起業するならもっと数字で考えなきゃ!

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起業するならもっと数字で考えなきゃ!
出版社
出版日
2015年11月28日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

著者は会計事務所を切り盛りするかたわら、起業家向け専門サイトを運営し、資金調達のサポートを行っている起業家支援のプロだ。彼は経験上、「起業しても1年後には事業をやめてしまう人が多い」と語る。その理由は、起業家に必要な能力は、会社員として活躍するための能力とは違うからだという。

本書では、起業の構想を練るときのポイントや、消費税対策、効果的な集客ツール、知っておくべき株主の権利、資金調達の方法、事業を展開していくうえでの注意点、事業を拡大するためのノウハウといった、「事業をゼロから立ち上げて軌道に乗せ、大きくしていく」ための52のエッセンスが紹介されている。これから起業しようと思っている人はもちろん、新規事業担当者など、起業家の視点や思考が求められている人には、ぜひ一読をお勧めしたい。

関西を拠点とする著者は、これまでに出会った敏腕起業家たちの関西弁のフレーズを用いながら、その言葉を裏付ける根拠や実際のエピソードを、ユーモアたっぷり、かつ赤裸々に語っている。そのため、難解な説明になりがちな会計知識や数字に着目した事業運営のノウハウも、興味深く読み進めることができ、ポイントを的確につかめるだろう。会社や事業をゼロから立ち上げ、マネタイズする方法の全体観を、楽しみながら学べる最適な入門書だといえる。

ライター画像
高橋朋美

著者

香川 晋平(かがわ しんぺい)
公認会計士・税理士・行政書士。香川会計事務所所長。
関西大学卒業後、大手監査法人にて7年間上場企業の会計監査などに従事し、30歳でリフォームの株式会社オンテックスに入社。「従業員1人当たりの会計データ」を導入し、従業員の生産性を向上。入社後、わずか90日で経営管理本部取締役に就任、在任2年間の累計利益は業界別ダントツNo.1となった。その後、5期連続50%超増収のベンチャー企業や従業員平均年収1000万超の少数精鋭企業などの会計顧問をし、数社の非常勤役員も務める。
また、起業家支援サイト「尼崎・西宮 会社設立・法人化サポート」を運営し、会社設立や資金調達のサポート、会計・税務顧問業務まで年間約50件の起業家支援を行っている。
おもな著書に『東大卒でも赤字社員 中卒でも黒字社員』(リュウ・ブックス アステ新書)、
『もっと仕事は数字で考えなきゃ!』『リーダーならもっと数字で考えなきゃ!』
『営業ならもっと数字で考えなきゃ!』(いずれもあさ出版)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    起業を成功させる方程式は、商品力(S)×営業力(E)×管理力(K)の「SEK」と表現できる。
  • 要点
    2
    第三者に自分の会社へ出資してもらう場合、起業家は株主の権利をしっかり理解しておくべきである。また、2分の1以上の株を保有しておくことを著者は勧めている。
  • 要点
    3
    資金調達を成功させるには、銀行は企業の前向きな理由に対してしか融資はしないという、金融機関の常識を知るべきだ。
  • 要点
    4
    人を雇うときは、目の前の人物が給与の2割増しの価値を生みだせるのかどうかという視点を持つことが必要だ。

要約

起業の構想を練るときのポイント

起業家の適性と「五輪ビジネス」

会社組織で従業員として高い評価を得ていた人が、起業後もそのまま活躍できるかというと、著者の答えはノーだ。それは、組織の一員として成功するために必要な能力や経験と、起業家として成功するために必要な能力や経験はまったく異なるものだからだ。

起業家は経理・財務からマーケティング、営業、資金調達、人事までさまざまな分野に精通しているだけでなく、特定の得意分野を持ったうえで、実績を積み上げていく必要がある。つまり、起業家は大文字のTになぞらえて、T型人間(ゼネラリスト)に変身しなければならない。

また、起業で成功するためには、次の5つの輪が重なるビジネスを探すことが肝要だ。それは、①大好きなこと、②得意なこと、③経験があること、④お金になること、⑤時流に乗っていることである。この五輪の中心を射抜くビジネスは、間違いなく成功確率が高く、著者はこれを「五輪ビジネス」と表現する。

ただし、④お金になることの見極めは難しく、事業が軌道に乗るまでに時間がかかる場合もある。そこで、起業前に複数の収入源を持っておくと、気持ちに余裕が生まれ、地道に事業を展開することができる。起業当初は3つほどの収入源でスタートし、伸びたものに力を注いでいくというシフトチェンジが王道だといえる。

起業成功の方程式は「SEK」である
RL Productions/DigitalVision/Thinkstock

著者が出会う起業家の多くは、商品力か営業力のいずれかの素晴らしさをアピールしてくるという。起業で成功するには1つの能力だけでは不十分である。

著者の知り合いの経営者の言葉を借りると、起業成功の方程式は「SEK」と表現できる。

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要約公開日 2016.06.22
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