会社組織で従業員として高い評価を得ていた人が、起業後もそのまま活躍できるかというと、著者の答えはノーだ。それは、組織の一員として成功するために必要な能力や経験と、起業家として成功するために必要な能力や経験はまったく異なるものだからだ。
起業家は経理・財務からマーケティング、営業、資金調達、人事までさまざまな分野に精通しているだけでなく、特定の得意分野を持ったうえで、実績を積み上げていく必要がある。つまり、起業家は大文字のTになぞらえて、T型人間(ゼネラリスト)に変身しなければならない。
また、起業で成功するためには、次の5つの輪が重なるビジネスを探すことが肝要だ。それは、①大好きなこと、②得意なこと、③経験があること、④お金になること、⑤時流に乗っていることである。この五輪の中心を射抜くビジネスは、間違いなく成功確率が高く、著者はこれを「五輪ビジネス」と表現する。
ただし、④お金になることの見極めは難しく、事業が軌道に乗るまでに時間がかかる場合もある。そこで、起業前に複数の収入源を持っておくと、気持ちに余裕が生まれ、地道に事業を展開することができる。起業当初は3つほどの収入源でスタートし、伸びたものに力を注いでいくというシフトチェンジが王道だといえる。
著者が出会う起業家の多くは、商品力か営業力のいずれかの素晴らしさをアピールしてくるという。起業で成功するには1つの能力だけでは不十分である。
著者の知り合いの経営者の言葉を借りると、起業成功の方程式は「SEK」と表現できる。
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