金融とは、お金が余っている人(資金運用者)から、お金が不足している人(資金調達者)へと、お金を融通することである。このお金の貸し借りを仲介するのが、銀行などの金融機関である。お金の調達や運用といった取引を円滑に行うためのしくみを金融システムといい、このシステムがうまく機能していれば、家計、企業、政府という経済の主体の間をお金がスムーズに流れていく。このマネーフローを起こすしくみこそが「金融」であり、金融の働き次第で経済が活性化したり、停滞したりするのだ。
金融に不可欠な機能として「為替」と「金利」がある。「為替」とは、現金を使わずに、口座からの引き落としや送金がなどの取引ができる機能だ。現金受け渡しの手間やリスクをなくす便利なしくみである。また、為替は、国内でお金をやり取りする「内国為替」と、外国とお金をやり取りする「外国為替」の2つに分けられる。
もう一つの機能である「金利」とは、「お金を借りたお礼」を果たす機能である。金利はお金の需給バランスによって日々変動する。一般に金利が下がると利払い負担が軽くなるため、企業は銀行からお金を借りて新規事業や設備投資を積極的に行うようになり、経済が活性化する。このように金利の変動は経済活動に大きな影響を及ぼすと言える。
景気の変動は、お金の需給関係に影響を及ぼしている。景気拡大時には、経済全体が活発になり、資金需要が増加して資金の供給を上回るようになり、「金融が逼迫」した状態となる。一方、不景気の時には、経済全体が停滞するため、資金需要が減り、資金の供給が需要を上回り、「金融が緩和」した状態となる。
また、企業の業績も景気に左右されるため、株価も景気の波の影響を受ける。好景気だと株価が上がる。ただし、株価は景気循環を先取りして動く傾向にあるため、景気が良くなる前に株価が上がり始める。なぜなら、投資家は日本や海外の景気が今後どうなるかを予測しながら株式を売買するからである。
金融取引を行うネットワークを金融市場と呼び、短期金融市場、債券市場、株式市場、外国為替市場などに分類される。また、市場は取引期間が1年以下になる「短期金融市場」と、1年超になる「長期金融市場」に分けられる。
各国の金融市場は、グローバル化により結びつきが強まっている。そのため、どこかの国で金融不安が起こると、その国の混乱が世界中に波及するようになった。2008年のリーマン・ショックはその典型だと言える。
そうした性質をもつ金融市場には、価格形成機能と、余剰資金の効率的な配分機能という二つの機能がある。前者は、多くの市場参加者の売買注文が集まる中で、人気の銘柄は高くなり、そうでない銘柄は安くなるという「市場メカニズム」が働き、公正な価格が形成されていくというものだ。
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