IoTビジネス入門&実践講座

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出版社
出版日
2016年09月15日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

最近、IoTに関連する様々な製品や新技術が連日メディアで報じられている。話題となったApple Watchやグーグルグラスなど人間が身につけるタイプのウェアラブル端末。センサーを設置することによって冷暖房や照明など各種家電の制御やエネルギー管理を自動で行うコネクテッド・ホーム。各種産業における業務の自動化や在庫の最適化、作業現場の安全性・生産性の向上が期待されるインダストリアル・インターネット。このようにすでに実用化されているものや、実用間近のものが多数あり、日々進化を続けている。この発展めざましいIoT分野において、新しいビジネスの機会を模索している企業は少なくないだろう。

本書はIoTについて、その基礎からビジネスでの活用法についてまとめた一冊である。そもそもIoTとは何か、それを自社に取り入れるにはどのようなかたちで、どういった方法を採ることが考えられるのか、などを丁寧に解説している。まさに、これからビジネスとしてIoTに関わろうとしている人、あるいはすでに関わっている人にとって、必携の一冊といえる。

すでにパソコンやスマホがあればどこでもインターネットに繋がる環境が実現されつつある。今後は、あらゆる「モノ」がインターネットに接続される。その結果、これまでITには縁のなかった企業でも、アイディア次第でこの新しいビジネス分野に参入することは十分に可能である。ぜひとも本書を傍らに置き、新たな成長の可能性を探ってみてほしい。

ライター画像
櫻井理沙

著者

荻原 裕(おぎわら ゆたか)
大手旅行会社やエレクトロニクス専門商社を経て、2010年センサーシステム開発ベンチャーに参画。海外営業・新規事業開発に従事。2015年より、IoT事業開発共創コミュニティ「IoTrial」を立ち上げ。IoTビジネスコンサルティングおよび各社のIoTハードウェア開発プロジェクト責任者などを歴任。ハードウェア開発に不慣れな企業・起業家の要望を技術仕様に落とし込むなど、様々な中小企業と連携して具現化支援を行う。中小企業診断士。

白井 和康(しらい かずやす)
ビジネスイノベーションハブ代表取締役。大手システム・インテグレーターやコンサルティング・ファームを経て、2014年、ビジネスイノベーションハブを設立。ビジネスモデルのデザインに関するコンサルティングやプロジェクトのファシリテーションを手掛ける。日立インフォメーションアカデミー、翔泳社Biz/Zineにおける「ビジネスモデルデザイン」に関する講座担当やアップサイド運営IoTrialのサービスエグゼクティブアドバイザーを勤める。

本書の要点

  • 要点
    1
    IoTとは、「モノ、ヒト、環境など、現実世界の状態や変化をセンサー搭載機器によってデータ化し、ネットを通じてデータを収集し、その分析結果を現実世界にフィードバックすることで価値を創出する仕組み」である。
  • 要点
    2
    IoTビジネスの企画では、自社のポジショニングや、自社事業がIoTランドスケープのどこに位置するのかなどを把握する必要がある。
  • 要点
    3
    IoTビジネスは提供する価値によって5つに分類できる。取引コストの削減、モノの使用価値の提供、データのビジネス資源化、コンシェルジュ型サービスの提供、トラブルの事前回避の5つである。

要約

IoTとIoTビジネス

IoTとは何か?
Chesky_W/iStock/Thinkstock

現在、日本の多くのメディアは、「Internet of Things:IoT」を「モノのインターネット化」と訳している。このわかりにくい翻訳が、IoTに対する理解を妨げているのではしないだろうか。本書では、IoTを「モノ、ヒト、環境など、現実世界の状態や変化をセンサー搭載機器によってデータ化し、ネットワークを通じてサーバなどにそのデータを収集し、その分析結果を現実世界にフィードバックすることで価値を創出する仕組み」と定義している。

IoTの構成要素

様々なビジネスを支える仕組みであるIoTは、「ヒト・モノ・環境」「インプットデバイス」「データ」「コネクション」「サーバ」「アナリティクス」「アクチュエーションデバイス」の6つで構成される。

まず、IoTは現実世界の状態や変化をセンサーで検知し、それをデータ化するところから始まる。そのため、現実世界を構成するヒト・モノ・環境はすべて、IoTの構成要素である。

次に、インプットデバイスとは、現実世界の状態や変化を検知するセンサーなどを搭載し、ネットワーク接続機能を持った機器である。

データとは、インプットデバイスから得られる様々な情報であり、IoTの仕組みのなかでも主要な構成要素である。

コネクションとは、データをインターネットの向こう側に送る際の経路である。

サーバは、データをデータベースに蓄積し、各種アプリケーションを使って新たな知見を発見したり、効率的にデータを分析したりする。

そしてアナリティクスでは、サーバに蓄積されたデータを分析し、現実世界の状況や変化を可視化し、問題を発見し、トラブルを事前予測し、問題の解決方法を提示する。ここでは、必要に応じて機械学習などに代表される人工知能の技術を活用する。

IoTが今後のビジネスに与える影響

本書では、IoTという仕組みを活用したビジネスをIoTビジネス、IoTビジネスで提供するモノやサービスをIoTソリューションと呼んでいる。

IoTビジネスの範囲は既存業界の境界線を越えるものである。そして、あるIoTソリューションは隣接する別のIoTソリューションと連携することで、さらに大きな価値を生みだす可能性がある。こうした既存の業界の枠を越えたIoTビジネスでチャンスを掴むには、幅広い視点でモノやヒトのネットワークを俯瞰する必要がある。そこで役立つのがIoTランドスケープである。

IoTランドスケープ
chombosan/iStock/Thinkstock

IoTランドスケープは、「ヒト=ウェアラブル」「家庭=コネクテッド・ホーム」「車両=コネクテッド・ビークル」「都市=スマート・シティ」「商業=スマート・コマース」「産業=スマート・インダストリー」という6つの領域で構成される。

IoTビジネスの企画にあたっては、既存事業や新規事業がIoTランドスケープのどこに位置するのか、その内側や外側にどのようなモノやヒトのネットワーク、あるいはIoTビジネスが存在するのかを把握しておく必要がある。

「都市」の領域にあるIoTソリューション

スマート・シティは、IoTランドスケープを構成するものの一例である。この領域では、様々な公共サービスを実現するためのIoTソリューションが計画されており、一部はすでに実用化されている。

スペインのバルセロナでは、市内全域をカバーするWi-Fi接続型のスマート・パーキングメータが利用されている。これにより、駐車可能なスペースの情報が利用者にリアルタイムで提供され、スマートフォン上で駐車料金の支払いも可能になっている。

世界45カ国以上で使用されているビックベリーソーラーは、太陽光発電機能を有し、通信機能を搭載した二酸化炭素を排出しないスマートなゴミ箱である。

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要約公開日 2016.11.10
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