GAMIFY ゲーミファイ
GAMIFY ゲーミファイ
エンゲージメントを高めるゲーミフィケーションの新しい未来
GAMIFY ゲーミファイ
出版社
東洋経済新報社
出版日
2016年01月15日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

「ゲーミフィケーション」という言葉を耳にしたことがある、という人は多いだろう。ゲーミフィケーションとは、ゲーム感覚で商品やサービスを利用・体験してもらうことで企業側が利益を得るとともに、ユーザーの成長や改善を促す方法である。新しい手法だけに「ゲームのように楽しんでもらえれば大丈夫に違いない」「流行りものだからユーザーはすぐ飛びつくだろう」などと誤解されていることが多く、その定義もあいまいだ。

著者は、ガートナー社で2010年よりゲーミフィケーションに関する研究の指導にあたってきた人物だ。ゲーミフィケーションは、マーケティングや顧客ロイヤルティ、人事、営業、イノベーション創出など、あらゆる分野で活用されており、その可能性はとてつもなく大きいと著者は語っている。社員の目標達成に対するモチベーションを高めたいと考える企業の研修にも、ゲーミフィケーションは効果を発揮してくれる。

本書では、ゲーミフィケーションをサービスやソリューションに導入するにあたって、開発者が陥りがちな失敗パターンについても丁寧に語られている。対象者をやる気にさせることは困難を伴うが、本書で紹介されている最先端の成功・失敗事例から、自社の事例に応用できる数多くの教訓を得られるだろう。ゲーミフィケーションの構想を推進する際のガイドブックとして、本書を活用していただきたい。

ライター画像
下良果林

著者

ブライアン・バーク
ガートナー社リサーチ担当バイスプレジデント。エンタープライズ・アーキテクチャの専門家として、破壊的技術の最新動向および企業に与える影響を数十年にわたって評価してきた。2010年からゲーミフィケーション研究の指導に携わり、現在はビジネス成果志向のエンタープライズ・アーキテクチャ研究のリーダー。フェデレーテッド・アーキテクチャの開発における著者の画期的な成果は、数百の民間企業・公営組織に導入されている。ゲーミフィケーション、IT戦略、ITの組織構造、経営戦略とIT戦略の一致といった分野の研究者として有名で、講演者としても活躍中。

本書の要点

  • 要点
    1
    ゲーミフィケーションとは「人々が自身の目標を達成できるよう動機づける手法」である。単純な娯楽ととらえると誤用を招き、ゲーミフィケーションの導入が失敗に終わるケースも多い。
  • 要点
    2
    やる気を維持する報酬は、自律性や自尊心といった内的なものでなくてはならない。外的報酬の濫用は、長期的に見れば逆効果である。
  • 要点
    3
    ゲーミフィケーションを成功させるには、対象者を正しく理解し、彼らの目標を把握し、彼らが目標を達成したくなるよう動機づけることによって、企業側の目標をも達成できるようデザインすることが重要だ。

要約

【必読ポイント!】 ゲーミフィケーションの力

ゲーミフィケーションの可能性

カナダのバンフ国立公園内にあるノーケイ山スキーリゾートでは、スキーヤーが1日に一定の滑走標高差をクリアするごとに、勲章のバッジが配られている。バッジの色は、達成の難易度に応じて銅・銀・金・プラチナに分類されている。このように、人をバッジで動機づけることは新しいことではないが、現在ではリアルなバッジは、バーチャルなものに変わりつつある。

もちろん、プレイヤーにバーチャルなバッジを提供することだけがゲーミフィケーションではない。ほかにもポイントやレベル、ランキング表といったゲームメカニクスを用い、あらゆる活動の場で人をやる気にさせ、動機づける力を持っている。

では、ゲーミフィケーションを成功させるにはどうしたらいいのだろうか。

ゲーミフィケーションを成功に導くには
3D_generator/iStock/Thinkstock

まずは、ゲーミフィケーションの定義について説明したい。ガートナーでは、ゲーミフィケーションを「ゲームメカニクスおよび体験デザインを駆使し、人々が自身の目標を達成できるよう、デジタル技術を利用してやる気にさせ、動機づけること」と定義した。ゲームメカニクスとはポイントやバッジといったゲームに共通する主要な要素である。また、体験デザインとはプレイ空間やストーリーラインなどを含むプレイジャーニーを説明するものを指す。

とりわけ大切なのは、プレイヤーを動機づけて行動をおこさせ、各自の目標を達成させることで企業側も目標を達成することである。この目的を正しく理解していなければ、ゲーミフィケーションの濫用によってプレイヤーに「バッジ疲れ」をおこさせ、ソリューションそのものへの嫌悪感を抱かせてしまう。対象者と企業にとって共通の目標を見極めることや、対象者にとって価値のある目標を与えることが重要なのだ。

報酬の質を理解する
aijohn784/iStock/Thinkstock

カナダ屈指の小児研究病院である通称シックキッズでは、がんの子どもに痛みのレベルを毎日忘れずに報告してもらうための方法を、紙の報告書から、「ペインスクワッド」というモバイルアプリに切り替えた。このアプリに登録した子どもは、特殊警察部隊ペインスクワッドの隊員として痛みと対峙し、日に2回痛みのレベルを報告するという司令を受ける。退屈な作業へのやる気を維持させるために、司令をクリアすれば、新米隊員から軍曹、最終的には隊長へと昇格できるようレベルを設定し、獲得した勲章のバッジも可視化した。

さらには、カナダで人気の警察ドラマの出演者たちに登場してもらうことで、子どもたちのやる気を鼓舞した。

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要約公開日 2016.06.20
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