心身の疲れはどこからやってくるのだろうか。疲れの原因は、実は脳にある。自律神経には体の動きを活動的にする交感神経と、逆にリラックスさせる副交感神経の2つがあるが、そのバランスが崩れることで疲れが生じるのだ。仕事や勉強に集中すると交感神経が優位になり、呼吸数や心拍数、体温、血圧が上昇するが、その状態が長く続くと取り込む酸素の量が減り、血中酸素濃度や血糖値が低下する。部分的に体温が低下するため、コリも起こる。それを防ぐためには、副交感神経にスイッチを入れることが必要となるが、ただボーっとするのではあまり効果がない。体を動かして血行を良くすること、深呼吸でたくさんの酸素を取り込むことを心がけるとよい。
また、現代病ともいえる、眼精疲労に注目してみよう。目の水晶体というレンズの厚みを調整する毛様体筋は、自律神経によってコントロールされている。交感神経が優位のときは、毛様体筋が緩みレンズが薄くなるので遠くにピントが合う。副交感神経が優位のときはその逆で近くにピントが合う。この仕組みはそもそも人間が原始的な生活をしていた頃は非常に合理的だった。日中は獲物や外敵に対応するために遠くにピントが合い、夜はその必要がないのでゆっくり休みながら近くにピントが合うというサイクルだったからだ。
しかし、現代では日中、長時間のデスクワークやスマホ利用によって、緊張を強いられて交感神経が優位になるはずなのに、近くに焦点を当てようと副交感神経も優位になる。そのため自律神経が疲弊し、眼精疲労の原因となる。眼精疲労を放置すると血圧が異常に上がり、血流も滞って全身に不調をきたす可能性がある。目のケアは全身のコンディショニングにとって重要なファクターだ。
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