走れば脳は強くなる

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走れば脳は強くなる
出版社
クロスメディア・パブリッシング

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出版日
2016年08月21日
評点
総合
3.2
明瞭性
3.5
革新性
3.0
応用性
3.0
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おすすめポイント

運動習慣をいかに生活に組み込むか――便利になりすぎた現代社会において、運動はもはや国民的課題とすらいえる。実際、健康維持のために運動習慣が必要だと認識している人は多いだろう。

だが、本書はさらにそこから運動の必要性を掘り下げる。特に、脳への刺激と活性化という観点から、走ることの有用性について突きつめているのが興味深い。本書によれば、走ることによって、記憶力や集中力、発想力など、仕事で成果をあげるために欠かせない能力が鍛えられるという。忙しいからといって、長時間デスクに向かっているよりも、外に出て短時間でも走るほうが、かえって効率的だというのが著者の提言だ。読みすすめていくうちに、「すぐにでも走りたい!」と思ってくるに違いない。そういう意味で、モチベーションを向上させるという意味でも、役に立つ一冊なのは間違いない。

とはいえ、いきなりランニングやジョギングとなると、大変そうだというイメージもあるかもしれない。しかしご安心あれ。本書は、負荷のかかりかたを適切にコントロールするためのプログラムの組み方をしっかりと紹介している。それにしたがえば、負担がかかりすぎたり、逆に負荷が軽すぎて効果が出なかったりということも避けられるはずだ。

無理なく効果的に走る方法を知り、体と脳機能を向上させるための第一歩を、本書とともに踏み出してみてはいかがだろうか。

著者

重森 健太(しげもり けんた)
関西福祉科学大学教授、博士(リハビリテーション科学)。1977年生まれ。理学療法士。聖隷クリストファー大学大学院博士課程修了。ヒトの運動機能を多方面から分析する研究、および脳科学の視点から認知症者の評価及びアプローチに関する研究に取り組む。聖隷クリストファー大学助教などを経て、2011年4月から現職。2014年関西福祉大学学長補佐、2015年同大学地域連携センター長を兼任。また、日本早期認知症学会代議員、NPO法人ハタラク支援協会理事長、NPO法人播磨認知症サポート顧問、重森脳トレーニング研究所所長などの役職でも活動している。主な活動として、エクササイズを用いた脳トレーニングの啓発活動や認知症の介護家族を対象とした「つどい場」、脳トレーニングアプリケーションソフトウェアの開発、社会復帰のためのハタラク支援活動などを展開している。前頭葉、海馬、頭頂葉に特化したエクササイズが人気。

本書の要点

  • 要点
    1
    有酸素運動、とりわけ走ることには、脳に刺激を与え、活性化させるという利点がある。
  • 要点
    2
    走り方に工夫を加えることで、記憶力や集中力、発想力といった、ビジネスにおいても重要な力をさらに鍛えることができる。
  • 要点
    3
    走ることのメリットを充分に享受するには、適切な運動強度、運動する頻度、距離などの設定が大切である。
  • 要点
    4
    走ることを生活習慣としてライフスタイルに組み込み、それを続けていくためには達成感を感じて自信をもつことや、周囲のサポートを得ることがポイントとなる。

要約

脳を退化させないために

現代人の生活には要注意

現代の私たちの生活スタイルは、脳の活性化という意味ではあまりいいものだとは言えない。乗り物やエレベーター、エスカレーターを使った移動にくわえ、職場でも家でも座り姿勢でパソコンやスマートフォンに向かう毎日。このように体を使わずに過ごしていると、脳に刺激がいかず、少しずつ退化していってしまう。

脳を活性化させるためには、運動は必要不可欠だ。なかでも、有酸素運動には脳の老化を遅らせるはたらきや、記憶力・集中力を高めるはたらきがあることが近年の研究からわかった。

一方、脳の活性化というと、いわゆる「脳トレ」といったゲームやパズルを思い浮かべる人も多いかもしれない。だが、これらに取り組んでも単純にそのゲームの技能が高まるだけで、脳への刺激になるとは言いがたい。

走ることはよいことずくめ
Ivary/Thinkstock

人は体を動かすと、脳が刺激されてそのはたらきも活性化される。特に、走ることで記憶を司る「海馬」と、集中力や思考力、感情といった重要な司令を出す「前頭葉」が活性化する。これらはまさに、仕事のパフォーマンスを上げるために直結する重要な能力である。

走ることで脳の刺激となる理由は、筋肉を動かすことで血行がよくなり、多くの酸素が脳に運ばれ、脳細胞が増えるからだ。足には多くの筋肉があるため、「走る」ことが脳の活性化に特に有効だという。実際、有酸素運動を続けたことで海馬の容量が大きくなったという研究や、有酸素運動が脳のなかで新しい神経細胞を生み出すという研究もある。

さらに、走ることはストレスへの抵抗力も生みだす。これは、走ると「セロトニン」というホルモンが分泌されてポジティブな気分になったり、「ガンマアミノ酸(GABA)」が分泌されることで、不安感が解消されたりするためだ。適度な運動を日常的に行うことで、うつ症状が改善されたという研究報告もある。

【必読ポイント!】 脳を鍛える走り方

最適なスピードを知る

走ることで脳を活性化させたいと思っても、適当なスピードで走っていたら大きな効果は得られない。ポイントは運動強度、つまり「走っているときに体にどれくらいの負荷がかかっているか」ということにある。

運動と脳に関する研究結果から考察すると、「運動強度60~80%のランニングを1日20~30分×週3回×3か月」行うのが、脳に適度な刺激を与える走りかたの基準であると言える。運動強度や活動力を記録・測定できるツールを活用しながら、自分にとって最適なペースを見出してみてほしい。

脳を効率よく鍛える
Brian Jackson/iStock/Thinkstock

走ることで脳のはたらきを活性化させたいのであれば、基本となる運動強度を守ること以外にも、もう一工夫加えていきたい。

たとえば、新しいルートを見つけたり、道の途中にある建物を覚えたりしながら、自分のランニングルートマップを作ると、記憶力の向上に役立つ。また、走りながらすれ違う人の顔の特徴を観察し覚えるというトレーニングも効果的だろう。体を動かすと記憶力が上がるため、勉強は走ったあとにするのがお薦めだ。

集中力を鍛えたいのであれば、走りながらひとりじゃんけんをするなど、2つのことを同時に行う「デュアルタスク・トレーニング」を行なうといい。そうすれば、前頭葉が活性化される。このトレーニングは、ランニングにかぎらず、ウォーキングや階段昇降と組み合わせやすいので、日常生活にも取り入れやすいだろう。

一時的に発想力を高める走り方もある。

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要約公開日 2016.12.16
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