ディズニーでは、ゲスト(来場するお客様)に接する際、相手によって特別なマニュアルを設けているわけではない。それでも一人ひとりに質の高い接客ができるのは、「すべてのお客様をVIPとして扱う」という基本原則があるからだ。
誰に対しても心に壁を作らず接する。そしてゲストの前では身だしなみを整え、自分の行動や発言がどう映るかを常に意識する。「ディズニーらしくない」ものは仲間と互いに注意しあいながら、誰にでも好感をもってもらえる「ディズニー」基準に対する意識を高めていく。
これは他の場面でも応用できる。職場をディズニーととらえ、自分がディズニーのキャスト、仲間がゲストというように考えて接してみてはどうだろうか。感謝の気持ちをもち、自分にできることを率先してやる。そして相手に喜ばれることを自分の糧にする。そうすれば、より前向きに、モチベーションを高く保って仕事に取り組めるはずだ。
また、苦しいときや苦手な人がいるときは「ディズニーのプリンセス」になりきってみよう。ディズニーのプリンセスは、ただおとなしく可憐なお姫様ではない。自分磨きを惜しまない、しなやかで自立した女性たちなのだ。
ディズニーといえば、ホスピタリティの高い接客が評価されることが多い。ホスピタリティの高さは、キャスト一人ひとりが「どうしたら目の前のゲストを喜ばせることができるだろうか」と、真剣に考えたことの積み重ねの結果だといえる。
たとえば東日本大震災の際は、頭を守るためにと、店頭に並ぶぬいぐるみをゲストに配るといったキャストの行動が話題となった。これも細かなマニュアルがあったわけではなく、ゲストのために何ができるかを各自が判断しての行動である。これはディズニー以外の場でも大事な姿勢だ。職場の人に喜んでもらえるにはどうしたらよいか想像し、依頼された仕事を、締め切りより1日早く仕上げるなど、相手の期待を超える行動をとるとよい。
ディズニーのキャストはほとんどがアルバイト(準社員)だが、仕事へのモチベーションは高い。キャストに話を聞くと、「ゲストからの感謝の声」「仲間との一体感」「自分が成長していると感じること」がやる気の源になっているようだ。
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