パブリック・スピーキングは古くから、重要なコミュニケーション手段として使われている。パブリック・スピーキングとは文字どおり、自分の考えを公にすることであり、自分の考えを伝えることで周りに影響を与えることだ。
パブリック・スピーキングが重要なスキルであることは、統計的にも証明されている。雇用主3000人を対象に調査したところ、じつに93%の人が、「社会で成功するためには、大学での専攻よりも、考える力とコミュニケーション力のほうが大事だ」と答えている。
実際、どんなに技術が進歩した世の中でも、パブリック・スピーキングの重要性は変わらない。ビジネスの場でも、市民として活動する時にも、パブリック・スピーキングがもたらす影響はすさまじいからだ。
とはいえ、むずかしく考えすぎる必要はない。パブリック・スピーキングは特別なものではなく、普通の会話を少しバージョンアップさせたものにすぎない。
パブリック・スピーキングをする際に注意すべきポイントは、(1)構成を緻密にする、(2)効果的な言葉を使う、(3)伝え方を工夫する、の3点である。これらに気をつけながら、言葉を組みたてていこう。
パブリック・スピーキングは人前での表現である。ゆえにそれは、倫理的なものでなければならない。
著者の考える「倫理的に話すためのガイドライン」には、「話の目的が、企業や個人の利益のために誰かを裏切るものになっていないかを考えること」、「嘘はつかないこと」、「侮蔑的な呼び方をしないこと、罵らないこと」が定められている。これらの倫理的な原則を常に意識して、準備することがパブリック・スピーキングには欠かせない。
パブリック・スピーキングのテーマが決まったら、まず大まかな目的を決める。目的は、「情報を伝える」か「説得する」のどちらかだが、両方が目的になることもある。
「情報を伝える」場合、めざすべきは情報をわかりやすく正確に、しかもおもしろく伝えることだ。一方、「説得する」場合は、聞き手の態度や行動パターンを変え、最終的にはアクションそのものを変えることをめざす。
いずれにせよ、大まかな目的を決めたら、今度はゴールを設定する。ゴールを書く際のポイントは、「聴衆に○○について知らせる」、「○○であることを聴衆に説得する」など、「○○する」という表現で書くことだ。
また、ゴールはひとつだけに絞るべきである。質問形や流行り言葉、比喩的な表現は避けて、具体的な内容になるよう心がけなければならない。
ゴールを決めたら、プレゼンの趣旨に合っているか、時間内に達成できるか、聴衆に適した内容になっているか、些末な内容すぎないか、あるいは専門的すぎないかなど、それぞれ問いかけてみるとよい。
ゴールを決めた後は、サマリー・センテンスの作成に移る。
サマリー・センテンスとは、話の内容を一文でまとめたものである。サマリー・センテンスの作成時にも、ゴールを決めたときと同じことがポイントになる。たとえば、一文にまとまらなければ、それは話の論点がまだしっかりしていない証拠だ。
サマリー・センテンスがしっかり書けると、パブリック・スピーキングは一段と引き締まった、よりわかりやすいものになる。
よい話し手は、聞き手目線で話す。
聞き手目線のパブリック・スピーキングをするためには、
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