本書は第一部「内容・ストーリー・構成」、第二部「伝え方とスライドデザイン」の二部構成であり、それぞれいくつかのプレゼンテーション技法のエッセンスが解説されている。基本的に本書は、「仮に自分がTEDのようなプレゼンテーションをするのであれば」というシチュエーションのもと、プレゼンテーションの技法を語っている書籍である。
TEDのようなプレゼンテーションをする機会は非常に稀だと思われるが、ハイライトでは実際にビジネスパーソンが頻繁に直面するであろう局面をflier側で設定し、そのような局面において本書で解説されているTEDに学ぶプレゼンテーション技法がいかに有効なものなのかを紹介する形式でハイライトを作成した。
ビジネスパーソンとして生きていく中で、誰もが一度は朝礼でスピーチを任された経験があるだろう。いったいどのようなトピックで語れば朝一番社内を盛り上げることができるか。
本書によれば、トピックは『この世界に対する見方が変わるような、あるいは何か行動を起こそうという気になるような、ひとつのアイデアで勝負しよう』ということであり、『何よりもまず、核となるアイデアをはっきりと認識すること』であるという。
そのアイデアに基づき、自身の経験を振り返りながらスピーチの中身を構成するのである。
自社マネジメントの前で新規事業アイデアのプレゼンテーションをすることになったとしよう。1チームに与えられた発表時間は3分。全12チームがプレゼンテーションを行い、1チームだけが提案した新規事業を行うことができる。
このような多数のチームがプレゼンするケースにおいて、どうにかして聞き手の印象に強く残る方法はないだろうか。他にもコンペでの提案など、ビジネスにおいてこのような機会は多い。
本書によれば、TEDスピーカーたちは、『核となるアイデアを基本フレーズやパワーバイト(強いインパクトを与える端的な言葉)に転換し、聴衆の心に深く刻み込まれるまで繰り返し口にすることで、自分たちのアイデアが広く伝わるようにする』のだそうだ。
具体的には、英語で言うと3~12語程度にまでメッセージを要約する。オバマ大統領のスピーチの際のメッセージ「Hope and Change」「Yes, We Can」といった言葉がその具体的な例であり、スピーチの中では最低でも3回はその言葉を繰り返すのだという。
このようにエッセンスを短い言葉に落とし込み、繰り返し発言することは、ビジネスのプレゼンテーションにおいても大いに効果があるだろう。
人前で話をするときに多くの人が悩むのが、どのようにしてスピーチを始めるかということであろう。著者によれば、聴衆が最も集中して聴いているのは、スピーチがはじまって最初の10~20秒間だという。
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