どんな仕事でも必ず成果が出せる トヨタの自分で考える力

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どんな仕事でも必ず成果が出せる トヨタの自分で考える力
出版社
ダイヤモンド社

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出版日
2015年07月24日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.5
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おすすめポイント

トヨタの現場はなぜ強いのか? 改善から問題解決、整理、発想、マーケティング、マネジメントまでトヨタ「秘伝の思考法」を紹介したのが本書である。著者は、元トヨタNo.1メカニックという異名を取り、トヨタグループの現場で「自分で考える習慣」を身につけてきた。この思考法を異なる業界の人にも広めたいという願いから、トヨタのPDCAに関する本などを執筆されている。

トヨタが世界的に大きな成果を上げているのは、現場の一人ひとりが、自分で問題を見つけ出し、仕事のプロセスを改善し続け、みんなで共有しているからだという。トヨタでは、日々の仕事の中で、自分で考える力を鍛えるための5つの「思考の型」を学ぶ。「改善思考」「横展思考」「現場思考」「真因思考」「行動思考」。本書では、この5つの型をどのように身につけ、実践に活かせばいいかが解き明かされていく。

IT業界で営業8年目を迎える主人公と、トヨタの現場を統括してきた経験を持ち、主人公のメンター的な存在である取締役をめぐる物語として、本書は展開される。臨場感に満ちたストーリーを読み進めるうちに、トヨタグループ全体に伝わる秘伝の思考法が、頭に染み込んでくる。また、トヨタグループ全体で徹底され、自分の頭で考えるための強力なガイドとなっている「38の口グセ」を、楽しみながら学べるのも本書の特徴である。

物事の本質を見抜き、問題を解決する力を磨きたい、またはその力を部下に伝授したいと考える方にこそ、本書をおすすめしたい。

ライター画像
松尾美里

著者

原 マサヒコ
株式会社プラスドライブ代表取締役CEO。
1996年、神奈川トヨタ自動車にメカニックとして入社し、5000台もの自動車修理に携わる。現場において口グセを徹底的に叩き込まれ「自分で考える習慣」を身につけると、技術力を競う「技能オリンピック」で最年少優勝を果たす。さらに、カイゼンのアイデアを競う「アイデアツールコンテスト」では2年連続全国大会に出場するなど活躍。IT業界へ転身すると、PCサポートを担当したデルコンピュータでは「5年連続顧客満足度No.1」に貢献。2015年にWEBマーケティングを推進する株式会社プラスドライブを設立しCEOに就任。WEBマーケティングの現場において日々自分の頭で考えながら、クライアントの利益向上に貢献している。著書に『新人OLひなたと学ぶどんな会社でも評価される トヨタのPDCA』(あさ出版)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    トヨタで重視されている「自分で考える力」を鍛えるためには、「改善思考」「横展思考」「現場思考」「真因思考」「行動思考」の5つの思考の型を身につけるとよい。
  • 要点
    2
    優れた人を「ベンチマーク」し、他の人の担当業務も対応できるようになる「多能工」の考え方を取り入れることで、良いアイデアを横展開し、全体の底上げを図ることができる。
  • 要点
    3
    問題が起きたときは、「5回のWHY」を問いかけることで、原因の背後にある「真因」に迫り、本質的な解決を図ることができる。

要約

改善思考

どうすれば成果が上がるのか?

本書では、ストーリー形式で、トヨタの現場で働く人が「自分の頭で考える」ための強力なガイドにしている5つの思考の型を紹介していく。

まず本書で紹介されているのは「改善思考」である。知恵を出しながら、現状を少しでも良くしていこうという考え方だ。改善を重視する背景には、「すべてはお客様のため」という考えがある。改善をうまく進める順序は、身の回りの作業のムダをなくす作業改善、職場環境や設備のムダをなくす設備改善、そして業務フローや工程のムダをなくす工程改善である。人は「変えて失敗したらどうしよう」という恐怖心で足がすくみがちだが、まず身近なところから改善することで、頭が活発化する「作業興奮」が誘発され、さらに大きな課題にも取り組めるようになる。

頑張ることは汗をかくことではない
George Doyle/Stockbyte/Thinkstock

朝早くから探し物に追われていた主人公は、トヨタでの現場の統括経験を買われて取締役に就任した金城取締役にこう諭された。「時間は動作の影だ。ムダな動作をするほど、ムダな時間が増える。改善や価値提供の活動である『仕事』の時間を創出するために、徹底的にムダな動作を排除しなくてはいけない。」

頑張ることは汗をかくことではない。トヨタは、いかに生産性を向上できるかを考え、改善を重ねてきた。

そのための方法の一つとして、「自動化」という手法がある。主人公は、顧客のサーバーの運用障害を、運用チームが見逃してしまうという問題に対して、運用の監視を自動化できるツールを提案した。コストが低く済むことや、導入作業も負荷が少なく、ツールによって人的ミスを防げることを伝えた結果、ツールの導入が決まった。そこに「自らの知恵を足せ」という取締役のアドバイスを取り入れた結果、運用チームが多くの時間を割いていたレポート作成のムダも省くことができた。

【必読ポイント!】 横展思考

視点をずらして1+1=3にする

2つ目の思考の型は「横展思考」である。良いアイデアや事例をどんどん広げて、全体の底上げを図るというものだ。トヨタでは、社内の部署同士の情報交換はもちろんのこと、地区ごとに交流する機会や、改善成果のコンテスト、発表会など、様々な規模で「横展」が繰り広げられている。

ベンチマークせよ

主人公は、何かと差をつけられている同期に妬みを抱いていたが、取締役は、身近に優れた人をベンチマークする重要性を説いた。

小さな工場から始まったトヨタも、業界を問わず優良企業をベンチマークし、自社との差を測定しては、その差を一つ一つ埋めていくことで、今や売り上げ27兆円規模の会社にまで成長を遂げることができた。トヨタの在庫管理で有名な「カンバン方式」も、アメリカのスーパーマーケットの取り組みをトヨタが独自に進化させていったものである。

周囲から良いものを積極的に取り入れ、自分が成長したと感じたら、視点をずらして、さらなる高みを目指すことが大切である。

多能工と横展開
IvelinRadkov/iStock/Thinkstock

トヨタには「多能工」という考え方がある。部品の取り付け担当を毎回変えて、他の人の担当業務もこなせるようになることで、欠員が出ても周囲がカバーでき、個々人の視野も広くなる。

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要約公開日 2015.09.03
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