問題解決大全

ビジネスや人生のハードルを乗り越える37のツール
未読
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ビジネスや人生のハードルを乗り越える37のツール
著者
未読
問題解決大全
著者
出版社
フォレスト出版

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出版日
2017年12月01日
評点
総合
4.2
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
5.0
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おすすめポイント

現時点で、日本における問題解決本の決定版はこれだろう。

前著『アイデア大全』が0から1を生み出すための一冊だとしたら、本書は1をそれ以上の数にするための一冊だ。いくらアイデアを生み出したとしても、ほとんどはそのまま消え去っていってしまう。それは世の中に多くの制約、すなわち「問題」があるからである。

本書が取り扱うのは、問題を乗り越えるための37の技法だ。前著と同じく、すべての技法はレシピ・サンプル・レビューの三段構成で解説されている。どのようにやるのか(How)だけでなく、なぜその技法が生まれたのか(Why)も紹介されているため、人文書として読んでもおもしろい。

なによりもすばらしいのが、問題解決をリニア(直線的)なものとサーキュラー(円環的)なものに分け、その両方を紹介しているところだ。リニアな問題解決とは、因果関係がはっきりしており、「原因を除去(変化)させれば問題は解決できる」というアプローチのことである。世の中の問題解決本で紹介されているのもこちらのタイプが多い。だが現実ではえてして、因果関係のはっきりしない問題に遭遇するものだ。そういうときこそ、サーキュラーな問題解決が役に立つ。

たんなる問題解決のカタログとあなどるなかれ。ここには人類が積み上げてきた問題解決のエッセンスが詰めこまれている。ぜひ本棚に差しておき、折を見てパラパラとめくってみてほしい。知の巨人の肩の上に乗れば、迷路の出口も見つかるにちがいない。

著者

読書猿 (どくしょざる)
正体不明、博覧強記の読書家。メルマガやブログなどで、ギリシャ哲学から集合論、現代文学からアマチュア科学者教則本、日の当たらない古典から目も当てられない新刊まで紹介している。人を食ったようなペンネームだが、「読書家、読書人を名乗る方々に遠く及ばない浅学の身」ゆえのネーミングとのこと。知性と謙虚さを兼ね備えた在野の賢人。
処女作『アイデア大全』はロングセラーとなっており、主婦から学生、学者まで幅広い層から支持を得ている。

読書猿Classic: between / beyond readers
http://readingmonkey.blog45.fc2.com/

本書の要点

  • 要点
    1
    問題や困難に直面したとき、本当に厄介なのは、問題自体よりもそれに圧倒されてしまうことだ。
  • 要点
    2
    問題解決の最良のメンターは、自分がかつてやった問題そのものだ。最上の学びは解き終えた直後にやってくる。
  • 要点
    3
    理想と現状のギャップを「問題」として捉え、その原因に対して対処策を講じるというアプローチには限界がある。根本原因は常に突き止められるわけではないからだ。
  • 要点
    4
    どうすれば解決できるのかわからない状況であればあるほど、問題や原因ではなく、解決と未来に焦点を当てるべきだ。

要約

リニアな問題解決

問題の認知:100年ルール
rudall30/iStock/Thinkstock

自分の判断や問題の重要さを見直したいとき、オススメしたいのが「100年ルール」だ。やり方はいたってシンプル。問題を前にしたとき、「これは100年後にも重大なことか?」と自問自答するだけである。100年が長すぎると感じられた場合は、より短い時間を用いてもよい。

たとえば多くの人は試験に対して不安を感じている(これを「テスト不安」という)。不安が大きくなりすぎて、試験のための準備に手がつかなくなることもままあるだろう。テスト不安は最悪の場合、試験の放棄にもつながりかねない。

100年ルールは、こうした状況を打破するうえで有効だ。ただしここでは100年だと長過ぎるので、代わりに5年ルールを用いてみよう。「次のテストは5年後にも重大なことか?」とあらためて自分に問いかけてみると、「5年の間にはもっと重要な入学試験が過ぎている。次回の小テストはそれに比べれば影響があるにしてもずっと小さい」と思えてくるはずだ。

問題や困難に直面したとき、本当に厄介なのは、問題自体よりもそれに圧倒されてしまうことである。ゆえに問題を問題たらしめている背景や前提を明らかにすることで、問題との間に距離をとることがきわめて肝要になる。

100年ルールは不安や恐怖に圧倒され、さらなる不安や恐怖に陥る悪循環から抜け出すための方法だ。うまく使えば、最強の問題解決ツールとなってくれるだろう。

解決策の探求:お山の大将

問題を認知したら、次は解決策を見つけ出さなければならない。

「お山の大将」は、素早く意思決定をしたいとき、取り組むべき目標や問題を見定めたいときに有効なメソッドである。手順は以下の3つに分かれる。(1)候補の中から1つを選び、「お山の大将(暫定の勝者)」とする。(2)残りの候補から1つを選び、「お山の大将(暫定の勝者)」と比較する。(3)すべての候補と比較し終わるまで、(2)をくりかえす。

この技法のメリットは、思考にかかる負担が小さいことだ。「どちらがより好ましいか」を判断するだけでいいからである。他の技法のように紙に書き出すといった作業もなければ、選択にかかる時間も短い。しかも「どちらがより好ましいか」を比較するだけなので、対象の性質を問わずに使える。

ただし「お山の大将」がうまく機能しない場合もある。たとえば条件の数が増えれば増えるほど、直感的な比較は機能しなくなる。直感は一度に多くの条件を扱うのが苦手なのだ。ある実験によれば、7つ以上条件を提示してもその多くが無視されてしまい、数個の条件だけにもとづいて判断されてしまうという。

また選択肢に3すくみ的な関係が成り立っている場合も、「お山の大将」ではうまくいかない。Aが暫定の勝者ならBが勝ち、Bが暫定の勝者ならCが勝ち、Cが暫定の勝者ならAが勝ち……という構図になってしまうからだ。とくに複数人の意向が意思決定にかかわる場合、こうした状況は頻発する。

解決策の実行:ぐずぐず主義克服シート
SIphotography/iStock/Thinkstock

やるべきことになかなか取りかかれない――そんな経験をしたことがある人は少なくないはずだ。先延ばしは多くの場合、大した問題に発展しない。だが習慣化すると、深刻な問題に発展することもある。先送りすればするほど、その行動が難しいと感じるようになってしまう。ひどい場合には、不安障害や感情障害にまで発展しかねない。

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要約公開日 2017.12.26
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