オラクル流 コンサルティング

未読
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オラクル流 コンサルティング
出版社
日本実業出版社
出版日
2016年07月20日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

自社開発のソフトウェアの導入を支援するオラクルのコンサルタントは、業界ナンバーワンとの誉れが高い。それほどまでに評判を勝ち得ている秘訣は、いったい何なのだろうか?

その答えは、オラクルの企業風土にある。社員教育に力を注ぎ、社員の意欲と満足度の向上を重視するオラクルの文化が、ずば抜けた生産性の源になっているのだ。

IT業界の最前線に身を置いてきた著者は、コンサルティングスキルを伸ばすための育成プログラムを開発、運営し続けてきた、いわばコンサルタント育成のプロフェッショナルである。このプログラムは成功を収め、クライアントやパートナー企業からも研修を実施してほしいという依頼が次々と舞い込むようになったという。そのエッセンスを端的にまとめたのが本書である。

本書はコンサルティングスキルを磨くための指南書だが、ここで紹介されているスキルは、あらゆる業界、職種のビジネスパーソンが応用できるものばかりである。敏腕コンサルタントに共通する資質や、クライアントに「信頼できる助言者」だと思わせる方法、不測の事態にも対応するタイムマネジメントの仕方、生産的なミーティングのための準備方法、クライアントの心を動かすプレゼンテーション術など、読みどころ満載だ。絶えずスキルアップを図り、自分をアップデートしたい人に、ぜひともお薦めしたい一冊である。

ライター画像
池田明季哉

著者

キム・ミラー
オラクル社アプリケーションズ・パートナーイネーブルメント部門ディレクター。2000年の中頃、オラクルの北米のコンサルタントとプロジェクトマネジャーの全員を対象としたコンサルティングスキル研修を開発。自身の豊富な知見がぎっしり詰まった研修は大成功を収めて噂になり、クライアントとパートナー企業からも次々に依頼が舞い込む。その後、研修業務はパートナー企業に引き継ぐ。現在は、パートナー企業がオラクル製品を販売・実装するための支援プログラム、イベント、コンテンツを提供してオラクルの販路拡大に貢献している。

本書の要点

  • 要点
    1
    コンサルタントの必須条件は「誠実さ」「品性」「プロ意識」である。この3つを常に意識しなければ、クライアントの信頼は得られない。また、信頼を維持するには不断の努力を伴う。
  • 要点
    2
    コンサルタントにとって一番必要な能力は製品知識ではなく、問題を解決する力である。
  • 要点
    3
    「説得」は、相手を自分の意見に従わせることではなく、クライアントから最善の答えを引き出すことである。
  • 要点
    4
    自分のキャリアは自分次第である。会社で得られる経験や機会を自分のために使うことが重要だ。

要約

コンサルタントという職業

業界ナンバーワンを誇るオラクルのコンサルタント

近年、オラクルが社員教育で最も注力しているのはソフトスキルの分野である。ソフトスキルは、人と円滑にコミュニケーションを取り、生産性を高め、指導力を発揮するために欠かせない。オラクルが競合他社と大きく異なる点は、ソフトスキルのプロフェッショナル育成に重点を置いていることである。

コンサルティングにおいて、卓越したコミュニケーション能力、統率力、資料作成能力、そしてクライアントの心を動かす人柄は必須である。このようなソフトスキルを会得する方法を、オラクルの研修プログラムをもとに紹介していく。

一流コンサルタントの必須条件

一流のコンサルタントになるための必須条件は、クライアントの信頼を即座に獲得し、維持する能力である。相手が個人であれチームであれ、その懐に飛び込み、経営幹部やチームのメンバーから、プロ意識を持った「信頼できる助言者」だと認めてもらうことが必要となる。

そのためには、会社からの指示をクリアするだけでなく、クライアントのネガティブな情報を流さない、実際に仕事をした分だけの料金を請求し、自分の知識を伝授する、といったコンサルティングの倫理規範を守らなければならない。また、自分がどんな付加価値をつけていくのかを言葉で伝え、それを実行することが信頼の醸成につながる。

コンサルタントに転職するには
Minerva Studio/iStock/Thinkstock

システムを導入した経験があるからといって、コンサルタントの資質があるとは限らない。エンドユーザーとしての知識では太刀打ちできない仕事であり、職歴が豊富でないと、業界やビジネスの知識を活かせる場面が限られてしまう。

コンサルタントをめざすには、次の問いに対して、イエスと答えられるかどうか確かめてみてほしい。「大人を教えた経験があるか」、「長期間の出張を楽しめるか」、「指導的立場に立つと同時に、人に仕事を任せたり人の指示に従ったりできるか」、「感情をコントロールする術を身につけているか」。

何より、コンサルティングには他の業種以上に個人的な献身が求められることを心に留めてほしい。

コンサルタントの「商売道具」

「誠実さ」「品性」「プロ意識」。これらはすべて、コンサルタントの大事な商売道具だ。とりわけプロ意識と品性は、一度失ったら二度と取り戻すことはできない。この3つを意識して、ずば抜けた意欲と自信を持った自発的な人間であるという、良い第一印象を与えることが求められる。

まずは、マナーや服装、言動によって、プロフェッショナルであることをアピールしよう。クライアントに初めて連絡するときはメールを使わないこと。文書をメールで送る場合でも、初回は電話をかけて自己紹介するのだ。

また、クライアント先のドレスコードを確認し、そのワンランク上の装いを心がける必要がある。ビジネスカジュアルでも、プロフェッショナルとしての節度とクライアントの企業風土に合わせて、自分の役割にふさわしい服装を選ばなければならない。

【必読ポイント!】 コンサルティングの基本

仕事を「引き受ける前」にやるべきこと
Michail_Petrov-96/iStock/Thinkstock

仕事を依頼されたときは、その仕事が本当に必要かどうかを見定め、必要なタスクの優先順位を考えなければならない。また、自分の仕事の進捗をチームで共有しながら、順調なタスクとそうでないタスクを全員で把握することが望ましい。

クライアントから仕事を指示された場合は、必ずそのタスクがプロジェクトのスコープ(責任範囲)内のことなのかを確認する。スコープ外のタスクならば、プロジェクトマネジャーに相談しよう。スコープ内のことであれば、自分が適任かどうかを考え、そのうえで、タスクの完了時期を明示することが必要だ。新たなタスクが与えられた際は、他の優先タスクを相手に伝え、新たなタスクをその優先順位のどこに位置付けるか、合意に達するまで話し合ったほうがいい。

いずれにせよ、期限を破るのは禁物だ。自分の仕事量を自ら管理し、担当作業に遅れが発生したら、すぐに周知するようにしたい。

コンサルタントは問題解決のエキスパート

コンサルタントにとって一番必要な能力は製品知識ではなく、問題を解決する力である。コンサルタントの最初の課題は、

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要約公開日 2016.11.28
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