効率的に成果を出し、「稼げる力」を高めるには、「時間を制限する」「時間をずらす」「スピードを加速させる」という3つの時間術を身につけることが欠かせない。
まずは「時間を制限する」という時間術について紹介していく。限られた時間で仕事の精度を上げるには、自分だけの「マイルール」をつくるところからはじめるべきだという。自分を律することができなければ、時間を制限することは困難になる。そこで「時間のマイルール」をつくり、自分の行動を縛ってしまおうという発想だ。
自分の意思で決めるのなら、一方的に強制されるような窮屈さはない。むしろ、「してはいけないこと」「すべきこと」が明確になるぶん、意思決定がスピーディになり、仕事の効率化にもつながるのである。
著者の場合は、「朝4時に起きる」「22時までに就寝し、徹夜はしない」「1日1冊のペースで本を読む」「午前中にアポを入れない」「毎朝必ず『経理』『タスク管理』『データ整理』『Evernoteでメモ整理』をする」という具合に、マイルールを決めているのだという。こうした小さな行動を習慣化することにこそ意味がある。
同じように、「午前中は会議を入れない」「二次会には行かない」などと、「やらないことリスト」をつくって、自分に課すのも効果的である。「やるべきこと」よりも、「やってはいけないこと」のほうが、ルールとして守りやすいからだ。
マイルールとして決めたことにかける時間は、必然的に1日のスケジュールから天引きされる。そのため、つかえる時間が自然と制限され、ルールを守ろうとすることで、他の時間が引き締まるというわけだ。お金の天引きと同様に、時間もあらかじめ天引きすれば、時間のつかい方がうまくなる。
多くの人は、時間を有効活用するためには、「どうやってスピードを上げるか」と考えるのではないだろうか。しかし時間をうまく使うには、「加速よりも減速」、つまり「アクセルよりもブレーキ」のつかい方が重要なのだという。この場合の「ブレーキ」とは中断や静止、休息やプライベートを意味する。
仕事だけで突っ走っていると、体を壊しかねない。だからこそブレーキをタイミングよく踏むことが大切である。そこで、1日のうちに、自分の手をとめて、振り返る余裕を持ち、切羽詰まったときこそ休憩をとるようにしたほうがいい。なによりも、定時で帰ることこそがブレーキになると著者は主張している。
また、スタートに力を入れすぎるのも、後で力を発揮しづらくする原因となってしまう。スタートダッシュをせずに、淡々と毎日コツコツ継続するほうが、長時間、高いパフォーマンスを出せるはずだ。スタートに張り切り過ぎないのは、本当に必要なときにダッシュする余力をつくるためである。
2つ目の時間術は「時間をずらす」という方法である。著者は、他の人と違った時間のつかい方をすること、または、これまでと同じ時間のつかい方を変えることを「時間をずらす」と表現し、それだけで「お金密度の濃い自分だけの時間」を生みだせると断言している。その最も効果的な方法が、早起きして、朝に時間をずらすことである。早起きには次の3つのメリットがある。
1つ目のメリットは、「自分だけの時間が簡単につくれる」ことだ。たとえば、2時間早く起きるだけで、他者から邪魔されない時間が2時間つくれる。その時間を使って、自分なりのマイルールを定めてから、プライベートや仕事に関することに挑戦するとよい。
なお、著者はこの時間には、仕事以外の、「重要度は高いのに、おろそかにしがちなこと」に取り組むことを推奨している。例えば、「勉強」「読書」「調べ物をする」「将来に向けた自己投資をする」などである。
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