思わず惹きつけられる優れたリーダーは、前向きなエネルギーにあふれ、他者に心を開き、困難に対峙しても前進し続ける。彼らが人々の記憶にしっかりと刻まれる理由は、ブレない「コアとなる中心」に基づいたセンタード・リーダーシップを発揮しているからだ。彼らに共通する要素を、著者は次の5つに特定した。
(1)意義:最も強力で、センタード・リーダーシップのコアとなる特徴である。意義を持って物事に打ち込むことが、その人の強みを開発し、自信や勇気、人生の目的、持続的な充実感をもたらしてくれる。
(2)フレーミング:物事を認識して判断する際の枠組みや感情・思考パターンを指す。このパターン化された行動のトリガー(引き金)が何なのかを特定し、自分の恐れを受け入れることで、物の見方や信念を変える「リフレーミング」が可能となる。そうすることで、環境に適応し、多くの可能性を発見できる。
(3)つながり:他者との信頼関係や意義のあるコミュニティを築くことである。また、多方面から強力にサポートしてくれるスポンサーとのつながりは、成長を促す効果を持つ。
(4)主体的な行動:真の望みを実現させようという意図、選択した目的に集中しようとする意識が一致し、恐れと希望のバランスをとって行動することを指す。自分の行動に対するオーナーシップが、リーダーとしての存在感を生み出す源となる。
(5)エネルギー:体、心、精神的な安定、魂の健康を保つことで、高いパフォーマンスを日常的に発揮し、失敗しても即座に回復できるような原動力を意味する。エネルギーは、先述した4つの要素の燃料となる。
これらの要素を習得し、習慣化できれば、前向きな影響力、達成感、そしてレジリエンス(精神的回復力)を手に入れ、行動の幅をぐっと広げられるだろう。
リーダーシップの旅に出る前に、理想のリーダーを思い浮かべてみたい。彼らを特徴づける資質を20以上リストアップし、「①IQやスキルに関連した資質」、「②感情・エネルギーに関連した資質」、「③意義に関連した資質」の3つに分類するのだ。すると、①よりも②と③の欄に多くの資質が書き加えられていることに気づくだろう。つまり、私たちは、プロとしての技術に長けた聡明なリーダーよりも、周りを明るくし、行動力を与えてくれるようなリーダーを特別な存在としてみなすのだ。
また、尊敬する人物の資質をよく見ると、それらは実は自分自身が持つ特徴を投影したものであるとわかる。なぜなら、それらを発見できたのは、自分の中にも同じ資質が眠っているからだ。あとは、その眠っている資質を解き放つだけでよい。
センタード・リーダーシップで最も重要なのは、自分が周囲に貢献しているという実感をもたらす「意義」である。意義の追求は、永続的な幸福感につながるからだ。
幸福感には3つの段階がある。1つ目は「単純な喜び」、2つ目は、自身が心惹かれる「積極的な行動」がもたらす幸福感、
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