瞑想をすると、心が落ち着いて、心身が調和していく。感情に振り回されることが減り、不要になったモノや人間関係を手放し、より自分らしく生きられるようになるため、日々の幸福度も高まっていく。こうして内面が満たされることで、本来の美しさが外に現れるようになり、表情や振る舞いも輝きを増していく。
そのほか、瞑想はさまざまな効果をもたらしてくれる。具体的には、物事の受け止め方が前向きになるためストレスが減る、心身が安定し免疫機能が上がって健康になる、頭の中が静まり、本来の願望に気づきやすくなり、イメージの力で願いが叶えやすくなる、自律神経のバランスがとれて睡眠の質が向上する、雑念が静まり、集中力が高まる、といった点だ。このように、瞑想で得られるメリットは計り知れない。
ただし、瞑想の効果を享受するには「習慣化」が不可欠となる。瞑想は「姿勢を正し、呼吸を整える」という、いたってシンプルな行動だ。さらには、慣れると気持ちよさが増すので、非常に習慣化しやすい。とはいえ最初はなかなか集中できないかもしれない。
そこで著者は「1日1分」の習慣化を提案する。もう少し長くやりたいと思えば、10分、20分と引き延ばせばいい。瞑想は筋トレと同じで、毎日くり返すことで集中力が長続きするようになる。
習慣化のコツは、ルールをつくること、ルールを守ることの2つである。瞑想を行う時間と場所を決めて、毎日それを守るのである。著者のおすすめは、朝起きて自室でやるという方法だ。決めた時間と場所に行っていくと、歯磨きをするように日常生活に溶け込んでいく。
より深く瞑想するには、調身(姿勢を整える)、調息(呼吸を整える)、調心(心を整える)の3つを意識するとよい。心と背筋は密接につながっているため、背筋をまっすぐに伸ばすと、体内のエネルギーの循環が良くなり、呼吸がしやすくなっていく。座り方は胡坐でも正座でもいいし、椅子を使ってもかまわない。立っていても仰向けでもいいので、安定して快適な状態でいることがポイントとなる。
また、基本は鼻呼吸が望ましく、緊張を抜いて、ゆっくり息を吐くことを意識したい。吐く息が副交感神経とつながっているため、自然と心が落ち着いてくる。最後は、呼吸の感覚に意識を向け、お腹がふくらんだり縮んだりするのを観察していく。すると、心が整い、マインドフルネスな状態が保たれるのである。
マインドフルネスとは、「今、ここ」という瞬間に常に意識を向けて、あるがままに観察する「気づきのトレーニング」である。人間はつい無意識に、「今」ではなく過去や未来に思いを馳せ、目の前のことに評価や判断を加えがちだ。しかし、身体の感覚や未来への期待、過去への後悔といった無自覚のものを意識化していくことで、「気づく力(アウェアネス)」が高まっていく。
瞑想を続けていくと、内面で起きていることに「気づく力」が養われていく。この力が高まると、うつの改善や幸福の実感といった精神的に良い効果が生じる。なぜなら、自動的に湧いてくるネガティブな思考や感情のパターンを、少し離れたところから俯瞰できるからだ。すると、自分の思考に自覚的になり、感情に振り回されることが激減するだろう。
瞑想というと、雑念が湧いてくるのはダメだと思い込んでいる人も少なくない。しかし、マインドフルネスの目的は「気づく」ことである。感覚に集中し、集中が途切れたら再び集中に戻るというのをくり返すことで、それが脳への良い「負荷」となり、脳が鍛えられていく。「無になろう」と躍起になる必要はない。
このように、瞑想で「今、ここ」に100%集中するとき、頭の中が空っぽになって、大事なものに没頭した状態になる。このときこそ集中力が最大限発揮され、思考がクリアになり、幸せを感じやすくなるのだ。
人の幸福について研究するポジティブ心理学では、「人間の幸福度のうち、50%は遺伝子によって、10%は家庭や仕事の環境、経済的な状況といった外部要因によって決まる。残り40%は自分の行動やあり方が規定する」という。つまり、
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