最近著者は、コミュニケ―ション能力を高めたいと願う経営者に投げかける最初の質問を変えたのだという。スティーブ・ジョブズが「我々のハートが歌いだすのは、テクノロジーとリベラルアーツの交差点だ」と語ったことにならい、「あなたのハートが歌いだすきっかけは何ですか?」と尋ねることにした。それにより、以前よりもはるかにワクワクする答えが得られるのだ。
例えば、カリフォルニア州でイチゴの農家団体トップとやりとりした際の話が参考になる。
質問1 あなたの仕事は?
「カリフォルニア州イチゴ協会のCEOだ」
質問2 何に情熱を感じますか?
「カリフォルニア州のイチゴを売り込むことに情熱を感じる」
質問3 イチゴ業界のどんなところが、あなたのハートが歌いだすきっかけになるのですか?
「アメリカンドリームさ。私の両親は移民で畑で働いていた。やがて1エーカーの農地を買うことができて、そこからすべてが始まった。イチゴ栽培にそれほど広い土地は必要ないし、借りればいいから最初から土地を買う必要もない。まさにアメリカンドリームへの足がかりなんだよ」
最初の2つの質問よりも最後の質問の答えが、はるかに面白いという事実に気付くだろう。
ウォータールー大学の経済学教授、ラリー・スミスがキャリア上の成功というテーマに強い関心を持つのは次の要因による。それは自分の仕事に幸せと情熱を感じていなければ、すばらしいキャリアを手に入れられない、ということだ。幸せと情熱を感じていれば、プレゼンテーションで聴衆を熱狂させることが可能になる。キャリアと幸福と人々の心を動かす能力はすべてつながっているのだ。
スミスによると、多くの大学生はカネや社会的地位など、誤った動機でキャリアを目指してしまう。その結果、素晴らしいキャリアを築けない。皆、「すばらしいキャリアを手に入れるには、情熱や夢を追いかけなければならない」と耳にタコができるほど聞いても、それに従わない。それに対して、スミスは次のようにアドバイスをしている。
「自分が情熱を持てるものを探し、実行すれば、すばらしいキャリアが手に入る。それが嫌なら、すばらしいキャリアはあきらめろ」。
ミネソタ大学のジョイス・ボノ教授とミシガン州立大学のリーマス・イリーズ教授は、カリスマ性、前向きな感情、感情の伝わり方に関する研究を行った。
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