貯蓄を増やす方法は、収入増、支出減、運用の3つしかない。しかし、収入増加は一概に難しいだけでなく、実際は収入の多寡が貯蓄高とイコールになるとは限らないため、まずは支出を減らすことから始めると短期間で成果が表れる。
支出を抑える上で重要なのは、毎月定額の支出となる固定費の見直しである。食費や交際費などといった変動費の抑制と違い、固定費を一度抑えるとその状態が維持できるため日常生活で我慢や無理をする必要がない。固定費の例としては、住宅ローンや生命保険、携帯電話の通信費、習慣化している趣味代や英会話等が挙げられる。
次に貯蓄法について二つ紹介する。一つ目は自動積立機能の利用だ。定額が自動的に定期預金に移されるため知らぬ間に貯蓄ができ、また残りの額でやりくりせざるを得ない状況を作り出せる。二つ目は家計簿をつけることである。面倒だという人には家計簿アプリをお勧めしたい。上記の方法に加え、貯蓄額を可視化し夫婦で共通の目標を立てるなど、家計の中身を夫婦で共有できると尚良い。共働き夫婦の場合それぞれが財布を持つため、家族全体の支出総額や貯蓄総額の把握が特に難しい。例えば、夫婦共有の銀行口座を作るなど、お金の流れが管理しやすくなる仕組み作りを行おう。
貯蓄に向けまず夫婦で取り組むべきことは、日常生活の節約方法ではなく人生の中で生じる大きな支出について話し合うことである。人生の5大支出とは、住居費、教育費、老後の生活費、生命保険料、自動車関連費用である。それぞれ1,000万円単位での支出が想定され、支出の総額は2億円以上になるものだ。
まずは、いつどんなイベントが起こりどれ位の費用がかかるのか、そのためにはどれ程の貯蓄が必要なのかを可視化し、夫婦や家族で共通認識を持ち協力し合うことが大切である。目標が明確化すれば、飲み代のような短期的な出費は減らし長期的な効用を選択するようになる。
住宅購入の頭金に貯金をほとんど充てる、というのはもったいない。確かにローンの総返済額や利息額は減少するが、それまでコツコツ貯めた現金は一度支払ったら手元には戻らないし、頭金を少し増やしたところで利息額の大幅減にはつながらない。頭金の支払いを最低限にしておけば手元に現金が残り不測の支出にも対応できるし、返済を優先させたいときには借入後、資金に余裕がある時に繰り上げ返済すればよいのだ。
ローン金利を選択する際、契約期間中同じ金利でローンを組める固定金利がお勧めだ。また、固定と変動の両方を選択できるローンを利用する場合、手持ちの貯蓄額の範囲内で変動金利を選べば、金利上昇時に返済可能となり更に現在の超低金利を享受できる。また、年末のローン残高に比例した免税額が10年間適用される「住宅ローン減税制度」というものがある。これはローン残高が多いほど免税額も大きくなるため、最低限の頭金支払いとすることで免税の恩恵を多く享受できることになる。
家を持つには、購入と賃貸どちらの方が得だろうか? 平均的なケースでは、住宅購入後ローン完済までの期間は購入の方が賃貸よりも支出増だが、ローン完済直後から差は縮まり購入後40年経過時に逆転し以後は賃貸の方が支出増となる。つまり、
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