子どもの学力を伸ばし、能力を最大限発揮させたい。そう願うのなら、家族みんなで栄養たっぷりの朝ご飯を食べることが重要だ。脳をしっかり働かせるには、神経細胞のエネルギー源、ブドウ糖を神経細胞に届けなければいけない。よって、ブドウ糖をつくるデンプンを含む食品、つまりご飯やパンを食べることが欠かせない。ただし、脳の学習を促すには、ブドウ糖だけでなくさまざまな栄養素が必要となる。
仙台市で行われた、朝食習慣に関する調査によると、学校の成績がよいグループでは、9割以上の子どもが必ず朝ご飯を食べているという。中でも、小学5年生から中学1年生の子どもたちの成長を追跡すると、3年間朝食を食べ続けていた場合は、偏差値が高いのに対し、朝食の習慣をやめた子どもたちの偏差値が急降下することがわかった。
それでは朝食の主食がパンかお米かどうかで差はあるのだろうか。著者が子どもたちの脳のMRI画像(磁気共鳴画像)を調べたところ、意欲に関係する「大脳基底核」と、言語や記憶に関わる「前頭前野」に大きな差が生じていた。主食にパンを食べている子どもよりも、お米を食べている子どものほうが、意欲、言語、記憶に関する脳の部位が発達していたのだ。
この原因は、パンとお米で、食後の血糖値の上がり方を示す指数である「GI値」に差があるためだと考えられる。パンのGI値はお米よりもかなり高い。GI値が低い食事をとるほうが、心身の発達によいといえる。
朝ご飯でどのようにおかずをとっているのかを調査したところ、主食にお米を食べている子どもたちは、主菜と副菜もとっている割合が高かった。
朝ご飯のおかずをきちんと食べることの重要性を示すデータは、すでに存在する。驚くべきことに、おにぎりしか食べなかったときは、連続足し算の作業量が上がらず、朝ご飯を食べていないも同然だったのだ。
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