近年、オラクルが社員教育で最も注力しているのはソフトスキルの分野である。ソフトスキルは、人と円滑にコミュニケーションを取り、生産性を高め、指導力を発揮するために欠かせない。オラクルが競合他社と大きく異なる点は、ソフトスキルのプロフェッショナル育成に重点を置いていることである。
コンサルティングにおいて、卓越したコミュニケーション能力、統率力、資料作成能力、そしてクライアントの心を動かす人柄は必須である。このようなソフトスキルを会得する方法を、オラクルの研修プログラムをもとに紹介していく。
一流のコンサルタントになるための必須条件は、クライアントの信頼を即座に獲得し、維持する能力である。相手が個人であれチームであれ、その懐に飛び込み、経営幹部やチームのメンバーから、プロ意識を持った「信頼できる助言者」だと認めてもらうことが必要となる。
そのためには、会社からの指示をクリアするだけでなく、クライアントのネガティブな情報を流さない、実際に仕事をした分だけの料金を請求し、自分の知識を伝授する、といったコンサルティングの倫理規範を守らなければならない。また、自分がどんな付加価値をつけていくのかを言葉で伝え、それを実行することが信頼の醸成につながる。
システムを導入した経験があるからといって、コンサルタントの資質があるとは限らない。エンドユーザーとしての知識では太刀打ちできない仕事であり、職歴が豊富でないと、業界やビジネスの知識を活かせる場面が限られてしまう。
コンサルタントをめざすには、次の問いに対して、イエスと答えられるかどうか確かめてみてほしい。「大人を教えた経験があるか」、「長期間の出張を楽しめるか」、「指導的立場に立つと同時に、人に仕事を任せたり人の指示に従ったりできるか」、「感情をコントロールする術を身につけているか」。
何より、コンサルティングには他の業種以上に個人的な献身が求められることを心に留めてほしい。
「誠実さ」「品性」「プロ意識」。これらはすべて、コンサルタントの大事な商売道具だ。とりわけプロ意識と品性は、一度失ったら二度と取り戻すことはできない。この3つを意識して、ずば抜けた意欲と自信を持った自発的な人間であるという、良い第一印象を与えることが求められる。
まずは、マナーや服装、言動によって、プロフェッショナルであることをアピールしよう。クライアントに初めて連絡するときはメールを使わないこと。文書をメールで送る場合でも、初回は電話をかけて自己紹介するのだ。
また、クライアント先のドレスコードを確認し、そのワンランク上の装いを心がける必要がある。ビジネスカジュアルでも、プロフェッショナルとしての節度とクライアントの企業風土に合わせて、自分の役割にふさわしい服装を選ばなければならない。
仕事を依頼されたときは、その仕事が本当に必要かどうかを見定め、必要なタスクの優先順位を考えなければならない。また、自分の仕事の進捗をチームで共有しながら、順調なタスクとそうでないタスクを全員で把握することが望ましい。
クライアントから仕事を指示された場合は、必ずそのタスクがプロジェクトのスコープ(責任範囲)内のことなのかを確認する。スコープ外のタスクならば、プロジェクトマネジャーに相談しよう。スコープ内のことであれば、自分が適任かどうかを考え、そのうえで、タスクの完了時期を明示することが必要だ。新たなタスクが与えられた際は、他の優先タスクを相手に伝え、新たなタスクをその優先順位のどこに位置付けるか、合意に達するまで話し合ったほうがいい。
いずれにせよ、期限を破るのは禁物だ。自分の仕事量を自ら管理し、担当作業に遅れが発生したら、すぐに周知するようにしたい。
コンサルタントにとって一番必要な能力は製品知識ではなく、問題を解決する力である。コンサルタントの最初の課題は、
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