人のやる気が湧き起こるメカニズムは、「自分に価値がある」と感じた時である。自分に価値を感じる時は、大きく分けると承認欲求と貢献欲求が満たされた時である。これらの欲求には、「存在ステージ」、「行動ステージ」、「結果ステージ」の3つのステージがある。3つのステージはピラミッド状になっている。一番下の存在ステージが最も大きな土台となり、その上に行動ステージ、さらにその上に結果ステージが積み重なっている。つまり、存在ステージが人として最も大事な根っこの部分であり、これに目を向けることが、相手と良い関係性を築く土台となる。
各ステージを簡単に解説していく。人は自分の存在意義を求めてやまない。存在ステージは、相手の存在そのもの、「こうなりたい、こうありたい」という相手の思い、相手の夢や本人も気づいていない可能性を承認するステージだ。
存在ステージに対しては、承認と貢献のアプローチがある。「存在を承認する」とは、「あなたはあなたのままでいい」というように、行動や結果ではなく、相手の存在をシンプルに承認することである。一方、「存在で貢献する」とは、「いてくれてありがとう」といった言葉で、相手の存在が自分にとって役立っていて、大切だと伝えることを指す。
次に、「行動ステージ」とは、思いに基づき、結果を出すために頑張っていることに気づくステージである。このステージでも、承認と貢献の両面のアプローチによって、相手のやる気を高めることができる。
「行動を承認する」には、「○○しているね」というフレーズを使う。人はある行動を指摘されると、意識がそこにいき、その行動をとりやすくなる。一方、「行動で貢献する」とは、「○○してくれて助かるよ」などと、相手が行動することで周りに起きている良い影響を伝えることである。
そして「結果ステージ」では、行動によって生まれた結果に注目する。このステージでも承認と貢献のアプローチが重要となる。「結果を承認する」は、「頑張ったね」と相手の出した成果を認めることである。これに対し、「結果で貢献する」は、「君たちの勝利は多くの人たちに勇気を与えてくれた」などと、相手が結果を出したことで周りに起きている良い影響を伝えることである。
スポーツの試合や大事なプレゼン本番で、入念に準備をしたにもかかわらず緊張や不安で頭が真っ白になった。挙句には本来持っている力を発揮できずに悔しい思いをした。こういう経験はないだろうか。
本来、誰でも行動して目の前の現実を変え、夢を叶える力を持っている。しかし、多くの人はその力を本番で出しきれない。本来の力を発揮できるかどうかは、その人の持つ力と心の状態で決まる。それが「リソース」と「リソースフル」である。
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