いつも余裕で結果を出す人の複線思考術

未読
いつも余裕で結果を出す人の複線思考術
いつも余裕で結果を出す人の複線思考術
著者
未読
いつも余裕で結果を出す人の複線思考術
著者
出版社
講談社
出版日
2015年11月24日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

忙しいのに結果が出ない人と、いつも余裕で結果を出す人。本書によると、その違いが「複線思考」という頭の使い方に起因するという。

複線思考とは、現実の認識に対して「別の視点」を同時並行的に持ち、複数の思考を行うことである。頭の中に二本以上の線路が敷かれ、列車が並走しているようなイメージだ。複線思考ができる人は、頭の中に複数の選択肢があり、どれが効率的なのかを瞬時に判断し、要所を直感的につかんで、処理にかけるエネルギーを上手に配分する。「これしかない」と追いつめられた気持ちで仕事をするのではなく、複数の選択肢を検討することで、心に余裕が生まれるのだという。人間は、一つの見方に縛られていては効率的な考え方ができない。自己と他者、主観と客観、部分と全体、直感と論理、現実と問いといった、二つの路線を自覚的に使い分けることを、著者は提唱する。

複線思考ができれば、客観的な判断力が身につき、対人関係も強くなり、ストレスが減っていくという。本書では、そんな良いことずくめの思考法を、世阿弥や宮本武蔵といった歴史上の人物から、錦織圭やマツコ・デラックスなどの著名人まで幅広い事例もまじえて紹介していく。著者の守備範囲の広さや教養の深さも垣間見られ、夢中で読めてしまうだろう。

自分の感情をうまくコントロールして、良いパフォーマンスや人間関係を保ちたい。そんな願いをかなえてくれる魔法の一冊をぜひ紐解いてほしい。

ライター画像
松尾美里

著者

齋藤 孝(さいとう・たかし)
明治大学文学部教授。1960年、静岡県に生まれる。東京大学法学部卒業。同大学大学院教育学研究科博士課程を経て、現職。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。テレビ、ラジオ、講演等多方面で活躍。
著書に『声に出して読みたい日本語』(草思社文庫、毎日出版文化賞特別賞受賞)、『身体感覚を取り戻す』(NHKブックス、新潮学芸賞受賞)、『雑談力が上がる話し方 30秒でうちとける会話のルール』(ダイヤモンド社)、『小学生のための論語』(PHP研究所)、『余計な一言』(新潮新書)、『大人のための読書の全技術』(KADOKAWA)、『齋藤ゼミ 「才能」に気づく19の自己分析』(講談社)など多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    複数の思考を同時並行で走らせる複線思考を身につけることで、仕事の生産性を高め、良好な人間関係を築くことができる。
  • 要点
    2
    複線思考は、他者への理解力・自分を客観的に見る力・全体を俯瞰する力・直感と論理を合わせた判断力・思い込みにとらわれない発想力の5つから構成されている。
  • 要点
    3
    自己を客観視する「メタ意識」を持って感情を整理することで、気分をコントロールすることができるようになる。
  • 要点
    4
    部分と全体の両方の視点を持つことで、より広い視野で物事を捉え、思考を深めることができる。

要約

単線思考と複線思考

複線思考の5つの力

複線思考とは、現実の認識に対して、「別の視点」を持ち、複数の思考を同時並行で走らせる状態である。

著者は、対話の最中に相手の質問に答えながら、次に話すべき内容をメモしながら話しているという。これは典型的な複線思考であり、「相手の話を聞く」ことと「次の質問を準備する」ことを同時に行っているのだ。

複線思考は次の5つの力から成る。1つ目は、相手の立場になる「他者視点」を持って、相手の気持ちを汲み取り、深い人間関係を築いていく力である。2つ目は、もう一人の自分が自分を客観的に見ることで、感情をコントロールし、コンディションを整える力である。3つ目は、全体を俯瞰し、「全体」と「部分」の視点を使い分けながら、状況に応じて柔軟に対処する力だ。4つ目は、直感の正しさを論理的に説明でき、瞬時に正しい判断ができる力である。そして5つ目は、思い込みにとらわれず、常識を覆す発想をする力である。

複線思考は、意識的な訓練によって、誰でも身につけていくことができる。本書では、複線思考によって仕事のスキルをアップさせる方法や、良好な人間関係を築く方法を多角的に紹介していく。

余裕を生み出す複線思考
shironosov/iStock/Thinkstock

現代は、スピードが重視され、細切れの情報ばかりがメディアで発信されて、現実の認識のみに注意を向ける「単線思考」に陥りやすい時代だといえる。SNSでのコミュニケーションは、単線思考をさらに助長している。同質性の高い人と、同じレベルの会話を続けているにすぎないからだ。このままでは、自分の思考を広げてくれる深い次元のものとの接触が減って、複雑な文脈をとらえる力が衰えるだけでなく、人としての厚みがなくなってしまう。また、想定外を前提にした選択肢をとれないというのも、単線思考の弊害である。

一方、複数の視点を同時並行的に持ち、複数のモードを自在に切り替える複線思考を身につければ、仕事への集中力が高まり、生産性向上につながる。また、望む結果にたどり着くまでのルートをいくつも用意できるので、状況に合った最適なルートを見つけることができる。こうして醸し出される「余裕感」は、周囲の人に「気楽に付き合えそうだ」という印象を与え、仕事が舞い込んできやすくなるのだ。

自己視点と他者視点を両立させる複線思考

消費者の視点で「他者実現」をめざす

複線思考ができる人は、自分

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要約公開日 2016.07.01
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