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大前研一ビジネスジャーナル No.11の表紙

大前研一ビジネスジャーナル No.11

日本の地方は世界を見よ! イタリア&世界に学ぶ地方創生


本書の要点

  • 日本の地方創生がうまくいかない背景には、憲法8章の問題がある。産業単位としての行政区分を定義し、権限を委譲するべきだ。日本のめざすべき姿は、国や政府に頼らず、地方の各都市がエンジンとなって国を動かしていく「イタリアモデル」である。

  • イタリアでは、地方都市の自立性が高く、それぞれが自前のニッチ商品で世界に冠たるポジションを築いている。また、貿易や産業発展においても、「イタリアのブランドである」ことが重要なポイントになっている。

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【必読ポイント!】 地方創生のカギは世界市場攻略にあり

町おこし、ふるさと創生の現実

日本のほとんどの地域において、人口減少に歯止めがかからない。2040年までに896の自治体が消滅する恐れがあるというレポートも発表されている。国を挙げて「地方創生」に挑んでいるが、その効果は出ているのか。

大前氏によると、地方創生の本来の目的を達成した取り組みは、おそらく一つもないという。もちろん、ご当地ブームや一村一品運動、ソーシャル・コミュニティビジネスといった取り組みは各地で実施されている。しかし、その効果は、街づくりや地域のイメージアップなど、きわめて限定的であり、その地域のGDP増加につながったものはないといってよい。

また、「ふるさと創生」や「リゾート法」といった国家主導のプロジェクトが行われたものの、集客できないテーマパークや赤字の第三セクターが増えただけで、成功事例が生まれていないのが現状だ。

世界の「地方創生」成功事例

zimmytws/iStock/Thinkstock

世界の地方創生の事例に目を向けると、様々なタイプがあることがわかる。例えば、シリコンバレーや、合弁企業が1000社以上集っている北京の中関村など、地域でイノベーションを創出する「シリコンバレー型」、海外企業を誘致し、バックオフィス業務を現地の人が担う「企業誘致、BPO型」、地元の食材を活かした「農産物、食型」などが挙げられる。マイクロソフトやアマゾン、イケアなど、1人の起業家が地元で起業し、世界化を果たす「1人の起業家型」も多い。

一方で、なぜ日本の地方創生はうまくいかないのか。その根本には、「地方自治」について書かれた憲法8章の問題が横たわっている。この8章には「地方公共団体」と明記されているだけで、「地方自治体」という言葉も、都道府県の明確な定義も登場しない。つまり、司法・立法・行政の三権を持つのは中央政府だけというわけだ。そのため、都道府県や市町村に、どのような権限を付与すればいいのかが不明確になっている。

本来、地方経済を活性化させるには、その地域に独自の財源と、司法・立法・行政の三権を与えて、地域の自由度を高めることが欠かせない。日本はコミュニティ、産業単位としての行政区分を定義し、権限を委譲する必要がある。行政単位を大きい順に道州、地域・広域連合(県)、自治体(市町村)、コミュニティ(自治体、商店街)」と4つに分類するとしたら、「市町村レベル」で、地域独自の強みを明らかにし、それを活かして世界展開をめざすことが望ましい。

また、地方創生モデルには、地産地消を基本とする「江戸時代の自給自足経済」モデル、連邦制や道州制のように各州が非常に大きな権限を持つ「米国モデル」、そして、小さい町の大半が自前の産業を持ち、グローバル展開することで経済的な自立を図る「イタリアモデル」の3つがある。中でも日本に最適なのは、「イタリアモデル」だ。国や政府に頼らず、地方の各都市がエンジンとなって国を動かしていくことが、一番現実的な選択肢だといえる。

イタリアとの比較で浮き彫りになる日本の課題

haveseen/iStock/Thinkstock

現在、生産額、輸出額ともにイタリアと日本の地方産業では大きな開きがある。イタリアのコモの絹は生産額が約3000億円、輸出額が約1800億円だという。また、1000億円規模ばかりではないものの、イタリアには自前の産業を持つ町が1500も存在する。さらには、顧客ターゲットを「ハイエンド」「アッパーミドル」にすることで、高値を保持し、利幅を確保している。

これに対し、日本の地方には多くの伝統工芸品があるものの、経済規模が100億円を超える町はほとんど存在していない。おまけに、「ロウワーミドル」「ボリューム」ゾーンのセグメントを狙うため、新興国との価格競争により安値で買いたたかれ、利幅をとれなくなっているのが現状だ。

もちろん、イタリアの中小企業も、中国やEU内の低コスト製品との価格競争にさらされていたが、それをクラスター化によって乗り越えてきた。例えば、トスカーナでは

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要約公開日 2016.12.29
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