SINGLE TASK 一点集中術

「シングルタスクの原則」ですべての成果が最大になる
未読
SINGLE TASK 一点集中術
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「シングルタスクの原則」ですべての成果が最大になる
未読
SINGLE TASK 一点集中術
出版社
ダイヤモンド社

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出版日
2017年08月30日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.0
応用性
4.5
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おすすめポイント

電話でクライアントと話しながら、たまったメールの対応をして、プロジェクトの資料にも目を通す――だれもがそんなマルチタスクなビジネスパーソン像に憧れを抱くことだろう。いつまでたっても山積みの仕事に囲まれるなか、シングルタスクなど、まったくの非効率に感じる人もいるかもしれない。

しかしマルチタスクでこなした仕事の「成果」ははたしてどうだろうか、クライアントの重要な話を聞き逃し、中途半端に返信したメールは誤送信で、目を通した資料の内容などまったく頭に入っていない……そんなお粗末なものだったりしないだろうか。

言うまでもなくもっとも大切なことは、確実に成果を出すことである。そもそも本書によれば、マルチタスクは「幻想」にすぎないという。一般的に言われる“マルチタスク”というのは、実はタスクを次から次へと切り替えている“タスク・スイッチング”だというのが本書の指摘である。

しかもタスクの切り替えばかりしていると、集中力が鈍ってしまい、能率が極端に下がってしまうというから恐ろしい。さらには前頭前野が過剰なストレスにさらされることにより、脳機能が低下する可能性もあるとのことだ。これでもあなたはマルチタスクをめざしたいだろうか?

シングルタスク、すなわち一点集中術はけっして新しい技術ではない。だが太古の昔から、一点集中術は生き延びる上で欠かせない術だった。本書を読むことでその重要さを、いま一度認識していただきたい。これこそが最短で最大の成果を得るための「真の仕事術」なのだ。

ライター画像
二村英仁

著者

デボラ・ザック (Devora Zack)
コーネル大学ジョンソンスクール(経営大学院)の客員教員を15年以上にわたり務め、マネジメントスキルやネットワーキングについて講義を行う。アメリカ教育省、コーネル大学、メンサ、スミソニアン協会、ロンドン・ビジネススクール、デロイト、オーストラリア・インスティテュート・オブ・マネジメントなど100を超える企業、団体にリーダーシップ、チームマネジメント等の指導を行う。オンリー・コネクト・コンサルティング社CEO。著書に『自分のタイプを理解すればマネジメントは成功する』(SBクリエイティブ)、『人脈作りが嫌いな人のための人脈術』(未邦訳)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    シングルタスク(一点集中術)の原則は、「一度に1つの作業に集中して、生産性を上げる」ことだ。シングルタスクが身につけば、あなたの生活は確実に変わる。
  • 要点
    2
    シングルタスカーになるには、意識を「いまここ」に向けること、そして一度に1つの作業に没頭することを守らなければならない。
  • 要点
    3
    世の中にはマルチタスクへと誘導する刺激が多く存在する。しかしそうした刺激にどう反応するかは自分次第だ。

要約

シングルタスクの原則

「マルチタスクは有効」という神話
alphaspirit/iStock/Thinkstock

「1日中忙しく働いていたのに達成感がない」「仕事が一向に減らない、それどころかどんどん増えていく」。誰もがこのような状況を変えたいと思っているはずだ。

しかしそのために「マルチタスクを止めて、シングルタスク(一点集中術)をしなければいけない」と言われても、なかなか受け入れられない人が多い。「マルチタスクは有効」という考えはそれほど深く社会に根付いており、日々の膨大な仕事をこなすには必須だと信じられている。

しかし実際には、マルチタスクは生産的どころか逆効果だ。ハーバード大学が実施した研究の結果、タスクを切り替えれば切り替えるほど、生産性が低くなることがわかった。またタスクをよく切り替える人は外部からの影響を受けやすく、集中力が続かない傾向にあるという。

一方のシングルタスクは、思考のなかにある邪念や外部からの刺激を排除し、集中力を維持することに役立つ。「一度に1つの作業に集中して、生産性を上げる」を原則とするシングルタスクを習慣化すれば、あなたの生活の質は確実に変わるはずだ。

マルチタスクを手放す

マルチタスクなど存在しない

「やるべきことが多すぎて時間が足りない」「あれもこれも考えてしまい頭の中が混乱している」。このような悩みを訴える人は多い。またそれに拍車をかけるように、近年のテクノロジーの進化によって、私たちは常にアクセス可能であることが求められ、膨大な量の情報にさらされてしまっている。

こうした事態に対処するうえで、多くの人はマルチタスクが解決策になると考えている。しかしその結果はというと、むしろ注意力は散漫し、集中力は続かず、目の前の作業とは何の関係もないことを考えてしまう。それでは当然、望む成果は得られない。

ここでひとつ、理解すべき重要な事実がある。マルチタスクが有効か否か以前に、そもそもマルチタスクというものは存在しないのだ。人間の脳は、一度に複数の事柄に注意を向けることができない構造になっているのである。

一般的に想像されるマルチタスクというのは、実は次々とタスクを切り替える “タスク・スイッチング”に他ならない。タスクの切り替えに必要な時間はわずか0.1秒程度であるため、本人はその切り替わりになかなか気づかないだろう。しかしタスク・スイッチングを繰り返すと、あらゆる弊害に悩まされることがわかっている。

マルチタスクの弊害
grinvalds/iStock/Thinkstock

マルチタスクがもたらす弊害の代表例は集中力の低下だ。タスクの切り替えに0.1秒もかからないとはいっても、脳はその度に負担を強いられている。その結果、集中力がどんどん低下していってしまう。

また注意が散漫した状態が続くと、ある知識を別の状況に応用する柔軟性が低下し、脳の記憶力や情報処理能力が低下するとも言われている。

ではこのような弊害があるにもかかわらず、なぜ私たちはマルチタスクを止められないのだろうか。もちろん常に膨大な量の情報に囲まれていることも、理由のひとつとして考えられる。

しかしダメだとわかっていながら、その誘惑に屈してしまうのには別の理由も考えられる。私たち自身が「目新しさ」を渇望しているという説だ。外部からの刺激が入ったとき、その善し悪しにかかわらず脳はアドレナリンを放出する。すると人はどうしても新しいものに目を向けたくなってしまう。

したがってまずは、注意を引く原因を減らすことから始めるべきである。そうすれば本来達成すべき目標にのみ、集中することができるはずだ。

シングルタスクだから私たちは生き延びた

一点集中術、すなわちシングルタスクは目新しい技術ではない。人類がまだ狩りをして生活していた頃は、それこそ1つの作業に集中したからこそ生き延びることができた。つまりシングルタスカーになることは、私たちが本来あるべき心のあり方を取り戻すことなのである。

シングルタスクとは、意識を「いまここ」に向けること、そして一度に1つの作業だけに没頭することだ。作業に専念する時間を決め、その間は他のものに一切意識を移さない。そうすれば強いエネルギーと鋭い集中力が生まれ、確実な成果を生むことができる。深い充実感も得られるだろう。

シングルタスカーになるうえで重要なのは、自分がマルチタスクをしている瞬間を把握することだ。

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要約公開日 2017.12.28
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