脳とお金という関係を考えたとき、お金持ちや成功者に共通する脳の使い方と、お金がなかなか貯まらない貧乏な人の脳の使い方に分類することができる。簡単に言えば、金持ち脳とは「お金を増やすことを考えている脳」であり、貧乏脳とは「ただお金を使うことだけしか考えていない脳」である。
もし、自分が現在貧乏脳であったとしても、これからでも自分を変えていくことができる。なぜならば、金持ち脳・貧乏脳というものは、生まれ持った素質や才能ではないからだ。つまり、普段の生活でちょっとしたことを改善していくだけで、誰でも金持ち脳に変わっていけるのである。
「10年後をしっかりと見据えて、いかに自分の価値を高めていくことができるか」を考えるのが金持ち脳の思考法である。そこで、金持ち脳をつくる最初のトレーニングとして、まずは10年後にどのような自分になっていたいか、どのくらいのお金を稼ぎたいかを考えてみるとよいと著者はいう。
著者の研究によると、リスクテイクのスケール感は、その人の経験によって大きく異なるのだそうだ。お金持ちと貧乏人の間にある、決定的な脳の使い方の違いのポイントはリスクテイクの経験値にある。お金持ちになった人は、数々の修羅場やリスクを経験しつつ、ピンチをチャンスに変えてきた人たちである。その一方で、貧乏な人というのは、うまくリスクテイクができず、修羅場を潜り抜けられず借金をしてしまったり、投資に失敗してしまうような人たちと言える。つまり、確実性と不確実性を計算しながらリスクテイクをしっかりと考えられるかどうかが大きな違いを生むのだ。
脳は基本的に、自分にとってうれしいものを報酬として捉え、その報酬をより得られるような行動を学習するという性質がある。
「食べ物」や「異性」などの報酬は、脳科学の世界では「具体的な報酬」と呼び、「お金」、「社会における評判」、「誰かに認められるといった評価」を「抽象的な報酬」と呼ぶ。そして、現在の脳科学では、「具体的な報酬」の他に、「抽象的な報酬」に対しても、脳が喜びや快感を得て、ドーパミンのような報酬系の神経伝達物質を出すことがわかっている。
一方、ある調査によれば、自分の収入が10%上がったとしても、それによって幸せだと感じる人は意外に少ないとのことである。お金と幸せの関係性は過去に研究されてきた分野であり、一般的には金銭的に豊かな人は貧しい人よりも幸せかもしれないが、脳科学的な見地でいえば、経済的に豊かな人が貧しい人よりも幸福度が高いとは限らないと言える。
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