バブルが弾け、この20年間、年収は下降傾向にある。一方で、社会保険料は増加し、スマートフォンへの移行や震災後のエネルギー価格の高騰、円安により通信費、水道・光熱費は増えている。私たちが日々使えるお金は減り続けているのだ。実際、「貯蓄がない」という世帯割合は以前であれば20%前後で推移していたが、2013年では30%を超えており、3人に1人の割合で貯蓄が全くない世帯がある。
以前のような勢いのない日本は、世界のお金の流れからどんどん離れていっているといえる。それにも関わらず、私たちの行動は、親世代が描いていた「毎年年収が増え、上場企業に就職し夢のマイホームを手に入れる」というような一昔前の未来予測に基づくままではないだろうか。そうした行動は、現実に合わせて変えていかなければならないのだ。
実際、「10年後、どれぐらい貯蓄があるか」と考えたことがあるだろうか。多くの人は人生設計をする上で、マイホーム購入や子どもの教育費等、お金の流れに大きく影響を与える出来事が発生してから初めてお金のことを考える。しかし、人生全体とそれらをリンクして考えなければ意味がない。10年後、20年後の単位でお金の流れを見て、最終的には自分たちが老後どのぐらいの費用の準備が必要なのか、トータルで考えていくべきなのである。
下記の観点から、マネープランを考えてみよう。
マイホームと賃貸、どちらが得かというのは大きなテーマである。
住宅をローンで購入した場合、先々かかってくる高額の修繕費なども考慮すると、だいたい50年住むことでコスト的に賃貸と並ぶ、と著者は試算する。50年その場所に住むのかということと、日本の住宅は平均30年で劣化して取り壊されるという現実も合わせて検討する必要がある。
また、家を購入する時、「今支払い可能な金額」「購入にかかる費用」のみを計画し、「総返済金額」を考える人は少ない。5000万円の物件には利息がついて、5000万円以上を支払うことになるのだ。現金で購入しない限り、住宅ローンを組んで購入することになるが、それは金融商品を購入することと変わらない。よって、大小のリスクが伴う。もちろん将来のリスクを的確に判断し、未然に防ぐことは非常に難しい。一番大事な点は、どのぐらいのリスクなら耐えられるか、そしてそのリスクに対し備えが可能なのか、自分で認識してローンの金利を選ぶことである。
掛捨てという言葉を、損をするととらえがちの日本人は、どちらかというと積み立て系の生命保険に加入する人が多い。しかし、生命保険=貯蓄ではない。
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