心地よい大自然の中で、気の合った仲間たちに囲まれて、好きなことだけをやっている。そう想像するだけで、身体はゆったりとリラックスし、顔には自然と笑みがこぼれてくるだろう。
しかし現実には、満員電車に乗って会社に向かい、パソコンと一日中にらめっこし、苦手な人とも我慢して一緒にいなければならない社会に私たちは生きている。また、自然でないものに囲まれている生活習慣も問題だ。自然でないものは身体にとって居心地が悪いため、身体は無意識にそうした情報を入れないように身構えてしまう。こうしたことから、緊張が生まれるのである。
緊張して身体の「芯」が固くなると、呼吸は浅くなり、消化器の働きは低下し、血行も悪くなってしまう。身体の働きが悪くなっているのに、がんばって普段どおりに生活しようとすれば、疲れてしまうのも当然である。
いくらリラックスしようとしても、すぐに緊張してまた疲れが戻ってきてしまうのは、身体に癖ができてしまっているからだ。
身体の癖は、身体の内部を感じとる「センサー」の使い方のバランスが取れていないために生まれる。たとえば、身体の前側と後ろ側では、どちらにたくさんの意識を回しているだろうか。ほとんどの人は、前側に意識を向けることはあっても、後ろ側への意識は希薄だ。意識が希薄ということは、つまりセンサーの働きが悪いということである。
センサーの働きが悪いと、そこが身体の一部であるという認識が薄くなる。その結果、動きが固定化してしまう。こうしたアンバランスさが緊張をつくり、痛みや疲れの原因となっている。疲れのない身体の状態を維持するには、自分の身体に対して、バランスのよい感覚を持たなければならない。
疲れない身体になるためには、(1)身体の芯をゆるめて、疲れをリセットする、(2)身体の内側へのセンサーをうまく使い、身体のバランスを保つ、(3)身体の外側へのセンサーをうまく使い、外の世界とうまく関わる、という3つのプロセスが必要だ。特に(2)と(3)を両立させ、身体の内外へ、センサーをうまく使うことが肝要である。
人間の感覚は主観的であいまいなものだ。そのため、自分の外で起こっていることと、内で起こっていることの区別が明確にできない。
たとえば、機嫌が悪い人が目の前にいるだけで、自分の気分まで悪くなってしまうという経験はないだろうか。これは、外で起こっていることを、あたかも自分の中で起こっているように感じてしまうことで起こる現象である。
我々の心と身体は、自分とは直接関係のないことにまでふりまわされてしまう。ブレない心と身体を手に入れるには、「身体のセンサー」をうまく使い、自分の身体と外の世界との「距離感」を明確につくるべきだ。
「目が疲れている」と感じる場合、本当に疲れているのは眼球の奥にある筋肉だ。パソコンの画面を長時間見るなど、視野を狭くする習慣が身についてしまっていると、本来自由に動くべき目の筋肉が動かないまま固まってしまう。
目の筋肉をゆるめるのに最も手っ取り早い方法は、
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