床栄養医学研究室」にて、生活習慣病の研究に携わる。その後は「管理栄養士免許」「調理師免許」「食生活アドバイザー」等の、飲食に関する資格を取得。現在は、看護学校、大学院にて講師として勤務するかたわら、広尾料理倶楽部の主催や、料理研究、飲食店のメニューアドバイザーとしても活躍中。また、野球やサッカーなど一流プロスポーツ選手への栄養指導など、幅広く活躍している。

渡部 卓(わたなべ・たかし)
ライフバランスマネジメント研究所代表、帝京平成大学 現代ライフ学部教授、産業カウンセラー、エグゼクティブ・コーチ。1979年早稲田大学政経学部卒。モービル石油入社後、コーネル大学で人事組織論を学び、ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院でMBAを取得。90年日本ペプシコ社入社の後、AOL、シスコシステムズ、ネットエイジを経て、2003年ライフバランスマネジメント社設立。職場のメンタルヘルス対策の第一人者として、講演、企業研修、教育分野、マスコミでの実績は多数に上る。

本書の要点

  • 要点
    1
    仕事や勉強に集中すると交感神経が優位になるが、その時間が長くなると次第に血中酸素量が低下して疲れを引き起こす。副交感神経を優位にする休憩時間を積極的につくり、疲れを取り除こう。
  • 要点
    2
    ストレスフルな時代を上手く生き抜くためにおすすめなのが、雑念を取り除く「マインドフルネス」という状態を意識することだ。代表的な訓練方法である瞑想には、雑念を取り除くだけでなく、注意力・集中力を高める効果がある。
  • 要点
    3
    良くない出来事をマイナスに受け止めるのではなく、ひと呼吸置き、その受け止め方が合理的かどうかを客観的に点検するクセを身につけよう。

要約

【必読ポイント!】カラダを鍛える

疲れとの向き合い方
twinsterphoto/iStock/Thinkstock

心身の疲れはどこからやってくるのだろうか。疲れの原因は、実は脳にある。自律神経には体の動きを活動的にする交感神経と、逆にリラックスさせる副交感神経の2つがあるが、そのバランスが崩れることで疲れが生じるのだ。仕事や勉強に集中すると交感神経が優位になり、呼吸数や心拍数、体温、血圧が上昇するが、その状態が長く続くと取り込む酸素の量が減り、血中酸素濃度や血糖値が低下する。部分的に体温が低下するため、コリも起こる。それを防ぐためには、副交感神経にスイッチを入れることが必要となるが、ただボーっとするのではあまり効果がない。体を動かして血行を良くすること、深呼吸でたくさんの酸素を取り込むことを心がけるとよい。

また、現代病ともいえる、眼精疲労に注目してみよう。目の水晶体というレンズの厚みを調整する毛様体筋は、自律神経によってコントロールされている。交感神経が優位のときは、毛様体筋が緩みレンズが薄くなるので遠くにピントが合う。副交感神経が優位のときはその逆で近くにピントが合う。この仕組みはそもそも人間が原始的な生活をしていた頃は非常に合理的だった。日中は獲物や外敵に対応するために遠くにピントが合い、夜はその必要がないのでゆっくり休みながら近くにピントが合うというサイクルだったからだ。

しかし、現代では日中、長時間のデスクワークやスマホ利用によって、緊張を強いられて交感神経が優位になるはずなのに、近くに焦点を当てようと副交感神経も優位になる。そのため自律神経が疲弊し、眼精疲労の原因となる。眼精疲労を放置すると血圧が異常に上がり、血流も滞って全身に不調をきたす可能性がある。目のケアは全身のコンディショニングにとって重要なファクターだ。

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要約公開日 2016.04.26
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