大前研一「ビジネスモデル」の教科書

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おすすめポイント

もしもあなたがコカ・コーラや任天堂の社長だったら、経営が行き詰まった時にどう対処するだろうか――著者である大前研一の主催するビジネス・ブレークスルー大学(BBT大学)では、こういった決まった答えのない課題が毎回出されている。学生たちに求められるのは、一週間で情報収集を行って分析し、自分なりの結論を提出することだ。こうした訓練を積むことで、自ら解決方法を導く力を養っているのだという。

本書は、BBT大学で著者が講義した内容を再編集したものであり、ここで扱われている12のケーススタディは、すべて有名企業が現在抱えている実際の課題である。私たちが普段、当たり前のように触れている食品やゲーム、新聞といったものを販売している有名企業の経営は、常に安泰というわけではない。「大前ケーススタディ方式」の特徴は、そんな企業が現在進行形で抱えているリアルな課題を扱っていることである。この方針は、すでに正解が出ている過去のケーススタディしか扱わない昨今のビジネススクールの潮流とは一線を画していると言えよう。

著者がそれぞれの企業に提案しているアイデアは、どれもこれも興味深いものばかりである。だが、それだけで終わらせるだけではもったいない。ぜひ、あなたなりの答えも考えてみていただきたい。そうすれば、本書をより一層楽しむことができるはずだ。

ライター画像
平賀妙子

著者

大前 研一(おおまえ けんいち)
株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長
ビジネス・ブレークスルー大学学長
1943年福岡県生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、東京工業大学大学院原子核工学科で修士号、マサチューセッツ工科大学(MIT)大学院原子力工学科で博士号を取得。
日立製作所原子力開発部技師を経て、1972年に経営コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク入社後、本社ディレクター日本支社長、常務会メンバー、アジア太平洋地区会長を歴任し、1994年に退社。
以後も世界の大企業、国家レベルのアドバイザーとして活躍するかたわら、グローバルな視点と大胆な発想による活発な提言を続けている。現在、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長及びビジネス・ブレークスルー大学大学院学長、(2005年4月に本邦初の遠隔教育法によるMBAプログラムとして開講)。
2010年4月にはビジネス・ブレークスルー大学が開校、学長に就任。日本の将来を担う人材の育成に力を注いでいる。

本書の要点

  • 要点
    1
    まだ解決していない課題について、当事者意識を持って取り組むトレーニングを積まないかぎり、問題を解決する真の思考力は身につかない。
  • 要点
    2
    本質的な課題を突き止めるためには、先入観を持たずに、全体像を把握するよう努めるべきだ。
  • 要点
    3
    情報の収集と分析は同時進行させるべきである。情報を集め、そこから何が見えるのかを書き出してみると、その情報がどんな意味を持つのかが俯瞰的に分かるようになるし、何が必要なのかの検討もつきやすくなる。

要約

大前式ケーススタディ

未解決の課題を用意する

著者が学長を務めるビジネス・ブレークスルー大学(BBT大学)では、「今起きている正解のない課題」としてのケーススタディを取り上げ、「もし自分がこの企業の社長だったらどうするのか」を考える訓練を行っている。

昨今のビジネススクールで扱われているケーススタディは、すでに答えがわかっている過去の経営事例がほとんどである。しかし「今、眼前で起こっている最新のテーマ」を扱うことで、学生たちは新鮮でリアルな課題に対する問題解決能力を養うことができる。

当事者意識を持つ
SIphotography/iStock/Thinkstock

リーダーの立場にいるシミュレーションをしたうえで徹底的に考えることは、ケーススタディをおこなう上で非常に重要だ。どれだけ当事者意識を持って課題に向き合うかで、緊張感も変わってくる。

実際のリーダーたちと同じ条件に立ちながら情報を分析し、自分なりの結論を下すというトレーニングをしていかなければ、問題を解決するための思考力は鍛えられない。

ディスカッションをする

課題を自分ひとりで抱えこんでいても、答えを出せないことは多い。特に、その企業や業界について、自分は十分に知っていると過信しているときは要注意だ。そうした思い込みは、思考を止める原因になってしまう。

そんな時は、ディスカッションを取り入れよう。複数人で深い議論をすることで、思考の壁を壊し、思考回路を変えていく。そうすれば、思いもつかなかった発想が出てくるようになるはずだ。

大見出し【必読ポイント!】 分析・考察・結論づけ

情報収集をしながら分析する

対象が持つ本質的な問題を突き止めるのが、情報収集の究極の目的である。そのためには、まず全体像を把握する必要がある。これを怠ると情報が不足したり、重複を起こしたりする可能性が高い。

それに加えて大切なのは、最初から結論を予測してはいけないということだ。先入観を持って情報収集をすると、得られるものが限られてしまう。全体像を把握するためには、企業の情報だけではなく、その市場や競合の情報も収集するべきである。そうすれば、企業の抱えている本質的な課題も明確になってくるだろう。

さらに、情報は収集するだけでは不十分だ。情報の収集と分析は、同時並行的に進めることが理想である。情報を集めたら、そこから何が見えるのかを書き出してみる。そうすることで、その情報がどんな意味を持つのかが俯瞰的に分かるようになるし、次に何を集めればよいかの検討もつきやすくなる。

図書館とネットを駆使する
jacoblund/iStock/Thinkstock

情報を効率よく手軽に集めるための手段として、図書館は大変すぐれている。業界団体の統計や専門書・論文を簡単に入手できるからだ。

インターネットも、直接アクセスできる一次情報が多いため、得られる情報量は多い。すぐに情報が更新されるため、新鮮度が高いというメリットもある。ただ、

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要約公開日 2016.12.21
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