自分の判断や問題の重要さを見直したいとき、オススメしたいのが「100年ルール」だ。やり方はいたってシンプル。問題を前にしたとき、「これは100年後にも重大なことか?」と自問自答するだけである。100年が長すぎると感じられた場合は、より短い時間を用いてもよい。
たとえば多くの人は試験に対して不安を感じている(これを「テスト不安」という)。不安が大きくなりすぎて、試験のための準備に手がつかなくなることもままあるだろう。テスト不安は最悪の場合、試験の放棄にもつながりかねない。
100年ルールは、こうした状況を打破するうえで有効だ。ただしここでは100年だと長過ぎるので、代わりに5年ルールを用いてみよう。「次のテストは5年後にも重大なことか?」とあらためて自分に問いかけてみると、「5年の間にはもっと重要な入学試験が過ぎている。次回の小テストはそれに比べれば影響があるにしてもずっと小さい」と思えてくるはずだ。
問題や困難に直面したとき、本当に厄介なのは、問題自体よりもそれに圧倒されてしまうことである。ゆえに問題を問題たらしめている背景や前提を明らかにすることで、問題との間に距離をとることがきわめて肝要になる。
100年ルールは不安や恐怖に圧倒され、さらなる不安や恐怖に陥る悪循環から抜け出すための方法だ。うまく使えば、最強の問題解決ツールとなってくれるだろう。
問題を認知したら、次は解決策を見つけ出さなければならない。
「お山の大将」は、素早く意思決定をしたいとき、取り組むべき目標や問題を見定めたいときに有効なメソッドである。手順は以下の3つに分かれる。(1)候補の中から1つを選び、「お山の大将(暫定の勝者)」とする。(2)残りの候補から1つを選び、「お山の大将(暫定の勝者)」と比較する。(3)すべての候補と比較し終わるまで、(2)をくりかえす。
この技法のメリットは、思考にかかる負担が小さいことだ。「どちらがより好ましいか」を判断するだけでいいからである。他の技法のように紙に書き出すといった作業もなければ、選択にかかる時間も短い。しかも「どちらがより好ましいか」を比較するだけなので、対象の性質を問わずに使える。
ただし「お山の大将」がうまく機能しない場合もある。たとえば条件の数が増えれば増えるほど、直感的な比較は機能しなくなる。直感は一度に多くの条件を扱うのが苦手なのだ。ある実験によれば、7つ以上条件を提示してもその多くが無視されてしまい、数個の条件だけにもとづいて判断されてしまうという。
また選択肢に3すくみ的な関係が成り立っている場合も、「お山の大将」ではうまくいかない。Aが暫定の勝者ならBが勝ち、Bが暫定の勝者ならCが勝ち、Cが暫定の勝者ならAが勝ち……という構図になってしまうからだ。とくに複数人の意向が意思決定にかかわる場合、こうした状況は頻発する。
やるべきことになかなか取りかかれない――そんな経験をしたことがある人は少なくないはずだ。先延ばしは多くの場合、大した問題に発展しない。だが習慣化すると、深刻な問題に発展することもある。先送りすればするほど、その行動が難しいと感じるようになってしまう。ひどい場合には、不安障害や感情障害にまで発展しかねない。
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