スピーチが上手な人は共通して三つの条件をクリアしている。その三つとは、独自のスタイルがあること、明確な目的のあるメッセージを伝えていること、自信に満ちたふるまいをしていることだ。スピーチの達人は練習と経験を重ね、この三つを伸ばしている。
独自のスタイルを演出するには、服装、髪型、ふるまい、言葉づかいなど、外見のすべてに意識を向ける必要がある。時代遅れな服装はやめ、身体の動きやジェスチャーにも気を配りながら、意図的に自分自身のスタイルを築く必要がある。
また、メッセージに目的があれば、聴衆の心を揺さぶり、彼らを引き込むことが可能となる。高い理想と目標を掲げ、誇示するのではなく純粋な姿勢で実践していくと、自信が溢れ出し、それが聴衆の注意を引きつける。何より大事なのは、完璧なスピーチをめざすのではなく、聞き手といかにつながりを築くかに集中することである。
成功した女性でも、聴衆の前にいる自分をニセモノのように感じる人がいると言われている。女性は欠点を自己責任と考え、自らを責める傾向が強いため、自分を過小評価してしまう。自信のなさを克服するための最初のステップは、自分の姿を直視することである。そのうえで、直立不動になる、目力を失ってしまうといった、「ついやってしまうしぐさ」をなくすことが必要だ。もし失敗したら素直に謝ればいい。これらを心がけて自分としっかり向き合えば、恐れを乗り越えて目標を達成できるようになるだろう。自分を愛し、認めることが、不安や緊張を取り除くのに役立つ。
スピーチが苦手な人の中にはあがり症の人もいるかもしれない。しかし、話す前に深呼吸をする、ストレスが集中しがちな首と肩をまわすといった、いくつかのエクササイズを行うだけでかなり改善できる。前向きなイメージを思い描き、常に自分らしさを表に出していれば、緊張はスピーカーの長所を引き出すエネルギーになってくれるだろう。
話し上手な人は、ボイス(声)、ビジュアル(姿)、バーバル(言葉)という三つのVをすべて巧みに使っている。話し手と聞き手がつながるために大切なツールの一つが「声」だ。多くの人はスピーチのテクニックの中で話す内容や外見にばかり気をとられ、声の使い方をおざなりにしている。しかし、いい声はあなたの存在感を高めてくれる。
生き生きとした声を育てるには、五つの条件がある。それは、声に抑揚をつけて心地いい声の高さにすること、適切な速さを保つこと、意図的な「間」をとること、はっきり発音すること、そして自然な声量にすることだ。速さについては、日常会話と同じ速度が望ましい。
声の質を高めるために効果的なエクササイズは、詩を読むことである。抑揚やテンポを変えることで声の幅を広げやすくなる。また、声は楽器と同じだ。声帯を潤すなど、コンディションを保つための手入れを心掛けたい。このように、コツをつかんでいけば、誰もが「声で威厳を伝える」魅力的な女性になれる。
二つ目のコミュニケーションのポイントは「姿」である。スピーチの達人は、最高のアスリートのように全身を使って表現し、パフォーマンスを頂点にもっていくと言われている。もし話し手のジェスチャーやたたずまいが聴衆の気に障るようなら、話の内容があまり耳に入らないこともある。「どう見えるか」は言葉以上に雄弁なのだ。
凛とした立ち方や座り方をめざすうえで有効なのは、「チャンピオンスタンス作戦」だ。
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