ずるい考え方

ゼロから始めるラテラルシンキング入門
未読
ずるい考え方
ずるい考え方
ゼロから始めるラテラルシンキング入門
未読
ずるい考え方
出版社
あさ出版
出版日
2011年05月28日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

「ラテラルシンキング」という言葉をご存知だろうか。それは、どんな前提条件にも支配されない自由な思考法であり、そのユニークさゆえに、まじめな人に「ずるい! その手があったか」と思わせる。本書で使われている「ずるい」は、思いもよらない発想で周囲を驚かせ、課題を鮮やかに解決することに対する褒め言葉である。

例えば、本書の中に「13個のオレンジを3人で公平に分けるためには、どうすればいいか』という問いかけがある。1人4個ずつで残りの1個は3人平等になるように分けて食べればいい、と考える人が多いだろう。しかし、ラテラルシンキング的な発想をすれば、「ジュースにして分ける」という解決策を導くことができる。「オレンジを分ける」と言われると、固体のまま分けることばかり考えてしまい、「液体にする」という発想はなかなか浮かばない。こうした思い込みこそが、ラテラルシンキングの天敵なのである。まずは問いの前提条件を疑うことにより、自由な発想が生まれてくることを、本書は教えてくれる。

本書では、読者がラテラルシンキングを楽しく身につけられるよう、多種多様な事例やトレーニング問題が紹介されている。一緒に考えてみると、「なるほど!」と思わされることばかりであり、とても楽しく読み進められる。また、それぞれの章末で要点がまとめられており、大変理解しやすい。物事の見方、考え方を変えたい人にこそ、本書を手にとっていただきたい。

著者

木村 尚義(きむら なおよし)
株式会社創客営業研究所 代表取締役。アカデミーヒルズ六本木ライブラリー個人事業研究会会長。流通経済大学卒業後、ソフトウェア開発会社を経てOAシステム販売会社に転職。たたひとりでパソコンショップの運営を任されるが、パソコンマニアの常連に接客と機種説明を任せるなど、ラテラルシンキングを駆使して売上を5倍にする。その後、外資系IT教育会社にて、それまでの経験を生かした研修を展開。2万人以上の受講者から好評を得る。従来の発想の枠を越え、常識にとらわれないビジネススタイルを「創客営業」と名付け、全国にてセミナーを実施中。

本書の要点

  • 要点
    1
    常識や思い込みは、ラテラルシンキングの天敵である。問題の前提を疑い、問題解決につながる選択肢はすべて正解だととらえることが、自由自在な発想につながる。
  • 要点
    2
    ラテラルシンキング的な発想をするには、固定観念を打ち破る「疑う力」、物事の本質を見抜く「抽象化する力」、偶然の発見を見逃さない「セレンディピティ」の3つが重要となる。
  • 要点
    3
    日常の何気ない出来事から偶然見つけたものを、別の何かと結びつけることにより、新しい価値が生まれる。また、すぐには必要のないもの(ムダ)の蓄積が、考えの幅を広げてくれる。

要約

ようこそ! ラテラルシンキングの世界へ

ラテラルシンキングとは?

まずは、ラテラルシンキングの特徴について説明していく。ラテラルシンキングは、イギリス人のエドワード・デ・ボノ博士が1967年に提唱した考え方で、一般的には「どんな前提条件にも支配されない、発想の枠を広げる思考法」と理解されている。

これとよく対比されるロジカルシンキングとは、物事を順番に積み上げながら筋道立てて正解を導く「論理的な思考」を指す。常識や経験から妥当だと思われる「正解」を導くためにロジックを掘り下げていくので、垂直思考(Vertical Thinking)と呼ばれることもある。

これに対し、ラテラルシンキングは、解決策を導くための順番や過程を問わない。ラテラル(Lateral)は「水平」という意味を持ち、ラテラルシンキングは、水平方向に視点を広げる思考法なのである。問題の解決につながる選択肢はすべて正解であるため、常識から離れて、自由自在に発想すればよい。

ラテラルシンキングによって生まれる具体的な効果は、次の4点である。

①あらゆる前提から自由になれる。

②異質なもの同士を組み合わせたり、既存の価値を逆転させたりして、まったく新しい

ものが生まれる。

③問題を解決する「最短ルート」を見つけやすくなる。

④結果的に、お金や時間、手間を大幅に節約できる場合がある。

問題解決において、ロジカルシンキングで問われるのは「過程」であるのに対し、ラテラルシンキングで問われるのは「結果」である。両者は相互補完の関係にあり、思考の順番としては、最初にラテラルシンキングで選択肢を広げ、実行段階でその選択肢に問題がないかどうかをロジカルシンキングで考察するのが望ましい。

ラテラルシンキングの必要性
Poike/iStock/Thinkstock

社会はロジカルシンキングに支配されている。物事を論理的に進めなければ世の中が混乱するので仕方がない。しかし、ロジカルシンキング一辺倒になると、発想が貧しくなるだけでなく、本来なら共存できるはずの他の考えをすべて否定することになるため、窮屈で排他的になるおそれがある。

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要約公開日 2016.06.01
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