マインドフルネスとは、今という瞬間につねに注意をかたむけ、自分の感覚や感情、思考を冷静に観察している心の状態のことを指している。
マインドフルネスを理解するためには、マインドフルネスが足りない状態のことを考えてみるとよい。心配してもしかたがないことを気にしすぎたり、すでに終わった過去のことを延々と考えてしまったりしているときは、注意力が散漫になっている証だ。「今、ここ」の現実とのつながりが失われており、なおかつそのことを自覚していない状態に陥ってしまっているのである。
マインドフルネス瞑想の目的は、まさにそういった状態から抜け出し、マインドフルな状態に自分を持っていくことにある。ただ「瞑想」といっても、現実逃避をして神秘的な体験をするためのものではない。あくまで自分の内側で起こっていることに注意を向けて、観察しつづけるための脳や心のトレーニングだと思えばよい。
やり方はシンプルだ。姿勢を正して、ただ自分のしている「呼吸」に意識を向ける。そして意識が呼吸からずれたことに気がついたら、注意を呼吸に引き戻す。ただこれだけである。
マインドフルネス瞑想はこれ以上ないほどシンプルだ。しかし、やってみるとすぐに、次々と湧いてくる思考に邪魔されることに気がつくだろう。瞑想を深めるためには以下のことに気をつけたい。
まず、瞑想の基本となるのが姿勢と呼吸だ。姿勢や呼吸が不自然な状態だと、内面に意識を集中させようとしても、なかなか集中は深まらないものである。私たちの心・呼吸・身体はつながっている。だからこそ、目に見えず自分でコントロールするのがむずかしい「心」と向き合う前に、自分で意識して変えることのできる「姿勢」や「呼吸」を調整していくことが肝要だ。
瞑想を深める姿勢をつくるうえで、もっとも重要なポイントは、よけいな緊張をゆるめ、最小限の力で背すじをのばすことである。まず、体の土台となる骨盤を起こして、左右の坐骨に均等に体重を乗せる。次に、体の中心軸を探るために、上体を前後左右にゆっくりとゆする。そしてだんだんとゆれを少なくしていき、微調整していく。中心軸が定まったら背骨を最大限に伸ばし、最後に、首や肩、上半身のよぶんな力を抜いていく。
姿勢が調ったら、次は「呼吸」に意識を向ける。瞑想において、呼吸が重要な理由は3つある。まず、呼吸は心とつながっている。呼吸の長さや強さは、私たちの気分や感情、心のふるまいに同調しているため、呼吸への「注意力」を鍛えれば、自分の感情に気づきやすくなる。
また、私たちはつねに呼吸をしつづけている。ゆえに、呼吸に集中して気づきを得ることができれば、聴覚や触覚などの感覚にも応用しやすくなる。
さらに、呼吸に意識を向けることは、「今、ここ」につながることをうながしてくれる。なぜなら呼吸はまさに、「今、ここ」に在る身体感覚だからだ。呼吸に集中すれば、「頭」であれこれ考えた状態から、「身体」を感じる状態へと切り替えられるようになる。
瞑想において理想的な呼吸とは、自分が「気持ちいい」と感じられる呼吸だ。快適であれば、呼吸は深くても浅くてもかまわない。呼吸にはさまざまなテクニックや方法論があるが、正しく呼吸をしようとすると、かえって不自然な呼吸になりかねない。自分の気持ちいい呼吸を探りつつ、一生懸命になりすぎないように心がけよう。
マインドフルネス瞑想を深めるうえで、5つの重要なポイントがある。まず(1)「今、ここ」に在ることだ。
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