6章構成の本書において、前半部分(1章から3章)では株主優待の魅力と桐谷さん自身の株主優待生活が描かれている。
桐谷さんは株主優待の魅力として第一に、気軽に始められる点を挙げている。株主優待を取り入れている上場企業は1000社以上にのぼり、1万円前後の株投資で優待を受けられる銘柄もある。
2014年からはNISA(少額投資非課税制度)がスタートし、株や投資信託などの運用益や配当金が一定額非課税になった。株の売買の敷居が低くなったことで、多くの人に株主優待の恩恵を受けるチャンスが広がっているのである。
もう一つの利点として挙げられるのは、資産運用の観点から見ると、株主優待を受けることによって利回りが良くなる点だ。桐谷さんの感覚では、現金で受け取る配当金と株主優待で恩恵を受けた品物とを合わせて現金換算してみると、大体6%の利回りとなるそうだ。
優待のある株を3000万円ぐらい持っていれば、家賃を別にすれば普段の生活は十分送れるくらいの優待品を受け取ることができる。桐谷さん自身は株主優待のある銘柄を中心に時価総額で1億3000万円もの株を運用しており、優待品を使い切れずに余ってしまうほどだという。
株主優待を活用すれば利回り10%も狙えると桐谷さんは述べている。低金利が続く日本経済ではかなりの高利回りを実現できる資産運用だろう。
株主優待と一口で言っても、衣服や自転車、映画の鑑賞券やスポーツクラブの利用券など、優待品の種類は多岐にわたる。優待生活を謳歌するために、桐谷さんは「お金と同じように使える優待のある銘柄」を選んで買うことを奨めている。
例えば旅行の優待銘柄は、優待によって交通費や宿泊費が割引になることはあるものの、無料になることはほとんどない。一方で1000円の食事券は、それを使えば現金は必要なくなる。
桐谷さんの着ている服のほとんどは優待品で、オーダーメイドスーツの購入券やクレジットカード会社のギフト券などを使って購入している。また優待でインスタント食品を手に入れたり、レストランチェーンの食事券を使ったりと、自炊も外食も全て優待でまかなっている。
もしどの優待を活用するか迷ったときは、桐谷さんは「QUOカード」を迷わず選べと述べている。QUOカードなら好きなものを買えるため、使いやすいからだ。同様にお米券やジェフグルメカードも色々なところで使うことができる。
カタログギフトが優待品の場合、桐谷さんは「もの持ちするかどうか」を基準に品物を選ぶか、お世話になった人へのギフトとして活用しているそうだ。
桐谷さんは生活するうえでいかに優待品を使い切るか、そしていかに現金を使わないかという点を徹底している。
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