【新書版】孫社長にたたきこまれた

「数値化」仕事術

未読
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【新書版】孫社長にたたきこまれた
「数値化」仕事術
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「数値化」仕事術
出版社
出版日
2022年01月14日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.5
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おすすめポイント

本書の「攻める数値化」をモノにすれば、仕事の生産性や提案が通る確率が劇的に上がるという。しかも、難しい統計知識や高度なエクセルのスキルは不要と聞いたら、気になる読者も多いのではないだろうか。

著者は、孫正義氏の側近という立場で、数多くの大型プロジェクトに携わった人物だ。前例のない案件ばかりで、当然、問題があちこちで勃発した。中でも大変だったのは「Yahoo! BB」の立ち上げプロジェクトだったという。サービス開始後、新規顧客の獲得こそ順調にいったものの、顧客の受け入れ態勢が整っていなかったためにクレームが殺到し、現場は大混乱に陥った。しかし、孫正義氏が放ったのは「三木、お前がなんとかしろ」の一言だった。それでも著者が事態を収束させられたのは、「数値化仕事術」があったからに他ならないという。

そんな著者が今回筆をとったのは、これほどの威力をもつ仕事の数値化が、業務で上手く活用されておらず、成果につながっていない事例を絶えず見ているからである。本書では、数値化の基礎や効果、問題解決のためのデータ分析ツール、間違った数値化のパターンなどが、図やグラフとともに明快に解説されている。さらには、本書の法則やデータ分析方法がソフトバンクのビジネスモデルにどう活かされているかが盛り込まれており、学べる量も質も最上レベルといってよい。

数値化仕事術を習得すれば目標達成、生産性向上の道がひらけるうえに、数字を使った問題解決に楽しみを見出せるはずだ。「数字は苦手」という人にこそ、「攻めの数値化」の効果をぜひ体感していただきたい。

ライター画像
二村英仁

著者

三木雄信(みき たけのぶ)
トライオン(株)代表取締役社長
三菱地所(株)を経てソフトバンク(株)に入社。27歳で同社社長室長に就任。孫正義氏のもと、多くの米国IT企業とのジョイントベンチャーのプロジェクト、「ナスダック・ジャパン設立」「日本債券信用銀行(現・あおぞら銀行)買収」「ソフトバンクの通信事業参入」などのプロジェクトで、プロジェクト・マネージャーを務める。2006年にトライオン(株)を設立し、2015年に英語コーチング・スクール「TORAIZ」を開始。グローバルに活躍できる個人と組織を創出することを目指し、個人・法人に対して英語及びグローバル・コンピテンシー研修を提供している。著書に、『世界のトップを10秒で納得させる資料の法則』(東洋経済新報社)、『孫社長のむちゃぶりをすべて解決してきた すごいPDCA』(ダイヤモンド社)、『【新書版】海外経験ゼロでも仕事が忙しくても「英語は1年」でマスターできる』『無駄な努力を一切しない最速独学術』(ともにPHP研究所)ほか多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    「数値化仕事術」とは、数値化によって仕事の問題を高速で解決するための技術である。数値化によって、目標達成までの道筋が明確になる。
  • 要点
    2
    仕事の始点から終点までのどこに問題があるのかを明らかにし、具体的な改善策を練る際には、「プロセス分析」を用いるのが効果的である。
  • 要点
    3
    数値化が問題解決につながらない場合に備えて、あらかじめ「間違った数値化」のパターンを把握しておくとよい。
  • 要点
    4
    数字にまつわる理論や法則を活用すれば、問題解決のスピードが格段に上がる。

要約

【必読ポイント!】 数値化仕事術の基本

なぜ「数値化」が重要なのか

ビジネスの現場では誰もが、売上、予算、コストといった数字を意識している。しかし多くの人が、数値化の威力や活用方法を理解できていないのが現状である。

ゼロから始めたベンチャーをわずか35年程度で時価総額10兆円規模の巨大企業に育て上げた孫正義氏。彼は、徹底的に数字にこだわり抜く人物の一人だ。そのこだわりの強さは間違いなく世界トップクラスに入る。これを受け、ソフトバンクでは役職を問わず、「数字に基づいて話さなければ相手にされない」という文化が確立されている。

著者は、数値化によって仕事の問題を高速で解決するための技術、「数値化仕事術」の重要性を説く。数値化のメリットの一つは、目標達成までの道筋が明確になることである。身近な例としてダイエットを挙げよう。「体重を減らす」より「3ヶ月で6kg痩せる」というように、目標を数値で表すほうが、「1週間で500g減量するために夕食を少し減らす」といった次の具体的なアクションを考え出しやすく、実践に移しやすい。また、問題を数値化すれば、現状を正しく認識し、根本的な問題の要因を明らかにしやすくなるのだ。

数値化仕事術を実践するときのポイント
chombosan/iStock/Thinkstock

数値化をビジネスに活かすには、「数字の扱い方のコツ」をつかむ必要がある。基本となるポイントの一部を紹介する。

まずは、問題を解決するための数字は、与えられるものではなく、「自ら取りにいくもの」だと認識することである。自分にとって役に立つ数字は、計測や分析によって自ら作り出すものだ。仕事の中でささいな違和感を抱いたときに、「この事象を裏づける数字はないか」と考え、積極的に数字を取りにいくのである。また、作り出した数字が「次のアクション」につながっていることも大事なポイントとなる。

こうしたポイントを押さえたうえで、数値化に向けた最初のステップは「分ける」ことだ。分け方は種類別やジャンル別にくわえ、「プロセスで分ける」という方法も有効である。

例えば、不動産仲介業の営業で毎月の契約数の目標に達しないという問題を抱えているとしたら、お客様と初めて会うところから契約を結ぶまでの間を、いくつかのプロセスに分ける。「ヒアリング」「物件案内」「条件交渉」「契約」と分けていけば、各ステップまで進んだ人数を計測できる。そして、もし物件案内から条件交渉に進む人数が少ないことが判明すれば、その間で何らかの問題が発生していると推測できる。

ムダな数値化に要注意!
zkes/iStock/Thinkstock

現在は様々なITツールが開発されており、誰もが低コストで、しかも簡単にデータを収集し、分析することができる。中には無償で提供されている分析ツールもあるほどだ。

そのような時代においては、数字を上手く活用できる人と、勘や経験則に頼る人との間に致命的な差が生まれることは間違いない。今の時代は、数値化する技術を身につければ、限られたリソースしかない中小企業やベンチャーであっても、イノベーションを起こすことも可能となっている。逆に、数字に疎いままでは、大企業といえども、やがて淘汰されていくだろう。

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要約公開日 2022.01.28
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