世界のリゾートは、1泊10万円という超一流ホテルに代表される「スーパーラグジュアリーリゾート」と、格安ホテルや海水浴場といった大衆向けの「エコノミーリゾート」に二極化している。この両者を柱とする観光産業は、今や6.8兆ドルもの巨大市場を形成し、世界の市場規模としては自動車産業を凌ぐという。
ところが、日本では国や地方が一丸となって観光産業の振興に取り組んでこなかった結果、2013年時点では、国際観光収支で160億ドルの大赤字を生んでしまっている。さらには、訪日外国人数は過去最高を記録しているにもかかわらず、国内旅館の市場規模はこの約20年の間に半分以下に縮小してしまった。日本のホテルや旅館は、ラグジュアリーでもエコノミーでもない中途半端な立ち位置になっており、かわりに外資系のホテルチェーンが加速度的に日本進出を図っているのが現状だ。
少子高齢化が進み、2040年には日本の市町村の50%が消滅するという試算もある中、地域活性化の打ち手として有力なのが、富裕層向けのリゾート開発である。日本も、世界の人気リゾートのトレンドと強みを研究し、インバウンド時代を勝ち抜く「仕掛け」を生み出すことが求められている。
日本の観光地が抱える最大の課題は、世界の富裕層を獲得できていないという点である。とりわけ中国の富裕層は、東南アジアの高級リゾートには1泊あたり一人10万円以上の大金を落としていく。一方、
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