トヨタの段取り

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トヨタの段取り
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トヨタの段取り
出版社
KADOKAWA
出版日
2015年10月10日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

我が国の人口減少は避けられず、労働力不足も深刻化する一方である。こうした状況下で産業を発展させていくためには、仕事の生産性の向上が不可欠である。そこで、高い生産性を誇るトヨタの「段取り」に目を向けてみるとどうだろうか。「トヨタ生産方式」と呼ばれる現場の生産システムは、国内のみならず海外でも評価が高い。

本書は、そのトヨタの仕事術をまとめた『トヨタシリーズ』の最新作で、生産性(業務効率)を上げ、高い成果を出すためのビジネスツールである「段取り」についてまとめられた一冊である。トヨタの特徴でもあり、「必要なものを、必要なときに、必要なだけつくる」という「ジャスト・イン・タイム」のベースにもなっている「段取り力」とは何なのか。「7つのムダを取り除く」「段取りの質を上げる」など、トヨタがゆるぎない地位を築いてきた秘訣を、生産性向上のトレーナーとして活躍するベテランのトヨタOBたちが詳しく解説する。

本書に登場する「段取り」は、製造業の生産現場だけでなく、オフィスワーカーの業務にも応用できる優れものである。どんな業種、職種であれ、日々の業務を見直し、生産性を上げるために役立つヒントが満載だ。ただ仕事を効率よく終わらせるだけでなく、付加価値の高い成果を出すためのビジネスツールである「トヨタの段取り」を学び、ぜひ自身の仕事や働き方を一つ上のレベルへと向上させたい。

ライター画像
山下あすみ

著者

(株)OJTソリューションズ
2002年4月、トヨタ自動車とリクルートグループによって設立されたコンサルティング会社。トヨタ在籍40年以上のベテラン技術者が「トレーナー」となり、トヨタ時代の豊富な現場経験を活かしたOJT(On the Job Training)により、現場のコア人材を育て、変化に強い現場づくり、儲かる会社づくりを支援する。
本社は愛知県名古屋市。60人以上の元トヨタの「トレーナー」が所属し、製造業界・食品業界・医薬品業界・金融業界・自治体など、さまざまな業種の顧客企業にサービスを提供している。
主な書籍に20万部のベストセラー『トヨタの片づけ』をはじめ、『トヨタ仕事の基本大全』『トヨタの問題解決』『トヨタの育て方』『{{図解トヨタの片づけ』『トヨタの上司』、文庫版の『トヨタの口ぐせ』(すべてKADOKAWA)などシリーズ累計60万部を超える。

本書の要点

  • 要点
    1
    段取りを常に見直して継続的に「ムダ」を取り除くことで、生産性を向上させるだけでなく、仕事の付加価値を高め、問題点を見つけて仕事の質を高めることができる。
  • 要点
    2
    トヨタでは、段取りを「ムダ取り」と位置づけ、「加工のムダ」「在庫のムダ」「動作のムダ」などの7種類のムダを取り除いてきた。
  • 要点
    3
    段取りの質を上げるためには、作業時間を短縮し、トラブルの未然防止に努め、そのノウハウを横展開することが重要である。

要約

【必読ポイント!】 仕事の成果は「段取り」で決まる

段取りは「How」ではなく「Why」

多くの人は段取りを考えるときに、まず「How」(どうやるか)を優先しがちだ。しかし、その前に「Why」(なぜやるか、目的)に注目すべきである。その目的に沿って、「どうやるか」を決めるのが本来のあるべき手順である。目的を明確にしておかないと、段取り通りに作業が進んでも、期待していた成果が得られないことがある。

段取りをうまく進めるためには、先を見通す力が必要で、経験値がものをいうと思われている。しかし、まずは目的を確認し、それに沿って「いつ、どこで、誰が、何を、どうやるか」といった5W1Hをきちんと押さえることで、経験値の少ない若手でも、突発の事態に備えつつ、様々なケースに対応することができるようになる。

段取りは「ムダ取り」

自分の仕事を振り返ったとき、どの作業が付加価値を生んでいるのかを認識しているだろうか。

トヨタでは付加価値の源泉となる作業を「主作業」、付加価値は生まないが現時点では必要な作業を「付随作業」と呼んでいる。例えば、営業の仕事ならお客さまとの商談が主作業、アポイント取りや資料の作成などが付随作業である。トヨタでは、付随作業の時間を極力短くし、主作業の割合を高めることで生産性向上を可能にしてきた。

なお、付加価値に全く貢献しない作業は、即刻なくすよう努めるべきである。段取りは「ムダ取り」といっても過言ではない。まずは、日々の業務に費やす時間を主作業、付随作業、ムダの3つに分類することが重要である。

ギリギリまで着手しない
Peter Dressel/Blend Images/Thinkstock

段取り上手な人は、仕事に着手するのが早い、というイメージを持たれがちだ。しかし、本当に成果を出す人は、デッドラインが決まったら「いかに締め切りに近いタイミングで着手するか」を考えて段取りを組む。作業のリードタイム(所要時間)を把握し、ギリギリまで着手を待つことで、最新の情報を取り込み、品質を上げることができるからである。また、仕事に着手するのが早すぎると、途中で仕様変更が起こり、結局仕事が増えることになってしまう。

自動車の製造においては、企画から販売までに数年間の時間を要する。市場のニーズを取り込み、短期間で市場に商品を送り出すことが重要であるため、全体のリードタイムをいかに縮められるかがカギとなる。

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要約公開日 2016.04.18
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