『起業の技術』の著者、浜口隆則氏は複数の起業支援事業を通して、これまで何千人もの起業家を支援してきた「起業の専門家」だ。浜口氏によれば、起業には成功の最大公約数的な「成功の型」があるにもかかわらず、多くの人がそれを知らないために失敗してしまうのだという。本書には「(経営には)何が必要なのか」、「明日から何をすべきか」が12の要素に集約されて紹介されている。
なお、本書は3部構成で、Ⅰ部は経営の要素と構造について「理解する」パート、Ⅱ部はⅠ部で紹介された「必要不可欠な『経営の12分野』」におけるパーツを「構築する」ためのパート、Ⅲ部がⅡ部で構築したパーツを「統合する」パートとなっている。
また、本書には『起業の技術』を実践するワークシートが付いており、書籍を読みながら自ら手を動かすことで、経営に対する理解を深めながら自分のビジネスモデルを構築していけるような工夫がなされている。
シンプルに考えれば、経営とは「顧客との関わりをつくっていく活動」のことだ。そのため、「顧客との関わり」を上手に作れた会社は成功する。
顧客との関係を上手に築くには「商品力」と「営業力」が重要だ。そしてこの顧客との2つの関係づくりをサポートする社内の「管理力」も高めていく必要がある。
本書では「商品力」「営業力」「管理力」の3つの力をそれぞれ4つの分野に分解した、次の「12の要素」が経営においては必要不可欠であると述べている。
①「ミッション」存在価値を考える
②「商品力の29Cuts」絶対価値を考える
③「ポジショニング」相対価値を考える
④「ブランディング」認知価値を考える
⑤「集客力」8つの集客ツール
⑥「見込み客フォロー」5つのパイプライン
⑦「サイレントセールス」販売業から購入支援業へ
⑧「CLVマネジメント」顧客生涯価値(CLV)を高める
⑨「経理・財務」社長のコックピットをつくる
⑩「チームビルディング」自立型組織をつくる
⑪「仕組み化」安定と継続を築く仕掛け
⑫「投資とリスクマネジメント」永続への善循環を築く
この12分野を理解して経営に取り組めば「何をすべきか」が明確になり、継続的な成功への道が一気に近くなるのである。次章ではこのうち③、⑦、⑩、⑫について取り上げている。
ポジショニングとは、「市場における自社の存在位置を徹底的に考えること」だ。優れたビジネスはポジショニングが徹底的に考えられているのである。
著者である浜口氏は「経営の究極のゴールは幸福」であるとし、幸福を追求するためには「戦わない経営」を実践することが重要だと説いている。
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