自修自得す

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自修自得す
出版社
経済界
出版日
2015年12月08日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

本書はカリスマ経営者として知られる北尾吉孝氏の人気ブログ書籍化第8弾となる。時事問題からリーダー論、古典文芸に対する造詣まで、多岐に渡るトピックが扱われているが、その全てに通底しているのは、中国古典に依拠した著者の人生哲学であろう。

本書のキーワードは「天命」である。自らの天命を見極め、それに従ってやるべきことに従事する――これを徹底させることがいかに難しいか、そしてこの課題にどう向き合えばいいかが、読者に語りかけるような平易な言葉で綴られている。何事かを成し遂げたいと思いつつ、どこかくすぶっているところがあるのならば、本書を手にとってみるとよいだろう。きっと大いに刺激を受けることができるはずだ。

特に、「技能に関しては長所を伸ばすべきだが、精神に関しては短所を直す意識を持ったほうが良い」という著者の指摘に対しては、もっともであると膝を叩いた。長所を伸ばすことに重点を置く向きのある昨今においては、ともすれば自分の精神面での弱さと向き合うことから逃げてしまいがちになる。しかし、社会を生き抜き、より魅力的な人間に成長していくためには、常に自己を省みることは必要不可欠ということなのだろう。

タイトルにある「自修自得」とは、自ら学び悟るという意味であり、まさにこの自省・自反の精神を表している。著者が中国の古典から学んだ叡智に、皆様も本書を通じてぜひ触れていただきたい。

著者

北尾 吉孝
1951年、兵庫県生まれ。74年、慶應義塾大学経済学部卒業。同年、野村證券入社。78年、英国ケンブリッジ大学経済学部卒業。89年、ワッサースタイン・ペレラ・インターナショナル社(ロンドン)常務取締役。91年、野村企業情報取締役。92年、野村證券事業法人三部長。95年、孫正義社長の招聘によりソフトバンクに入社。現在、SBIホールディングス株式会社代表取締役執行役員社長。また、公益財団法人SBI子ども希望財団の理事、SBI大学院大学の学長も務める。

本書の要点

  • 要点
    1
    日本の持つ豊かな精神文化を再認識し、国家としても個人としても独立自尊の精神を持つべきである。
  • 要点
    2
    損得ではなく善悪を自らの判断基準とせよ。確固たる志がないことには人はついてこない。
  • 要点
    3
    常に「恒心」の態度を保つように努力せよ。どんな事態にも動じない心は、学びを通して培われ、天命を自覚することによって支えられる。
  • 要点
    4
    自らの使命を悟り、全身全霊を捧げて仕事に取り組もう。そうすることで精神が鍛えられ、人間的魅力が生まれてくるのである。

要約

独立自尊の精神を養う

惑わされず、自らの意志を持ち行動すべし
roibu/iStock/Thinkstock

日本は独立自尊の精神を持つべきである。その意味で、安倍政権の掲げている方針や政策は一定の評価に値する。安全保障関連が憲法違反であることは法学上妥当な指摘ではあるが、それならば自衛隊自体が違憲であるとして叫ばれなければ筋が通っていない。現状や将来のことを鑑みれば、現行の憲法を改正するべきという結論が導かれて然るべきである。

もともと、現行の憲法は米国主体で作られたものであり、その主目的は日本を弱体化させるというものであった。マッカーサーが押し付けた現行憲法の中で、日本人は主体性を発揮できない状況に陥ってきたと著者は主張する。そもそも米国は、国際法違反となる日本への原爆投下に始まり、近年ではイラク戦争にまで手を出しており、「徳のある国」であるとはとても言えない。日本人は米国の行いをやみくもに正しいと考える節があったが、その姿勢を変えるべきときが来ている。

また、世界的に見ても、中国と韓国を除き、周辺諸国は戦後70年間の日本の歩みを評価しており、平和安全法制についてもおおむね支持を表明している。このような状況を踏まえれば、激変する国際情勢の中で、日本は特定の国家に依存するのではなく、自らの足で立てるようになる必要があるといえる。

自由や独立の意識は、国家だけではなく、国民一人ひとりに求められていることでもある。

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要約公開日 2016.05.13
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