著者が学長を務めるビジネス・ブレークスルー大学(BBT大学)では、「今起きている正解のない課題」としてのケーススタディを取り上げ、「もし自分がこの企業の社長だったらどうするのか」を考える訓練を行っている。
昨今のビジネススクールで扱われているケーススタディは、すでに答えがわかっている過去の経営事例がほとんどである。しかし「今、眼前で起こっている最新のテーマ」を扱うことで、学生たちは新鮮でリアルな課題に対する問題解決能力を養うことができる。
リーダーの立場にいるシミュレーションをしたうえで徹底的に考えることは、ケーススタディをおこなう上で非常に重要だ。どれだけ当事者意識を持って課題に向き合うかで、緊張感も変わってくる。
実際のリーダーたちと同じ条件に立ちながら情報を分析し、自分なりの結論を下すというトレーニングをしていかなければ、問題を解決するための思考力は鍛えられない。
課題を自分ひとりで抱えこんでいても、答えを出せないことは多い。特に、その企業や業界について、自分は十分に知っていると過信しているときは要注意だ。そうした思い込みは、思考を止める原因になってしまう。
そんな時は、ディスカッションを取り入れよう。複数人で深い議論をすることで、思考の壁を壊し、思考回路を変えていく。そうすれば、思いもつかなかった発想が出てくるようになるはずだ。
対象が持つ本質的な問題を突き止めるのが、情報収集の究極の目的である。そのためには、まず全体像を把握する必要がある。これを怠ると情報が不足したり、重複を起こしたりする可能性が高い。
それに加えて大切なのは、最初から結論を予測してはいけないということだ。先入観を持って情報収集をすると、得られるものが限られてしまう。全体像を把握するためには、企業の情報だけではなく、その市場や競合の情報も収集するべきである。そうすれば、企業の抱えている本質的な課題も明確になってくるだろう。
さらに、情報は収集するだけでは不十分だ。情報の収集と分析は、同時並行的に進めることが理想である。情報を集めたら、そこから何が見えるのかを書き出してみる。そうすることで、その情報がどんな意味を持つのかが俯瞰的に分かるようになるし、次に何を集めればよいかの検討もつきやすくなる。
情報を効率よく手軽に集めるための手段として、図書館は大変すぐれている。業界団体の統計や専門書・論文を簡単に入手できるからだ。
インターネットも、直接アクセスできる一次情報が多いため、得られる情報量は多い。すぐに情報が更新されるため、新鮮度が高いというメリットもある。ただ、
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