「わか者、ばか者、よそ者」はいちばん役に立つ

AI時代の創造的思考
未読
「わか者、ばか者、よそ者」はいちばん役に立つ
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AI時代の創造的思考
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「わか者、ばか者、よそ者」はいちばん役に立つ
出版社
創英社/三省堂書店

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出版日
2017年07月25日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

読むだけで、視点が変わる。視点が変われば、未来も変わる――本書には、まさにAI時代を生きのこるための「ルール」が書かれている。

私たちが生きている現在は、まちがいなく歴史の変革期だ。過去、これほどまでに技術が急速に発達した時代は存在しなかった。その変化のスピードは、今後もますます加速していくだろう。実際、AIが人間の思考力を超えるシンギュラリティ(技術的特異点)以降、ホワイトカラーの職業の半分がなくなってしまうとも指摘されている。少なくとも新時代に向けて、なんらかの準備をしたほうがいいのは確かなようだ。

AI時代を生き残れるかどうかは、「創造的思考」ができるかどうかにかかっている。本書は、創造的思考における法則を特定し、そうした思考法を身につけるためにどのような訓練をするべきなのかを、詳らかに解説する。

きちんとしたトレーニングなしに、すぐれたパフォーマンスは出せない。そして、それはなにも体を使う運動だけではない。頭で勝負するうえでも、適切なトレーニングは必要不可欠なのだ。

頭を使って勝負したい人にとって、本書はすぐれた教本となってくれるだろう。ここに書かれている思考訓練を日常でおこなっている人と、そうでない人の差は、ますます開いていくにちがいない。さて、あなたは前者と後者、どちらを選ぶだろうか。

著者

木村 尚義(きむら なおよし)
株式会社創客営業研究所代表取締役。アカデミーヒルズ六本木ライブラリー、メンバーズコミュニティ個人事業研究会会長。ソフトウェア開発会社を経た後、OAシステム販売会社にてたったひとりで不採算店舗の再建を任されるが、創造的思考であるラテラル思考を駆使し売り上げを5倍にする。その後、外資系IT教育会社にて、数多くの研修を展開、受講者は3万人を超える。従来の発想の枠を越え全国にて逆転の発想セミナーを実施し、訪問企業は1千社以上となる。商社、通信、銀行、保険等の企業や自治体、官公庁にて、既成概念にとらわれないアイデアを発想する創造的思考法が好評を得ている。

本書の要点

  • 要点
    1
    AI時代において人間に残された役割は、創造的思考を発揮することだ。創造的思考は、法則を理解してコツをつかんでしまえば、誰でも身につけることができる。
  • 要点
    2
    創造性を発揮するカギは、先入観を持たないことにある。「わか者」「ばか者」「よそ者」になることが、これからの時代で活躍する秘訣だ。
  • 要点
    3
    「ワクワク感」を生み出せる人は、今後ますます重要な存在になっていく。
  • 要点
    4
    何事に対しても、まずは「でもそれがいい」と声に出してつぶやこう。それが失敗かどうかを決める権利は、常にあなたが持っている。

要約

AI時代の到来

既存の仕事の半分はなくなる
leremy/iStock/Thinkstock

AIが現在のようにブームになったのは、2015年ごろからだ。それまでもAIのブームは何回か起こっていたが、どれも比較的小規模なものに終わった。しかし今回は違う。2000年にビッグデータが、2010年にはディープラーニングが実用に堪えるレベルになり、すでにさまざまな形でAIが社会に浸透している。

AIの発達は、私たちの雇用にも大きく影響をおよぼすと見られている。2013年、オックスフォード大学のカール・フレイとマイケル・オズボーンは、調査した702職種のうちの47%が、今後10年ないし20年以内に自動化されるだろうと述べた(「雇用の未来:コンピュータ化によって仕事は失われるのか?」)。また、日本でも2015年、野村総合研究所が「日本の労働人口の49%が人工知能やロボットなどで代替可能に~601種の職業ごとに、コンピュータ技術による代替確率を試算~」というレポートを発表している。

しかし、たとえAI時代が本格的に訪れたとしても、人間に残された役割は残っている。それが「創造的思考」だ。

創造的思考こそ人間の証明である

AIは過去のデータを参照する仕事を得意としている。一方、まったく新しい産業分野や、まだデータが存在しない作業には対応できない。

そこに人間の強みがある。創造的思考は、はじめての経験を乗り越えるのに必須の素養だ。原始時代から、人類は何度も天変地異に遭遇してきたが、そのたびに創造的思考を駆使して、絶滅の危機を乗り越えてきた。創造的思考こそ、人間を人間たらしめてきた「思考の遺伝子」だと言えよう。

自分は創造的思考を持っていないと考えている人もいるかもしれない。しかしそれは、創造的思考を発揮する方法を身につけていないだけのことである。法則を理解してコツさえつかんでしまえば、誰にでも創造的思考はできるのだ。

前述の『雇用の未来』によると、AI時代になっても、「創造性 (Creativity)」と「社会的知性 (Social Intelligence)」は必要とされつづけるという。本書はこの2つのテーマを軸に、創造的思考を備えている人の特徴を、さまざまな角度から描写している。

要約では、「創造性」と「社会的知性」を持つ人の特徴を、1つずつ取り上げて紹介しよう。

創造性

「わか者、ばか者、よそ者」であれ
maselkoo99/iStock/Thinkstock

創造性を発揮するために重要なのは、先入観を持たないことだ。経験者の場合、過去の体験にどうしても束縛されてしまう。しかし、その業界の素人であれば、そういったことはまず起きない。

業界の素人とは、つまり「わか者」「ばか者」「よそ者」のことだ。「わか者」の場合、過去の経験がないから、先入観を持ちようがない。「ばか者」はそもそも人の目を気にしないから、失敗も気にならない。

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要約公開日 2017.11.04
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