外国人観光客の誘致や宣伝を行う日本政府観光局(JNTO)によれば、2016年に日本を訪れた外国人は2400万人を超えたという。東日本大震災後から数年間で訪日外国人客は約4倍に増加した。国際情勢の影響を受けながらも、今後も少しずつ訪日外国人客は増加すると考えられる。訪日客を国籍別内訳で見てみると、5人に4人がアジアからの外国人客であり、訪日客の2人に1人は中国語を話す人々である。
外国人観光客増加により日本国内の宿泊市場が拡大しつつある。また、訪日外国人の消費額も拡大している。彼らが、日本の内需の活性化に貢献してくれたと言えるだろう。
一方、外国人に慣れていない日本人が、外国人観光客の受け入れに対してストレスを感じる場面や、トラブルが起こる場面も増えている。また、九州に寄港したクルーズ客が、そのまま日本で失踪する事件も記憶に新しいだろう。さらには、不法ガイドが免税店に外国人観光客を誘導し、その免税店からマージンを受け取るといった問題も生じている。
外国人観光客が増加した主な理由は、次の2つである。1つ目は、日本をあげてのインバウンド市場拡大に向けた取り組みの成果である。そして2つ目は、訪日外国人を増加させるような国際情勢の変化だ。
前者の具体的な中身は、行政主導で始まったPR活動、オープンスカイ協定による航空自由化、アジア各国へのビザ緩和施策、メディアによる「外国人客の消費力」の浸透、東日本大震災という転機の到来である。また、後者の内容は、アジア観光人口の増加、日本の長期デフレが観光客に与えた割安感、アジアの中間層の増加と富の平準化だと言える。
東京オリンピック開催に向け、政府は訪日外国人観光客数の目標を、年間2000万人から4000万人に倍増させると決めた。これにより、政府はさまざまな分野で規制緩和を推進しつつある。
3,400冊以上の要約が楽しめる